表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/45

7


「そう言えば…龍騎士殿はなぜ私が神の子だと…?」


じーさんがダンジョンのゲストルームに泊まって三日目。

俺とじーさんはポカポカ木漏れ日が暖かい中庭で日課のティータイムを楽しんでいた。俺の足元には魔狼の子どもらがじゃれついているが気にしない。足がもふもふで幸せなだけだ。


「神にしか許されぬその黒髪と黒い瞳。精霊様を従えた神々しいお姿。間違えようがありません。

 儂はこう見えて神聖ルクシア教国の王族に目通りしたこともございます。神の子孫と言われる彼らも御子様ほどの完全なる黒ではありませんでした。

 それにこの庭ひとつとりましても、普通の人間に果たせるような所業であるはずもなく…。僭越ながら一目で分かりましたぞ。」


なるほど、黒髪黒眼は神の子孫の証なのか。つまりこの姿でいるだけでダンジョンということをある程度は誤魔化せる。

俺にとっては最も馴染みのある色というだけだったが、結果オーライだな。


俺の見た目は俺の感覚でもこの世界基準でもなるべくイケメンになるようにしたが、髪と眼の色は自然と黒にしていた。

言われてみれば確かに、ライブラリに載っている主神の彫像に似てなくもない。



──いつも通りの他愛もない話題。

この三日間龍騎士は俺とお茶をする以外はダンジョンの外で魔物を狩ったり、鍛錬をしたり、何やら書き物をしたりと自由に過ごしていた。

なぜダンジョンの外で魔物を狩るんだ。普通逆だろ。庭の魔物を狩らないのか聞いたら、俺を慕って集うものは魔物であっても同士だそうだ。なんだそりゃ。


ふいに龍騎士が俺の前に膝を付き、騎士の礼をとり剣を差し出す。


「御子様、儂の生命もどうやらここまでのようです。

 貴方様に看取っていただけることは儂の人生最大の僥倖。感謝の言葉もございませぬ。

 御子様の使命を無事に果たせますよう祈りを込めて、龍と儂の魂の籠ったこの剣を貴方様に捧げさせてくだされ。」


厳かに告げられ動揺する。

じーさんは俺を何かの使命を帯びて降臨した神の子だと信じ込んでいる。もちろん俺からは一度も口にしたことはないが、否定しない時点で偽っているのと同じことだ。

俺なんてボロが出ないようにじーさんの滞在中も必要以上に接触しないようにするせこいダンジョンマスターだというのに。


生命を貰うだけでも十分騙し討ちのようなものだというのに、命より大切だと語っていた剣を受け取るのは心苦しい。

しかしじーさんがここまでしてくれた気持ちを考えると拒むことは俺には出来ないな。


「受け取りましょう。龍騎士殿が世界の礎に還ってもこの剣は私と共に在ります。」



じーさんはそのまま逝ってしまった。

俺が剣を受け取った直後に、どこか誇らしげな悔いのない表情のまま。

じーさんの剣はずしりと重い。

どこで得た知識だったか、人は死ぬと数グラム軽くなり、それが魂の重さなのだという話を思い出した。


ダンジョンで死ぬとその肉体は魔素に分解されて生命エネルギーとして取り込まれるが、魂はどこにいくのだろうか。

そんなことをぼんやり考えながら、らしくもなくじーさんの冥福を祈った。



だけど俺はダンジョンマスターだ。

感傷に浸る気持ちは嘘ではないが、極上のご馳走を前に舌舐めずりをする本能を否定するつもりもない。


じーさんの肉体がゆらゆらと魔素に分解され、ダンジョンに吸収されていくのをじっと眺める。

じわりじわりとチカラが漲る。ライブラリ経由でコアにエネルギーが流れ込むのも分かった。

約束通り龍の装備も魔素に分解し、ダンジョンに吸収させる。


俺の手に握られた龍の剣を残して、じーさんは跡形もなく消えていった。


ぶるりとダンジョンが歓喜に震える。

すげ、じーさんと装備を吸収したらコアの充填率が2%を超えた。

じーさんだけで約1%だな。今後の目安にしよう。

コアを完全に満たすにはじーさん百人分か。…このコア100%になる日は来るのか?



会話ができる相手が突然いなくなったからだろうか。空虚なリビングは、暖炉でイフリートが踊っているというのに寒く感じる。

やめやめ。湿っぽいのは終わりだ。気を取り直してライブラリを確認しよう。


──────────

【NON NAME】Level Ⅰ

【種族】ダンジョンマスター

【強さ】弱い

【固有魔法】ライブラリ 閲覧レベルⅢ up!

【特徴】人型で知能が非常に高く、比較的温厚。ダンジョンコアを固有魔法に埋め込んだためコアを内包していない。

──────────

【ダンジョン名称】迷いの森の憩い小屋

【配下】イフリート、ノーム×5、ブラウニー×2

【階層】第一層 ログハウス

【ダンジョンポイント】137,296 up!

【ダンジョンマスター強化率】1% up!

【コア充填率】2% up!

──────────

【作成可能配下】

・龍騎士グラン  100000 new

・ホワイトドラゴン50000 new

・ヴァンパイア  10000

・エルフ     10000

・イフリート   1000

・ノーム     1000

・サラマンダー  1000 new

・リザードマン  500 new

・インキュバス  100

・ブラウニー   100

・ゴブリン    10

・スケルトン   10

──────────

【作成可能フロア】

・鉄筋コンクリート一戸建て  100000

・木造一戸建て        10000

・ログハウス         1000

・鍾乳洞           1000

・洞穴            100


【設置可能拡張機能】

フロアを選択してください

罠機能を解放するにはダンジョンマスターの位階が足りません

──────────


なんかトカゲ要素が増えたな。

ってじーさん作成できるのかよ。え、どゆこと。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ