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奇跡のメロキ


クロノは艦橋で、ナルド要塞守備艦隊の分艦隊の司令官のリタナード・ルド大佐との通信を繋げている。


「ルド大佐、反乱軍の150隻の艦隊ですが、可能性の高い2つのパターンがあると考えています。1つ目は、150隻の艦隊が連続ワープで別の星系までワープをする。2つ目は、全て輸送船で、半分以上が無人の遠隔操作で爆発物を積んている。ナルド要塞の近くであり、430隻の守備艦隊がいる宇宙空間で、普通の構成の艦隊で暴れるのは、リスクが多いと考えています」


ルド大佐は、金髪のショートヘアの女性で、ナード少将の同期で冷静な判断ができる人物である。


「メロキ大佐の予測は、恐らく当たっているでしょう。ナルド要塞で行われている新型兵器の開発と生産を阻止するのなら、守備艦隊の2倍の戦力を投入しないと確実には落とせないでしょう・・・まぁ、輸送船に爆発物を積むのは、コストをかけすぎな気もするが、旧型艦を使った無人輸送船の特攻なら考えられるな」


ナルド要塞では、新型の兵器の開発と生産が行われているので、反乱軍がそれを奪う為に攻める可能性もあるので警備は厳重である。


「分艦隊の艦長達にメッセージを送って、どちらのパターンでも対応できるようにしておきましょう」


「お願いします」









第35艦隊・第1分艦隊の空母ストライクでは、戦闘機の出撃の用意をしていた。


ハルマは、クロノから届いたメッセージを確認してから、キリーク中尉に命令をする。


「第1分艦隊司令官のメロキ大佐から、届いた反乱軍の構成のパターンの予測を乗組員全員に知らせてくれ」


「了解しました!」


ゼナール大尉は、メッセージを確認してから、ハルマに話しかける。


「連続ワープだと、我々の出番はなさそうですね。爆発物を積んだ輸送船なら、無人戦闘機での攻撃はあるかもしれませんので、準備だけはしておきます!」


「お願いします」


連続ワープであれば、数分でワープするので、戦闘機を出撃させている間に敵は居なくなる。また、爆発物を積んだ輸送船の特攻なら、後退して距離をとらないと危険になるので、無人戦闘機を使う可能性はあった。


巡洋艦での、砲撃の方がコストは安いかもしれないが、距離が離れすぎると命中率が少し下がるので、近づいた方が確実である。


話している間に、反乱軍の艦隊がワープを抜けて表れた。


「反乱軍の150隻の艦隊は・・・全て、輸送船です!!」










第1分艦隊は、すぐに後退を始めた。クロノの読み通りだったので、混乱はなく落ち着いて対応する事ができた。


だが、反乱軍の旧型の輸送船だけの艦隊は、10隻だけ突出して第1分艦隊を追ってきた。


第1分艦隊・旗艦・巡洋艦トールの艦橋では、クロノが対応を考えていた。第1分艦隊には、参謀は居なかったので相談をする相手は居ない。周りには、第1分艦隊の司令部の人間が指示を待っている。


「サーモグラフィーで、反乱軍の艦隊を調べて!」


「了解しました!」


サーモグラフィーで調べると、突出した10隻には生体反応はなかった。残りの140隻には、2人から3人の生体反応があった。


(突出してる10隻に爆発物を乗せている?それとも、新型兵器が隠されている?)


「第1分艦隊の、艦長全員に通信を繋げて」


「了解しました!」


あらかじめ準備していたので、すぐに通信が繋がった。


艦橋には、各艦長の少し小さなサイズのフォログラムが映し出された。


「現状は、把握ているわね!」


「はい!」


「作戦を伝えます。反乱軍の突出している10隻には、爆発物か新型兵器を積んている可能性があります。これを、空母ストライクの無人戦闘機で近づいてから攻撃をしてもらいます」


第一分艦隊の艦長達が、ハルマの方を見たので、ハルマは少しだけ緊張をした。


「了解しました。スタンバイさせている無人戦闘機を発艦させます!」


「他の艦は、後退を続けて爆発物や新型兵器だった時に、いつで対応できるように準備をして下さい!」


「了解しました!」








「スタンバイさせている、無人戦闘機を発艦させてくれ」


「了解しました!」


キリーク中尉は、ターケン・クルス伍長に通信してから、作戦を伝えた。


空母ストライクから、無人戦闘機が発艦された。


空母ストライクでは、クルス伍長が遠隔操作用のコックピットで、無人戦闘機を操縦していた。


「無人戦闘機の操縦は、やりづらいな!?」


戦闘機は目的地の入力だけで、殆どがコンピューターが行って、パイロットがすることは現場に着いてからの作業の操作になるが、無人戦闘機は、モニターを見ながらの操縦になるので感覚が違う。


(まぁ、目的地までは自動運転だしな!)


自動攻撃だと、臨機応変な操作が出来ないので接近してからは遠隔操作になる。


「到着しました!攻撃します!」


遠隔操作の戦闘機が攻撃しようとした瞬間に、反乱軍の輸送船は突出した10隻以外の艦は、ワープして見えなくなった。


それと同時に、突出していた10隻の輸送船は大爆発を起こした。


「えっ!」


クルス伍長は、モニターの画面に爆発が映ってから、画面が真っ黒になったので驚いた。







第1分艦隊とナルド要塞守備艦隊の分艦隊は、かなり距離をとっていたので、被害はなかったが爆発の威力は凄まじかった。


「全体の被害確認!ルド大佐にも通信!」


「はい!」


クロノとルド大佐は、ナルド要塞に輸送船の捜索をするように要請した。









爆発から50分後に、第1分艦隊とナルド要塞守備艦隊の分艦隊は、ナルド要塞に到着した。


ナルド要塞の会議室で、幹部達の会議が行われた。


「反乱軍の、輸送船だけの艦隊・・・何を運んでいたのか気になるわねぇ。ルド大佐は、何を運んでいたと思いますか?」


「サーモグラフィーでは、乗組員以外の熱反応がなかったので、物資だと思われます。恐らく、戦艦か戦闘機の部品等ではないでしょうか?」


「そうねぇ。可能性は、高そうねぇ」


ナード少将は、綺麗な瞳でゆっくりと全体を見渡してから、銀色の美しいロングヘアーを揺らして、クロノの方を見た。


男性の幹部達は、そのしぐさを見て、見惚れていた。


「メロキ大佐は、どう思いますか?」


「はい、ルド大佐と同じ意見です」


(失敗を、恐れているわねぇ。大勢の前で、恥を掻くのが怖いのかしら・・・ふっふっ。よい事を思いつきましたわぁ)


ナード少将は、クロノの美しさにも才能にも家柄にも嫉妬していた。


「そうですか・・・それにしても、今回の反乱軍の行動パターンの予測は、お見事ですわぁ!」


「お褒め頂いてありがとうございます。ですが、偶然予測が的中しただけです」


「まぁ!謙遜なさって!」


ナード少将は、手をポンと叩いてから、笑顔で皆に聞こえる声で話し始めた。


「今から、メロキ大佐の事を奇跡のメロキと呼ばせて頂くわぁ。偶然とはいえ、人的被害は無かったのだから奇跡ですわぁ!」


会議室に居る一同は、声を上げて納得している。


「奇跡のメロキとは、素晴らしい二つ名!」


「赤い薔薇のナードが、二つ名の名付け親とは!羨ましいですな〜」


二つ名は、誰かが自然と呼び始めるものなので、自分で決める事は難しい。


「素晴らしい、二つ名をありがとうございます!」


「いえいえ、喜んで頂けて嬉しいですわぁ!」


(実力で活躍しても、奇跡だと言われ続けるのよ!まぁ、気付いているとは思うけど・・・気付いてる・・・よね?)


クロノは、奇跡のメロキという二つ名を気に入った。


会議では、共和国軍の要塞の警備の強化と反乱軍の宇宙船による自爆攻撃の対策も検討された。


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