学生から中尉になった。
100年前に80の星系が集まって誕生した共和国の星域は、30年前から共和国軍第50艦隊の提督だったランブル・ゴーグ中将が組織した反乱軍に悩まされていた。
そんな情勢の安定しない時に、共和国軍第30艦隊で宇宙軍士官学校の3年生達による宇宙戦闘機の訓練が行われていた。
学生達は全員で116人いて、殆どの者が親や親戚が軍人であった。
学生の列の後方に居て、ため息をついている金髪のスポーツ刈りで背が高いハルマ・コウサもその1人だった。
ハルマは、高校生の時に祖父が共和国軍の英雄と呼ばれる軍人だったので、共和国軍の広報官の勧めで士官学校に入校した。
ハルマには軍人になりたいという意思はなかったが、広報官や教師の勧められたので士官学校に入学をした。
士官学校では知識や技術を得る為に、操縦や潜入活動等の訓練も行われている。
士官学校は、指揮官には様々な知識が必要だと判断してカリキュラムを組んだと公言しているが、実際は、軍の上層部と大企業が癒着して、エネルギー代や潜入に必要な道具等の生産で儲けるための口実である。
宇宙空母・アストラスの格納庫で、士官学校の教官が厳しい口調で話し始めた。
「士官候補生!注目!訓練を、始める前に言っておく!トランズ星系は反乱軍との戦闘は一度もないが、いつ実戦になってもおかしくはない!その事を肝に銘じておけ!油断は、判断を鈍らせる!」
学生達の中には、教官の厳しい口調を聞いて気後れする者もいた。
「了解しました!」
現場の軍人達の評判が、士官学校の評価に繋がる事があるので、教官達は真剣だった。
「これより、訓練を開始する!」
学生達は、小型戦闘機に搭乗してから、宇宙空母・アストラスから飛び立っては課題をクリアしていった。
「ハルマ・コウサ士官候補生、隕石の破壊任務の為に発艦します!」
「発艦を、許可する!」
小型戦闘機の運転は目的地の入力だけで、殆どがコンピューターが行うのでパイロットがすることは現場に着いてからの作業の操作だけであった。
「隕石破壊モードオン!」
目的地に到着すると、タッチパネルの操作をして目的の隕石の破壊をした。
簡単に終わる訓練のはずが、異常警報が鳴り響いたのでハルマは驚いた。
「えっ!何が起きた?」
ハルマが、タッチパネルを操作すると、異常の理由が表示された。
時を同じくして、第30艦隊でも異常警報が鳴り響いて、乗組員達は慌ただしく動いていた。
通信士が、ルノデイに現状を報告した。
「スナキ提督!第30艦隊の側で、ワープの時空の歪みを観測しました!その数、300です!」
「300かぁ〜参ったね。こっちは、100隻だよねぇ~」
ルノデイ・スナキは共和国軍の少将で、逃げのスナキと敵味方から呼ばれる銀髪の痩せ型で年齢は50歳の男性である。
「ゆっくりと、逃げるよぉ〜。トランズ星政府に連絡して、トランズ星系守備艦隊との合流許可を申請しておいてね」
「スナキ提督!敵がワープから出た瞬間に狙い撃ちをして攻撃するべきです!」
第30艦隊の参謀のキリ・カンタは、ルノデイの前に立って、真剣な表情で作戦を提案した。
「敵の数は多い。無理をしたら駄目だよ。我が艦隊が全滅すれば、トランズ星系守備艦隊の90隻だけになってしまうよ。トランズ星系守備艦隊は、実戦経験が殆どないからねぇ~」
ルノデイは、逃げのスナキといわれているが冷静な判断で無理な戦闘を避けているだけであった。
「しかし!撤退をしたら、トランズ星系の民衆が不安になると思います!それに、共和国軍の信頼が揺らぎます!」
ルノデイは、ため息をついてから話し始める。
「信頼かぁ・・・10年前に反乱軍は、共和国軍の30隻の分艦隊を全滅させた後に、リント星で略奪をした。私の妻は、その時に・・・」
「負ければ、全て奪われる・・・そんな事は、分かって・・・ぐっ!」
キリは、家族を反乱軍に殺されているが、ここで言い争いをすると危険だと判断して撤退の準備を急いだ。
ルノデイは、本当なら反乱軍を迎え撃つ指示を出したいが、艦隊や民衆の事を考えて感情を抑えて冷静な判断をした。
ハルマは、小型戦闘機の中で宇宙空母・アストラスからの通信を聞いていた。
「第30艦隊は、トランズ星系守備艦隊と合流する為に移動をする。方向が逆なのと、後20分で敵の艦隊が表れるので着艦は無理だ。コウサ士官候補生は、隕石群に隠れてエネルギーを生命維持装置だけにして待機せよ」
「コウサ士官候補生、了解しました!」
ハルマは敬礼をして、モニターのスイッチをオフにしてから、命令通りに生命維持装置だけにした。
エネルギーを使えば、敵のレーダーに反応する可能性が高まるからである。
「まずい状況だなぁ!?」
ハルマの心臓の鼓動が早くなって、苛立ちが募った。
「なんでだよ!?ちくしょう!」
真っ暗な暗闇の中に、ハルマの声が響いた。
「あっあぁ!戦場に1人かぁ!?ぐっ!」
ハルマは、両手を顔に当ててから目を閉じた。
20分後に、反乱軍の艦隊がワープが終って空間に表れた。
反乱軍の第10艦隊は、トランズ星系で略奪をする為に連続ワープを行って奇襲を仕掛けてきた。
「共和国軍の艦隊は、逃げたか・・・逃げのスナキは、戦う事を知らない軍人だな!ハッハッハッ」
反乱軍の第10艦隊の提督で少将の階級のサムールは、ルノデイの事を腰抜けの軍人だと思っていた。
「念のために索敵機を、出しますか?」
黒髪のイケメンで、部下達から人気がある参謀のナールキル・サクがサムールに尋ねた。
「逃げることしかできないスナキは、伏兵など考えていないだろう!そんな事より、艦隊を2つに分けるぞ!」
「敵の星域で、増援も補給もないのに2つに分かれるのですか!?」
ナールキルは、サムールの突然の提案に驚いた。
「そうだ!時間との戦いだ!サク准将には、150隻の分艦隊を預けるのでスナキの艦隊を殲滅せよ!」
「作戦では、トランズ星に第10艦隊で総攻撃をするのでは?」
「半分で十分だろ!ワシは、疲れたから昼寝をする」
サムールは、艦橋の直ぐ側の仮眠室に向かった。
「第30艦隊と守備艦隊が、合流する前に殲滅させないと・・・」
ナールキルは、手を腰に当ててからため息をつくと艦隊の編成を行った。
サムールは、自分の安全を第一に考えて行動していた。
第30艦隊とトランズ星系守備艦隊が合流して、戦闘になったら戦死する可能性があるので、半分の艦隊で大打撃を与えて弱った敵の艦隊を殲滅した方が自分が生き残る可能性が高まると考えた。
共和国は、各星系から代表の共和国議員を10人選んで、800人の議員達で政治を行っていたが、50年程前から世襲議員が増えて、一部の者達が実権を握って大企業と癒着をして利益を独占していった。
そんな状態を変えようと30年前に、ランブル・ゴーグが共和国の議会があるシーサルド星を、310隻の艦隊を率いて襲撃する事件が発生した。
反乱軍は、共和国に対して反感を持つ者達が入隊して巨大な組織になった。
だが、時の経過とともに、略奪をしたりコネで出世する組織になっていった。
突然目の前に、敵の艦隊が300隻表れたがハルマは冷静だった。
冷静というよりは、絶望に心が支配されていた。
生命維持装置以外の電源を切っていたのと隕石群に居たことで、敵のレーダーには感知されなかった。
ハルマは、戦場に居る緊張と疲労に押し潰されて、眠ってしまった。
ハルマは、祖父が共和国軍の英雄になった日の事を夢の中で思い出した。
当時10歳だったハルマは、祖父のマッサ・コウサの戦死の知らせを母親から聞いた。
「えっ!じいちゃんが・・・」
ハルマは、自宅の台所で悲しみのあまり泣いた。
4日後に、共和国軍の英雄として祖父は、祭り上げられる事になった。
理由は、共和国の最高議長が乗った宇宙船を、反乱軍から守ったからであった。
その際に、シーサルド星の追悼の式典で、ハルマは議員の秘書に強制的に原稿を覚えさせられてから、人々の前で原稿通りに話すように命令された。
ハルマが選ばれた理由は、子供が話した方が、民衆に対して印象が良いと判断したからである。
「僕の祖父であるマッサ・コウサ少将は、最高議長のサムラ・カラン様を守って戦死しました。立派な軍人で、心から尊敬します・・・祖父の命を奪った反乱軍が、憎くて許せません」
式典の会場では、ハルマに対して拍手が送られた。
追悼の式典が終わった後で控室で休んでいると、隣の部屋から大きな声で会話しているのが聞こえてきた。
「いやぁ~。カラン議長!襲撃とは大変でしたなぁ〜。でも、無事で何よりでした!ハッハッハッ」
聞こえてきたのは、最高議長と議員の会話だった。
「本当に驚いたよ!巡洋艦級で敵に特攻してくれたコウサ大佐には、感謝だよ。ふっふっ」
「乗組員を脱出させてから、1人で特攻とは驚きですね。それと些細な事ですが、2階級昇進したのでコウサ少将ですぞ!まぁ、英雄になったし本人も大満足でしょうなぁ~」
「そうだな。共和国歴89年は、忘れられない年になりそうだ・・・共和国軍の英雄には、感謝だな。ふっふっ」
祖父が命懸けで守った人間と、周りに居た秘書や護衛の笑い声が、ハルマの心の中に入ってきた。
遊園地で、心の底から楽しんで笑っているように聞こえた。
共和国議員達の利権絡みの政策が優先されて、追悼の式典の会場は老朽化が進んでいたので話し声は筒抜けだった。
10歳だったハルマの人生観が、変わった瞬間だった。
眠っているハルマは、体勢をくずしてタッチパネルの自動攻撃ボタンを押してしまった。
ハルマは、電源を切っていたが安全装置を忘れていたので小型戦闘機が自動運転で、反乱軍の第10艦隊の旗艦の戦艦・ゴースに向けて飛び立った。
戦艦・ゴースでは、小型戦闘機の反応があったので対応をしていた。
「小型戦闘機の反応がありました。マイナル少佐どうしますか?サムール提督に、知らせますか?」
マイナルは、参謀補佐の役職に就いているが、危機管理の能力はなかった。
「提督の昼寝の邪魔をしたら、怒鳴られてから罰を受けるぞ。多分、レーダーの故障だ。全艦に、自動修復システムを起動するように伝えてくれ。俺は、食堂に行ってるから」
「了解しました」
ナールキルが、士気の高い者達を率いて出撃したので、第10艦隊のほとんどの者達は油断していた。
ハルマが乗っている小型戦闘機が、戦艦・ゴースの艦橋にレイザービームを放って艦橋を破壊した。
艦橋に居た10人の士官と艦橋の近くの仮眠室で昼寝をしていたサムール提督は、爆発に巻き込まれて戦死した。
第10艦隊は混乱をしたが、一番混乱していたのは目を覚ましたハルマであった。
「人を殺したのかぁ!?」
ハルマは過去の体験や政治・経済の格差等を自分なりに調べて人間に失望していたのと、軍人になったら敵兵を殺す事は覚悟していた。
だが、敵であろうと人間の命を奪った感覚に混乱をした。
「はぁっ!はぁっ!えっ!くっ」
ハルマは、両手が血に染まったような気がした。
「人間を殺した。はっぁれっ!人生を奪ったぁ!」
ハルマは、気分が悪くなって俯いたが、震えながらタッチパネルを操作して第10艦隊から離れた。
戦艦・ゴースは、艦橋が破壊されたので、自動修復システムが起動して消火と艦内の環境を整えた。
第10艦隊の旗艦・ゴースにある司令部で生き残っているのは、マイナルだけだった。
マイナルは、提督室から各艦に通信をした。
「司令部のマイナル少佐だ!?旗艦・ゴースが、共和国軍の小型戦闘機の奇襲を受けた!提督と司令部の殆どの者達が戦死をした!」
フォログラムで浮かび上がる、第10艦隊の艦長達は誰も責任を取りたくないので、発言は消極的だった。
小型戦闘機の追撃はさせずに、伏兵を警戒して周りの索敵を命令してから、参謀のナールキルに暗号文でメッセージを送る事が決まった。
ナールキルは、第10艦隊の分艦隊の戦艦内で、通信士が読み上げる暗号文を聞いていた。
「戦艦・ゴースより暗号文が届きましたので読み上げます。共和国軍の小型戦闘機の攻撃により、サムール提督をはじめ司令部の士官は、マイナル少佐以外戦死・・・えっ!?」
通信士は、暗号文の内容が信じられなかったので、読み上げた後に驚いた。
「は?」
ナールキルは、その報告が敵の罠ではないかと疑ったので確認に時間を取られた。
確認を終えたナールキルは、第10艦隊に撤退の命令を出してワープを行った。
ハルマが無事だったのは、反乱軍の士気が低下しているお陰だった。第10艦隊の半数以上の兵士は、圧倒的な戦力で共和国軍の艦隊を殲滅させた後に、トランズ星の住民から略奪する事を楽しみにしているので、命懸けの戦いや提督の弔い合戦など望んでいなかった。
第30艦隊は、反乱軍の第10艦隊が撤退した事を確認した。
「スナキ提督!コウサ士官候補生から、暗号文のメッセージが届きましたので読み上げます!反乱軍の戦艦・ゴースの艦橋をレーザービームで攻撃した。その後は、反撃を受ける事なく反乱軍の艦隊を離脱した。第30艦隊との合流を希望する。との事です」
ルノデイは、笑顔で話始めた。
「共和国軍の英雄のお孫さんかぁ〜。艦橋が破壊されて、第10艦隊が撤退かぁ・・・サムール少将は、戦死した可能性が高いなぁ〜。反乱軍は、略奪がしたいだけの集団かぁ・・・」
医療技術の発展で、寿命か即死か難病にかからない限り死ぬ事はないので、戦死の可能性が高いと思った。
「守備艦隊と合流する事に変更はない。コウサ士官候補生に、分艦隊が迎えに行くまで待機せよと暗号文でメッセージを送っておいてくれ」
ルノデイは、撤退が罠の可能性もあったので、警戒を解くわけにはいかなかった。
「カンタ大佐は、20隻の分艦隊を指揮して、コウサ士官候補生が帰還する支援をしてくれ」
キリは、敬礼をしてからその場を離れた。
ルノデイは、反乱軍に対する憎しみは強かったが、たったひとつの判断のミスで全てを失う可能性があると自分に言い聞かせながら指揮をした。
ハルマは、第30艦隊に暗号文でメッセージを送った後に、戦闘機の面洗面所で手を洗っていた。
ゴシゴシという手を洗う男が、洗面所に響いていた。
「・・・っ」
ハルマの手は、とても綺麗で汚れはない。
「くっ・・・っ」
ハルマは、分艦隊が到着するまで、手を洗うのを止めなかったので手荒れになっていた。
ハルマの脳裏には、10歳だった時に聞いた笑い声と戦艦・ゴースの爆散した艦橋の様子が繰り返し再生されていた。
戦闘から3日後にシーサルド星にある最高議長室の隣の隠し部屋では会議が開かれていた。
隠し部屋は、美しい絵画や高価な家具が置いてある。
会議では、トランズ星系での戦闘の報告を見ながら今後の事を検討している。
会議に参加しているのは、共和国最高議長のサムラ・カランと共和国軍最高司令長官サマール・メロキ元帥と最高裁判所長官のイール・ヤンザである。
「私の推測では、撤退した第30艦隊が守備艦隊と合流して態勢を整えてから、暴れている反乱軍を追い払って、民衆からの信頼が得られるはずだったのに・・・共和国軍の英雄の孫が活躍して、追い返すとは!?」
サマールは、情報を収集してから共和国軍と反乱軍の行動を推測していた。
ルノデイは、サマールの推測の事を知らない。
「全くだ!トランズ星の民衆は、一度も反乱軍の被害に遭っていないから、税金が高いだのと文句しか言わないので、ある程度苦しんでおけば良かったのに!?」
反乱軍に略奪をされた事がない星系は、反乱軍と戦う為に税金を払う事に否定的だった。
サムラは、サマールとイールの会話を聞いてから話し始めた。
「民衆には、軍とメディアの方から反乱軍に捕まったら、宇宙ステーションの強制労働施設で大変な生活が待っていると伝えたり、反乱軍の略奪を大袈裟に伝えているが・・・そろそろ英雄を誕生させて一時的に希望を与えても良いのではないでは?」
サムラは、反乱軍が存在している事で、税金を上げて予算が多く出ているのはありがたかったが、民衆が反乱軍を支持し始める危険性もあると考えていた。
サムラは、反乱軍が結成されてから30年の年月が経っていて、産まれた時から反乱軍がいるのが当たり前の世代が現役になり、考え方の変化が起きるのではないかと少しだけ心配していた。
「最近は、貧困や軍に対する不満を理由に民衆が暴れる事件が増えていますからなぁ~。裁判の数も増えましたよ。ガス抜きが、必要かもしれませんなぁ〜」
「ハルマ士官候補生を軍に所属させてから、中尉にするのはどうですかな?」
「良いですな。ある程度活躍したら、無謀な作戦に参加させてから殺しましょう」
「二つ名は、どのようにするかな」
「奇襲のコウサはどうですかな?」
3人の話し合いで、ハルマを英雄にする事が決まった。
話し合いが終わってから、3人は部屋を移動して食事をした。
食事はとても高級で、値段は一般人が1ヶ月働いて得る給料分の額である。
トランズ星系での活躍から10日後に、シーサルド星でハルマの活躍を称える式典が行われた。
その様子は、80の星系で生放送されて、モニターやフォログラムで民衆が観ていた。
ニュースキャスターと軍事専門家が話している映像に切り替わった。
「コウサ中尉の戦果は、素晴らしいですね!」
「反乱軍の旗艦を攻撃して、すぐに戦線を離脱する!私はコウサ中尉の事を、奇襲のコウサと呼ばせて頂きます!」
「奇襲のコウサ!良いですね!それに、コウサ中尉の祖父は共和国軍の英雄ですから、期待がさらに膨らみますねぇ!」
ハルマは式典の後に、奇襲のコウサと呼ばれるようになった。
一般の家庭では、ハルマの活躍は素晴らしいと称えていたが、酒場等の大人だけの空間での評判は、あまりよくはなかった。
居酒屋の隅でビールを飲んでいる、男達はビール瓶を握りしめてモニターを観ていた。
「英雄かぁ・・・なんか怪しいなぁ。反乱軍とズブズブの関係とかじゃないだろうなぁ~」
男達は、ハルマの悪口を言った後に、マッサ・コウサの事を言い始めた。
「それに、マッサ・コウサは、最低の英雄だ!」
「そうだ!そうだ!」
酔っ払いに関わると、ろくなことにならないので周りの客は、見て見ぬふりをしている。
「あの野郎が余計な事をしなければ、最高議長がくたばって、共和国が変わっていた可能性もあったんだ!?」
「まったくだ!」
「国民生活の安全の維持の為に、誠心誠意職務に努るとか言って・・・やってる事は、国民を苦しめる事しかしていない!」
男達は、テーブルを叩いてから怒りの表情をした。
居酒屋の愚痴まで、取り締まったら国民の暴動が起きる可能性が高いので放置されている状態である。
共和国の上層部は、普段から文句を言っている国民よりも文句を言わずに我慢している国民の方が、我慢の限界を超えた時に何をするのか分からないので、そっちの国民達の警戒に力を入れている。
最後まで、読んで頂きありがとうございます!
2025年4月2日
小説の内容の一部を、表現の修正と追記を行っていますので、ご理解をお願い致します。