反乱軍の会議
反乱軍の司令本部がある第6宇宙要塞・ハマーラでは、反乱軍の将官の会議が行われていた。
会議の内容は、トランズ星系の進行の失敗の責任についてだった。
司会進行役のトスル大佐が、トランズ星系での事を報告している。
「サムール提督と艦橋の司令部に居た10人の士官達は、当時士官候補生だったハルマ・コウサ中尉の戦闘機での奇襲によって戦死しました」
会議室に居る50人の将官達は、ナールキル・サク准将の方を見ている。
「その後、サク准将の命令で第10艦隊は撤退しました」
説明が終わると将官達は、次々にサク准将の責任だと言い始めた。
「サク准将が代理で指揮をとって、進行するべきだったのでは?」
「参謀なら、提督の代理くらい可能だろ!相手は、逃げのスナキだぞ!」
反乱軍最高司令長官であるカノミラ・ゴーグ中将は、サク准将を責めている将官達を見ていた。
カノミラは、ランブル・ゴーグ中将の息子で、10年前に30歳の若さで反乱軍最高司令長官に就任した。
カノミラは黒色の軍服を着ていて、体格は痩せていて顔色も悪く、いつ倒れてもおかしくない見た目をしている。
「ゴーグ最高司令長官は、どのようにお考えか!」
カノミラは、お茶を一口飲んでから、ゆっくりと答えた。
「サク准将は、反乱軍の内部で人気があるからね~処分しづらいよね~」
カノミラは、腕を組んでため息をついた。
「サク准将には、第6宇宙要塞・ハマーラの要塞司令官になってもらおう」
要塞の司令官は、目立たない業務と重い責任等があり、割に合わない役職として有名だったが、周りの将官達は、立ち上がってから文句を言う者、納得して黙っている者と様々だった。
静かになってから、マバヒカ・ハクトーチ少将が発言した。
「皆、色々と思う所もあるだろうが、ゴーグ中将の決定に従おう」
将官達は、サク准将の処分よりも次の第10艦隊の提督と参謀の人事の方が気になっていたので、これ以上議論する者ないなかった。
それから少しして、トスル大佐が閉会の挨拶をして会議は終わった。
会議が終わってから1時間後に、最高司令長官のオフィスの横の隠し部屋に、カノミラとハクトーチ少将とサク准将の3人が密かに集まっていた。
「今回は、予想外の事が起きたな~」
「えぇ、驚きましたな。しかも、提督を殺したのが士官候補生の共和国軍の英雄の孫とは・・・」
共和国の上層部が腐敗して、不満を持った者が反乱軍に志願して戦うという構図が理想的であるが、20年程前から一部の艦隊で、共和国の星系での略奪行為があったりして、それが嫌で反乱軍から離脱して脱走兵になる者も出てきた。
カノミラが、最高司令長官になってからもそれは続いていたが、目に余る略奪をした者が不慮の事故で亡くなる事が多くあった。
もちもん不慮の事故ではなくて、カノミラとハクトーチ少将とサク准将が、特殊戦術部隊を使って事故に見せかけて暗殺をしていた。
サムール提督は、トランズ星系で戦死に見せかけて殺害する予定だった。
もちもん、将官にする人間を厳選したり、略奪をする士官や下士官に罰を与えたらいいのだが、そんな事をすれば反乱軍の2割ほどの人員が離れていき、海賊行為を行う集団になる可能性もあったので、密かに暗殺する事を決めた。
海賊行為をする集団が表れたら、共和国軍は反乱軍を殲滅するだろう。共和国軍からすれば、高い税金を巻き上げる口実さえあればよいのだ。
「奇襲のコウサ・・・そのうち消されると思うけど、どうしたもんかね~」
ハクトーチ少将は、腕を組んでからしばらく考えてから話し始めた。
「まぁ、そのうち無謀な特攻作戦とかで、無駄死にさせられるでしょうから・・・放置しておきましょう」
「そうだね~」
その後、次に暗殺する者を選んでから、3人で豪華な食事を食べてから解散をした。
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