ファーデル商会に電話をあげる
基地の建設をした後、私は疲れたので宿舎で仮眠を取った。備え付けのベッドに体を投げ出してしっかりと寝た。このワンルームは風呂を設置しない代わりに部屋の面積を広めにとった。風呂、トイレはしっかりとしたのが共用スペースにあるから良いだろう。それから目を覚ますと12時過ぎだった。今日から時計を稼働させたのだ。今まで時計が街に置いていなかったからまったく気にしていなかったが。
「良く寝たー。12:30だし何か食事でも食べるか。」
私は菓子パンとコールスローサラダを召喚し、朝食(本当は昼食)を食べた。食事を食べ終わってから私はファーデルに行くことにした。やることは色々とある。数名のアンドロイドを呼び寄せて行くことにした。
「これよりファーデルまで向かう。所要時間は2時間を予定している。使用車両はJLTV GP2両だ。一号車の運転は私がする。輸送物品は電話2台だ。」
「「了解。」」
私たちは出来てまだ少ししか時間の経っていない第一基地の南門から出て、一路ファーデルに向かった。JLTVの足回りはかなりしっかりしている。走破性が高く、途中岩だらけの場所に入ってしまったが難なく通過出来てしまった。気温が高くなっているせいか少しぬかるんだ場所もあったが豪快にすり抜け、運転に夢中になっている間にファーデルに到着した。ファーデルに近づいてきた段階で街道を歩く人間が大騒ぎしていたような気もするが気にしない。門の前に到着するとこの前と同じ門番が数人の門番と共にこっちに槍を向け警戒していた。私が扉を開けて車外に出ると男が素っ頓狂な声を出した。
「なに!?モンスターが人に似た形の物を生んだと!」
「失礼な!これは馬車と同じ役割を果たすものだ。それと門番さん、これが私の冒険者証とファーデル商会の証明書だ。」
門番は足を震えさせながらこっちに近づこうとするものだからしびれを切らした私は門番の方に証明書を投げた。
「この距離なら流石に安心だろう。むしろ普通になってもらわなくてはこまるのだが。」
門番がそれを拾った後しばしの沈黙が流れた。既に周囲にはギャラリーが出来ており、うっとしいと感じた。
「分かった。確かに本物だ。良いだろう、早く通ってくれ。」
「どうも。」
私たちは街に入り、そのままファーデル商会の商館前まで来た。
「これは威圧的なデザインだね!」
ナクルは興味津々、オルスさんとニーナさんは引いている。
「康太殿、これは一体なんだね?」
「今後ファーデル商会のお品物はこれでお運びします。そして彼らは我々の従業員です。」
「そ、そうか。あまり深くは突っ込まんが、これだけ早く帰還したということは拠点の確保に失敗したのか?」
「いえ、しっかりと拠点を確保し、業務を開始する準備を整えてからこちらに参りました。それで今日はご挨拶と仕事道具をお渡しに参りました。」
「いつか近いうちに私も康太殿の拠点に足を運びたいものだな。それで仕事道具というのは?」
「こちらになります。許可を頂ければファーデル商会の各支店を回ったときに支店長殿に同じものをお渡ししようかと思います。」
「これはなんだね?」
「電話機といって、遠くの人に声を届ける道具です。これがあれば拠点にいる私や、遠くにいる支店長にも一瞬で連絡することが可能です。」
電話機は黒電話を渡した。電話機の時点でオーバーテクノロジーだが、移動しやすいのも困るしということでこのような形にした。しかしこれは皆さんが知っている黒電話とは明らかにことなることがある。一つ目が周波数と空中線電力、二つ目がバッテリー駆動方式であるということだ。一つ目は黒電話の中身を無線機に変えただけだから大したものではないが、バッテリーは皆さんの生きている50年先の技術を持ってきて超大容量、高密度バッテリーを搭載している。流石にそんなことを説明しても理解されないだろうから最低限のことしか伝えないが。
「すごいな。本当に遠くの人の声が聞こえるのか。」
「これで輸送の依頼、また護衛業務を行っておりますので、御用があればいつでもおかけください。それでは失礼します。」




