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桃太郎伝説 異伝 ワン太郎鬼ケ島に向かうの巻

作者: 柏木星凛

ワン太郎、鬼ヶ島に向かうの巻


ある日、犬村という村に、賢くて勇敢な犬が生まれました。この犬は、名前をワン太郎といいました。彼は村一番の好青年で、皆から愛される存在でした。


ある日、鬼が島という恐ろしい島に悪い鬼たちが住んでいることがわかりました。村人たちは危険な鬼たちを倒すために、ワン太郎に頼みました。ワン太郎はためらわず、仲間の猿モンキー、雉ヒメ、そして桃からうまれた子供のくせに、兜をかぶった、桃カブトという武将と共に、鬼が島に向かうことに決めました。


船に乗り込んだワン太郎は、桃カブトに、戦いの間に舟が流されると村に帰れなくなることから、舟の留守番役を頼みたいと、桃カブトにそっと持ちかけました。しかし、桃カブトは、どうしても鬼ヶ島に上陸して、写メを撮りたいとさんざん駄々をこねたので、皆と話し合った結果、ワン太郎は潔く、桃カブト、猿モンキー、(キジ)ヒメに大役を譲ることにして、その代わりに、彼は舟で一番高い場所に座って、風を感じながら景色を楽しむことになりました。


一方、猿モンキーは木登りが得意で、(キジ)ヒメは空を飛ぶ力を持っていました。彼らはそれぞれの特技を駆使して鬼たちと戦うことにしました。


鬼ケ島はが近くなると、皆は、ソワソワし始めましたが、ワン太郎は、キビ団子をむしゃむしゃ食べていて、食欲は旺盛でした。


皆は、仮眠を取ると、鬼ケ島に着岸していて、それでも尚、キビ団子を食べ続けている、ワン太郎の肝の座った意気地に、嫉妬の気持ちすら覚えました。


桃カブトと、猿モンキーと、雉ヒメは、舟を着けた岩場から、ゆっくりと青い砂浜が広がる鬼ケ島に上陸し、雄叫びを上げながら、鬼がひそんでいそうな洞窟の入口まで走りました。


すると、洞窟の中から、現れた無数の鬼から、たくさんの歓声が聞こえました。


あの凶悪と聞いていた鬼が、

「皆さん、よく来てくれました!」と、口々に歓迎の言葉を皆に投げてくるではありませんか。


赤い顔をした、化粧がうまい、女性と見える鬼もたくさんあらわれて笑顔を見せています。

鬼のこどもは手を振ってくれています。


底意地の悪い桃カブトは、瞬時に、これは罠かもしれないと思いましたが、あまりの拍手と、

歓声から、すぐにそんな気持ちは、飛んでいってしまいました。


鬼たちは、すぐさま、

珍しい客人たちに、

フルーティーなウエルカムドリンクと、リッツのオードブルパーティースナックで、歓迎してくれたのでした。


最終的に鬼達に、盛大にもてなされ、友好村として、鬼の村長と、再会の約束を取り付け、お土産のみたらし団子と、麩菓子をたくさんもらい、鬼の村を後にしました。


一方、ワン太郎は船で待っている間、ダジャレを考えていました。船の上でのんびりと過ごし、「豆乳を投入!」や、「はじめまして!大豆きな子で〜す」など、楽しいセリフを思いついていました。


みんなは、ワン太郎が待つ、舟に到着すると鬼ケ島の様子をワン太郎に報告しました。


歓迎を受けたこと、そして、お土産をもらったこと、すべて、ワン太郎は、飛び上がるほど大喜びでした。

自分がごちそうにありつけなかったことについては、少し残念でしたが、舟で考えついたユーモアあふれるセリフをみんなに聞いて欲しかったので、すぐ様、お披露目したのでした。


彼のセンスの良いダジャレは、戻ってきた桃カブトと、猿モンキーと、(キジ)ヒメを笑いの渦に巻き込みました。


そのあと、猿モンキーは、早くもお土産にもらったみたらし団子を箱を開け、上蓋に1枚の封筒が貼ってあることに気づき、ワン太郎に手渡しました。


桃カブトは、鬼の村長からの友好の手紙だと思い、涙があふれそうになりました。

ワン太郎は封筒を開け、手紙を見ながら、

「請求書 飲食、おもてなし代 米1万石也」と読み上げました。


猿モンキーは、団子を吹き出しそうになり、(キジ)ヒメは、舵輪に留っていた脚をすべらせて、床に腰から落ちました。


ワン太郎は、「嘘ぴょ〜ん!」と体をくねらせて言いました。


桃カブトは、あまりの驚きにズッコケました。


ワン太郎は、「またお越しください 村長」と、手紙に書いてあるメッセージを読みました。


ホッとしたみんなは、また爆笑でした。


生まれ故郷の島に着き、

ワン太郎は、村の人に、いきさつを話そうとしたところ、また笑いがぶり返し、仕方がないので、桃カブトが説明しようとしましたが、笑いがうつり、説明出来ませんでした。


笑いながら、桃カブトは、鬼ケ島で撮った写メと手紙を、村人に見せると、村の人々は、はじめは驚いていましたが、平和だったことがわかりはじめました。


ワン太郎のダジャレは、そのあと、村の人々に大いに笑いを提供しました。


その後、ワン太郎と仲間たちは英雄として、称賛されました。


しかし、ワン太郎は船でのんびり過ごしていたことから、皆から「ボートロール」「一万石」とからかわれ、生涯バカにされました。


それでも、ワン太郎は笑顔で受け入れ、村の守り神として崇められるようになりました。彼の功績を称え、犬村にはワン太郎の銅像が建てられ、それからも村人たちは彼の名前を呼び、なにか大きな災害が起きる前兆があると彼に助けを求めました。

ワン太郎は犬の神様として、村の平和を守り続けました。


そして、ワン太郎の名前は代々語り継がれ、村の歴史に輝く存在となったのでした。ワン太郎は、軟弱者とからかわれた過去を持ちながらも、最終的には偉大な守り神として尊敬され、村の宝となったのでした。


おしまい

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