プロローグ
「ずっと不思議だったんだけど……、さ、榊原くんは、なんで私なんかに優しくしてくれるの? 私なんて、常識が無いから時々変なこと言っちゃうし、それに性格も暗いし――」
「そんなこと、言うなって」
「さ、榊原くん⁉」
放課後の二年C組の教室。
梅雨の長雨が校舎を打ち付ける音が響く中、キャサリーンが始めた悲痛な思いの告白は、突如として止められた。
榊原の胸に、強く抱き寄せられたことによって。
「えっ? ちょ、ちょっと」
「悪いな。急にこんなことしちゃって」
全身を包み込まれる、力強くも優しい抱擁。確かに感じる温かな体温。そして、耳元でささやかれる低い声。
その全てがキャサリーンの鼓動を加速させていく。
「でも、自分の好きな人が悪口言われてたら、そんなのは気にしなくていいって抱きしめたくなるのは普通だろ?」
「……えっ? それって――」
「たとえ悪口を言ってるのが、その好きな人自身だったとしてもな」
その言葉を聞いた刹那後、キャサリーンの頭が真っ白になる。
それは今まで虐げられつづけていた彼女にとって、初めて誰かに存在を肯定された瞬間だからであり、そして、
「――――」
何かを考えるよりも先に、初めての口づけを奪われたからだ。
うるさいまでの雨音は、もはや彼らの耳には届かない。
――あとがき
みなさんどうも、作者の大神少年です。前回の更新からだいぶ時間が空いてしまって、すみませんでした。
その間、みなさんはお元気でしたか? 私はというと、なんちゃらは風邪を引かないとばかりに健康優良児そのものでした。だから更新の遅れが言い訳できないわけですが……(汗)。
そんなことはさておき、本編もどんどん盛り上がってきましたね。
榊原とキャサリーンの関係に大きな進展があり、二人をずっと見守ってきた私としても、かなりグッとくるものがあり、書きながら涙がぽろぽろと溢れてしまいました。
今後二人は素直に付き合い始めるのか、それともまた五十嵐あたりが引っ掻き回すのか。私自身、本当に楽しみです。(楽しみにしてないで早く続きを書け)
それでは、更新はいつものように不定期なのですが、続きはできるだけ早くにあげたいと思っております。どうかこれからも懲りずに、本作をよろしくお願いします。