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センセー殺しは神剣に  作者: ぷー
一年生一学期編・掌の上で踊れる少女
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十四   第二回学年会議

 復活!これから一週間に2、3話投稿していければいいなあ……(無理)

 今日もこの時が来た。

 週に一度開かれる、学年会議の時間である。


「みんなおはよー!毎日先生たちとの殺し合いは楽しんでるー?きゃは」


 夜だからおはようではないし、殺し合いを心から楽しめるのはきっと彼女だけだろう。


「今日の司会はアタシ、マーラが担当するよ!今日も殺し合いがヒートアップしてねえ、気分がいいんだよねえ。きゃはっ」


 マーラは戦闘狂なのかもしれない。


「んじゃま、さっそく定例報告していこうかなぁ。一組からよろしく」


 ハロンドのクラスが指名される。前回と同じくハロンドが席を立とうとしたが、それより先にガンムが立ち上がっていた。どうやらガンムが発表するつもりらしい。

 不都合なことは特にないので、ガンムに任せることにした。


「あー、一組のガンムだァ。一週間ぶりだなァ」


 棘を含んだ声でガンムが切り出した。


「そだねー。よろしく」


 シャルはガンムの態度など意に介さずににこやかに言った。

 それに対して、ガンムは低い声で言った。


「さしあたりお前は黙ってろォ、シャル」


「えっ、酷!?」


「あはははは!」


 シャルが傷ついたように言って、それをナーナが笑う。

 シャルも「ねえ、笑わないでよ!」とおどけた調子で言って笑った。


「……チッ」


 意に反して空気が和んだためか、ガンムは舌打ちした。

 ガンムは性格的にシャルやナーナのようなタイプが苦手なようだ。

 相手を威圧する話し方がことごとく通用しないから。


「まァいい。新メンバーを紹介するぜェ。ファー」


「はっ」


 ハロンドの右側から、ガンムに応える声が聞こえた。ハロンドはバッと見る。そこは、イサーシャが座っていた筈だ。


「ファー!?」


 そこにいたのは、紛れもなくファーであった。


「え!?イサーシャちゃんじゃないの!?」


 シャルが驚きの声を上げた。

 他の人間も、同じように少し驚いている様子だ。

 ファーは俯き気味に座っていて、髪の色も黒だったので、誰も気づけなかったのだろう。


「イサーシャをどうした?」


 ハロンドは殺気を込めてたずねる。ガンムは怖気立つような殺気を受けてなお、へらっと笑って答える。


「どうもしてねェよ。あいつはまだ利用価値があるからなァ、スイッチを奪っただけだぜェ?」


 学年会議は、スイッチを押した者だけが参加できる。つまり、イサーシャを殺さなくても、スイッチを()れば参加できるということだ。


「どうやってスイッチを奪った?」


 イサーシャはいつもクラン三位あたりをキープしている強者だ。そう簡単に盗めるとは思えない。


「どうやって?堂々と置かれてるものを掠め取るのに説明が必要かァ?」


「お前……!」


 ガンムの口元には意地の悪い笑みが浮かんでいる。

 イサーシャがそんな不用意なことをするはずがない。

 ガンムが何かしたに違いない。



「ねぇ、どういうこと?何この状況?」


 一組の代表者同士で言い争いをしている状況を前に、シャルが困惑の声を上げる。

 ララクが小さく言った。


「一組も、一枚岩じゃないってことさ」



「まァ、どう盗んだかくらいは教えてやる。ファー、自己紹介をしろォ。()()1()も明かせ」


 ガンムが指示した。


「は。皆様初めまして、ファーと申します。イサーシャ様に変わりまして、一組の代表として出席させていただきました。私はガンム様の忠実なる手下。以前は、ガンム様の手先として、間者をしておりました」


「ーーッ!?」


 間者。

 時に人を殺め、時に人を監視し、時に人の物を盗むスパイだ。

 破剣も使えるプロだというのなら、盗めるのも頷ける。


「主従関係、かぁ……」


 シャルがそう呟く。ナーナはちらりとミドロを見る。

 隣では、ミドロが青い顔で俯いている。


「そういう事だァ。まァ、出席者が一人変わるだけだ、そこまで大事でもねェだろォ?」


「大事だろ!ここは、一学期に殺す教師を決める場だろう!」


 怒鳴ったハロンドに対して、ガンムはやれやれというポーズを取った。

 ガンムがキレて争いになっていたいつもとは立場がまるで逆である。

 ガンムはハロンドを無視して、他クラスの代表に向かって言った。


「で、定例報告だったかァ?現在、一組は二分されてる。俺らのグループと、ハロンドのグループだァ」


「ッ!?」


 ナーナとシャルが目を見開いた。校門前で目覚めた時に襲ってきたガンムと、それから守ってくれたハロンドが敵対しているというのだ。


「ちなみに人数的には俺らの方が断然有利だぜェ?何しろ、二十対四だもんなァ?」


「はぁ!?」


 ハロンド有利を予想していたナーナが素っ頓狂な声をあげた。まあ、ハロンドとガンムの性格を鑑みれば、そう考えるだろう。

 ーー確かに、そうだ。

 ハロンドはふと思った。

 不自然だと感じた。


「やめませんか?」

 

 四組のナイサンが間に入ろうとした。


「現在の最重要目標は四ヶ月以内の教師討伐。そして、貴方たちはクラン上位の貴重な戦力。争う利点などありません」


「折角の忠告だが、無理だなァ。和解なんざ、想像しただけで吐き気がするぜェ」


「僕は和解してもいいんだけど。不利だし」


 ガンムはきっぱりと断り、ハロンドも和解したそうにしながら、もう戦う覚悟を決めている様子だった。


「まあ、そうでしょうね」


 ナイサンはため息をつくと、ニヤリとした。白い歯の輝きが、どこか真剣の煌めきに似ていた。


「僕が貴方たちであれば、そうでしょうから」


 ナイサンは大人しく引き下がる。


「えー、ちょっとぉ。止めてくれることを期待したんですけどー?」


 シャルが口を尖らせて言った。


「買い被りというものですよ、三組のお嬢さん」


 ナイサンは優しげに微笑んで言った。

 ナーナは呟いた。


「イサーシャ、見たかったなあ。可愛いし……」


「次、二組ー!二組、お願いしまーす!」


 さきほど会話に入れなかったからか、自らを主張するように大きな声でマーラが言った。


「はい二組のポローだぜ。俺らは問題なし……とは言えないけど、まあ()()大丈夫だぜ」


 ポローは立ち上がり、ちらっとマーラを見ながら言った。

 二組の問題は、殺し合いが大好きなマーラが原因なのかもしれない。当のマーラは首を傾げているが。


「嘘言ったかも。ちょっとは問題は起きてるわ」


「え?大丈夫なん!?」


 マーラが心配そうに言った。


「主に問題起こしてる奴がぶっちぎりで強いからな、相殺だろ」


 マーラをじっと見ながらポローが言った。

 マーラとポローはしばらく見つめ合ったが、ポローが折れたように言った。

 

「……突っ込み待ちみたいだから仕方なく言うけど、お前二組だから全部分かってるよな」


「てへ」


 マーラはこんななりだが、ぶっちぎりに強いらしい。

 一回、戦ってみたいと思った。


「次、三組!」


「イエッサ!ナーナ!」


「ハッ!」


 ……騒がしいとハロンドは思った。


「まあ特に問題はなかったであります。うん、多分」


 発言者がナーナだし、多分って付け足してるし、不安である。


「だよね、ミドロ?」


 聞かれたミドロは、びくっとして言った。


「は、はい。特に問題はなかったと、思います」


「だよねー。ありがと」


 ナーナは頷いて、座った。

 先週のミドロは敬語を使っていなかった。

 シャルやナーナの言葉に、過剰なまでに反応していたのも不自然だ。

 三組にも、何かあるな。

 ハロンドはそう思ったが、突っ込むのは野暮だと思い、何も言わなかった。


「次、四組!」


「ウッス。今日はラールンドが担当させてもらうッス。まず、今週でまた三人死んだッス」


『は?』


 予想外の死者数に、複数人でハモった。


「先週よりも多いッスね。そこは意外ッス。実を言うと、四組は荒れに荒れてるッス。戦国時代、といえばいいッスかね?そこそこ実力のある、尖った人物ばかりが在籍してるッス。シンスの地獄の授業から解放された瞬間に、奴らは暴れ始めたッス」


「……ねぇナイサン、人のこと言えなくない?」


「本当にその通りですね。申し開きもありません」


 シャルが呆れたように言って、ナイサンはポーカーフェイスで謝った。

 元々剣を習っていて、けれど破剣を使えるほど強くなかった人間が、シンスの授業で地獄を味わい、その過程で破剣が使えるようになって、急に強くなった自分に酔って調子に乗っている、といったところか。

 そうなるのも分からなくはないが、さすがに節度というものがある。


「さすがに死にすぎじゃないかなー?私でもそこら辺は加減してるよー?」


 マーラも苦言を呈す。

 さすがに三人死んだのはやり過ぎだと思ったのかもしれない。


「いや、なんとかこの三人と女子数人で協力して対応しようとはしてるんスけどね……。数の暴力というんスかね、全く歯が立たなくて。手の打ちようがないのが現状ッス」


 ハロンドも対応策を考えてみる。

 まずは直談判。もう不毛な争いはやめようと交渉してみる。

 無理だと思った。

 すぐさま全方向から破剣が飛んでくるだろう。そもそも、タラやロファのようにさらに上を目指して研鑽を積むのが普通であり、普通じゃない彼らを口で黙らせるのは無理なのだ。


 であれば実力行使しかない。

 いや、これも無理か。

 単純な戦力差が原因だ。

 三人と女子数人……。まあ、五人程度だとしよう。だとしても、五人で十数人を相手にすることになる。

 無理だ。

 

 つまりもう、彼らに取れる行動はないのだ。

 統率の取れなくなった兵ほど手のつけようのないものはないと、ハロンドは背筋が寒くなった。


「んー。まあ、頑張って。来週は死んでも一人に抑えて欲しいなー。教師討伐戦でたくさん死んでくのは目に見えてるからさ、二学期とかそれ以降の先を見通すと、ストックって言っちゃ言い方が悪いけど、少しでも戦える人間を残しておきたいよね」


「善処します」


 ナイサンは笑みを浮かべて答えた。

 見るものを安心させる笑み。だが、本当に考えていることは読み取れない。


 (……ん?)


 ハロンドは何か掴めそうな気がして、思考を止めた。

 ナイサンの笑みは、自分の思惑を隠すポーカーフェイスというものだ。

 つまり、本性を()()()()()


 (ああ、そういうことか)


 ハロンドは立ち上がった。


「ナイサン、僕に意見があるよ」


 ハロンドは立ち上がった。


「何でしょう」


(から)め手を使おう」


「ほう」


 ナイサンはなるほど、といった風に呟いた。

 ふつうなら正攻法で行った方がいいのだが、四の五の言ってられる状況でではないとハロンドは判断したのだ。


「具体的には?」


「彼らは統率が取れているわけではない。将にとって、統率の取れなくなった配下というのは何よりも恐ろしいが……それを逆手に取るんだ」


 

 



 







 


 






 


 

 毎日投稿してる人とかどんなタイムスケジュールしてるんだろう、マジ尊敬ですね。

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