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ふっふっふ。

それでは、あれからたっぷり悩んで顕現した我がダンジョンをご紹介しよう。


雪深い緑の森。木漏れ日差し込むその場所に、木の柵に囲まれた素敵なログハウスが見えて来ました。どっしりとした重厚感のある丸太が惜しみなく使われていますね。

おや、家の前でノームが数人、何やらしていますよ。小さな体で一生懸命土を運んでいるのは、見た目はおっさんだとしても可愛らしいような気がしますね!


木の温もりが感じられるドアを開けてみると、まぁ!ささやかな玄関から見えるのは居心地良さそうなリビング。20畳ほどの空間にフカフカのソファとローテーブル。

暖炉には炎に姿を変えたイフリートが赤々と踊り、マシュマロだって焼けちゃいます。ヒト型になると暑苦しくてたまらないのでずっとそのままでいてもらいましょう!

大きな窓の向こうの大自然の冬景色が美しいですね。テレビが置いてないのはご愛嬌。


リビングに続いてダイニングを見てみましょう。こちらも20畳ほどの部屋に八人掛けの大きなダイニングセット、カウンターの前にも三つほどチェアが並びます。

カウンター越しに見えるキッチンは広くて使い勝手も良さそうです。パントリーも充実していますが果たしてこのキッチンを使う日は来るのでしょうか。


おっと、ここでブラウニーがお出迎え。なになに、お料理もお任せくださいですって!見た目は小柄な小汚いおっさんですが、家事を任せられるのは助かりますね。


ダイニングの向こうには廊下を挟んでお手洗い、パウダールーム、脱衣所にバスルーム。ダンジョンマスターさんの長い脚を伸ばしても余裕のあるバスタブは嬉しいですね。

ランドリールームから繋がるウォークインクローゼットの向こうには主寝室。家事導線を優先したなかなか面白い間取りです。家事をするのはブラウニーなのに。

キングサイズのベッドに眠る予定なのはダンジョンマスターお一人。切ないですね。


リビングを挟んで向かい側には寝室が3部屋。各部屋にセミダブルのベッドが二つ並び、なんとすべて専用バストイレ付です。人の気配のない森の中でこのゲストルームはなんのためにあるのでしょうか。



…自分で説明していて虚しくなってきたぞ。

イメージは森の中の宿屋、もしくはシェアハウスだ。一応ライブラリの情報からこの世界にあってもおかしくない構造にしておいたぞ。

間取りや機能はポイントを使ってカスタマイズ済み。

客の目に触れない予定のキッチンから先は俺が過ごしやすいように魔改造してあるけどな。


ウリは妖精と精霊がおもてなしをしてくれるというところだろうか。この世界では神に近い存在という扱いらしいからな。ノーム、イフリート、ブラウニーとおっさんばっかりだけど。

ちなみに立地は入ったら二度と出られないと恐れられている迷いの森の奥深くだが、一応人間が訪れてもダンジョンだと分からないように偽装しているつもりだ。


コアは魔素溜まりで発生する性質から、どうしてもこういう人里離れた場所にダンジョンはできるんだよな。

それなのに一年以上維持できるダンジョンは約半数。残りは人間の執念で発見され狩られてしまう。三年以上になると全体の二割くらいだろう。

まぁ三年以上ダンジョンとして成長していれば、もはや人間にとっては軽々しく攻略できるような規模ではない。そういった中級規模以上のダンジョンとなるとお宝で人間を誘い込むようになってくるから、より強い生き物を吸収するのはやはりダンジョンマスターの本能なのだろうな。


自然環境を模している筈のダンジョンを人間がどうやって発見しているかというと、大半は突然周りの環境と違う空間が生まれるからだ。

荒野のど真ん中に洞窟とか、森の中に岩山とか。

あとは魔素がやたら濃いとか、空間が歪んでいる、極めつけは死体が魔素になって消える、といったところだろう。


その点俺のダンジョンは一応人間に擬態している俺が家主として存在しているので、人間の手が入っていると思えばそこまで不自然ではないだろう。

こんな場所に住んでいるくらいだからそれなりの力を持った訳アリ魔術師、といった設定にしておくかな。


この森には人間の方向感覚を狂わせてより魔素の濃い位置に引き寄せるような磁力が働いている。

魔素が濃ければその分魔物も強力になるため入り込んだら出られないという環境が生まれたのだが、現在最も魔素の濃い場所にあるのが俺のダンジョンだ。

つまり森に迷い込んだ人間は途中の魔物にやられなければここに辿り着くというわけ。途中の魔物をかわせるほど位階の高い人間だけが。

そんな人間に宿を提供するのだ。


いや、なにも寝首を搔こうってわけじゃない。多分無理だしな。

正反対だと驚くかもしれないが、生き物は戦闘中と睡眠中に生命エネルギーを強く発散させるから、ダンジョンの中で眠ってもらうだけでもそれなりの生命エネルギーを吸収できるのだ。それが位階の高い人間ならなおさら。

だから俺のダンジョンのシステムはなかなかいい線いってると思うんだが…。



ダンジョンの構成を考えついてから、俺は生命エネルギーの配分率を変更した。

ダンジョンマスターである俺の強化に10%、ダンジョンポイントに40%、コアの充填に50%だ。

戦うつもりはないので俺自身の強化は優先しない。それよりもコアの充填を優先したのは理由がある。


──────────

【NON NAME】Level Ⅰ

【種族】ダンジョンマスター

【強さ】弱い

【固有魔法】ライブラリ 閲覧レベルⅡ

【特徴】人型で知能が非常に高く、比較的温厚。ダンジョンコアを固有魔法に埋め込んだためコアを内包していない。

──────────

【ダンジョン名称】迷いの森の憩い小屋

【配下】イフリート、ノーム×5、ブラウニー×2

【階層】第一層 ログハウス

【ダンジョンポイント】623

【ダンジョンマスター強化率】0%

【コア充填率】0%

──────────


小屋で悪かったな。



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