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一緒に

明依美が駅で秋葉原行の電車を待っていると、突然ぶつかってきた、美少年。


 その美少年を追いかけていた、金髪ポニーテールが言うに、その少年の名前は無吾非と言うらしい。


 突然金髪ポニーテールが無吾非君という美少年に、電撃らしき魔法を放った時には本当にびっくりした。


 遠くからブチブチと、内臓がちぎれる音がした。


 はじめは何が起きたのかわからなかった。


 いや、分かりたくなかったの、間違いかもしれない。


自分の目の前で死人が出るなんて考えたくもなかったから。


 「だ、大丈夫ですか?!」


 明依美はもう死体になっている可能性のある少年の方へ駆け寄った。


 無吾非君に電撃らしき魔法を食らわせていた金髪ポニーテールの少女は、


「あはは!死んだ?」


 と、無邪気に無吾非君に聞いていた。


 サイテー


 人の死を笑うなんて!


 「逃げ、、、、ないと、、、。」


 無吾非君は生きていた。


 内臓が破裂してもなお、必死に金髪ポニーテールから逃げようともがいていた。


 こんなにぼろぼろな姿になってまでも、生きることに必死な少年を見て、心が傷んだ。


 「なんだぁ、生きてるじゃん。今度こそ死ね。」


 金髪ポニーテールは無吾非君にまた、電撃らしき魔法を食らわせようと、右手を上げた。


 流石に、あれをまともに2度も食らえば確実に死ぬ。


 明依美の直感がそう言っていた。


 なんとかして、あの少年を助けたい。


 せっかくイケメンに生まれてきたのに、死んじゃうなんて可愛そうだもの!


 明依美はリュックサックから鉄の水筒を取り出し、金髪ポニーテールの頭部を思いっきり叩いた。

 

ガンッ


 バタッ


 「いってっ、、、、」


 金髪ポニーテールは、よほど痛かったのか、うずくまって動かなくなった。


 明依美は、無吾非君を背負って、全力で走った。


 この近くに病院ってあったかな、、、。


 て、ゆーか、間に合うかな?!


 内臓破裂してたよね?!


 でも、息はある、、、望みはある!!


 「はあはぁはぁ!!」


 明依美は無吾非君を背負ってひたすら走る


 走る


 走る、、、、


「もう、いいよ。降ろして。」


 無吾非君が後ろからそう言ってきた。


 私はこう返した


 「ダメだよ、大怪我してるし。」


 「それなら大丈夫。」


 ?


 無吾非は淡々と明依美にそう言った。


 何を言ってるの?


 内臓破裂してたよね?


 大丈夫なわけないじゃない!!


 強がりにも限度ってものがあると思うよ、無吾非君。


 そう思って口を開きかけたら、


 後ろからグイッと、手を引っ張られた。


 無吾非は自分で、自分の服を、むねのあたりまでめくり、明依美の手のひらを無吾非の腹に押し付けた。


 ほんのりと温かい。


 「ひゃ、ひゃああああ!?!?」


 突然の出来事に明依美は目を回し、叫んだ。


 でも、しょうがないよね。だって、いきなり男の子のお腹を触ってしまったんだもの!

 

こっちはいっぱいいっぱいなのに対して、無吾非君は澄ました顔をして、


 「もう治ってる。」


 と、明依美に言った。


 へ?


 そんなわけ、、、、


 「ひゃ、治ってる、、、、」


 本当に治っていた。


 さっきまで、お腹が張り裂けていて、血がダラダラと出ていたはずだよね?!


明依美の見間違いかな?!


 明依美が、無言で無吾非のお腹を見つめていたからか、無吾非は、少し、眉を潜め、


 「僕は人間じゃない。だから簡単には死なない。ほっといて下さい。あなたを巻き込みたくないんです。」


 そっぽを向いてそう言った。


 それ聞いてついつい明依美は無吾非の肩を掴んで、


「君みたいなイケメン、なかなか見つからないのよ?!ほっとけないわよ!!」


 と、叫び半分で言ってしまった。


 どうしよう


 これでは明依美が無吾非に顔目当てで迫っているようではないか!


 言ったあとに明依美は後悔した。


 でも、嘘は言ってない、、、明依美は、ただ、ちょっと、正直者なだけなのだ。


 明依美は、このことを言ったことで、無吾非に少し引かれると思った。


 だから、この後、無吾非が明依美に言ったことを理解するのには時間がかかった。


 「じゃあ、構ってもらうから。」

 

「、、、、、。」


 「聞いてる?」


 「え、あ、はい!どーんと頼って!」

 

 明依美は慌てて返事をした。


 これで無吾非君を病院に連れて行ける!って、そういえば、もう傷は治ったんだっけ、、、


 じゃあ、明依美が無吾非君にできることは、、、、、、


 この辺の土地勘がある明依美が、金髪ポニーテールから、無吾非君を逃がすことだね!


「一緒に逃げよう!」


 明依美は無吾非に向かって手を差し出した。


「うん。ありがとう!」


 無吾非君は紫苑の手を取る。




 



……こうして無吾非と明依美の逃避行が始まった……







「……その前に君に渡したいものがあるんだ。あと、僕、まだ名前を言ってなかっよね。僕は無吾非。これからよろしく。」


 無吾非はそう言って、ズボンのポケットから何かを取り出した。


 「わ、私は明依美!よろしくね!」


 「うん。」


「ええと、無吾非君。渡したいものって、、、なあに?」


「明依美ちゃん、手を出して。」


「うん。」


明依美は無吾非の言われるままに左手を差し出す。


 無吾非は明依美の手を優しく手に取り、左手の薬指にするりと指輪をはめた。


 そのとたん、指輪が七色に光りだした!


「綺麗.....」


 「え?」


「ありがとう!無吾非君。大切にするね!」


 うれしかった。


 初めての男の子からのプレゼント。


 無吾非君とは、今日、出会ったばかりだけれど、うれしい。


 ちらりと無吾非君のほうを見てみると呆けた顔をしてこちらを見ていた。


 どうしたんだろう


 明依美が首をかしげると、無吾非君は目をそらして苦笑いをしていた。


 そして、明依美とおそろいの無吾非君の左手の薬指にはめてある指輪を見て、


「……………………………………。うそでしょ」


 と、呟いて無吾非君は天を仰いだ。


………………いったいどうしたのだろう?


 そう明依美が思っていると、


 無吾非は明依美のほうに振り返って満面の笑みで明依美を見つめてきた。


 無吾非君が、なぜ、うれしそうなのかは、明依美には、わからなかったが、明依美もつられて無吾非君に笑い返した。









    …………続く…………

 

  

 


 

 

 

 


明依美ちゃんは最初から無吾非君にべたぼれ

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