開業前編
ファーデルに戻った私はオルスさんにファーデル郊外に輸送用の基地を建設することを相談した。
「なるほど、その拠点を建設すれば輸送時間を安全かつ短時間で輸送できるようになるということか。」
「そうです。ですので土地の取得に関する相談を。」
「ここからユーヤミンへの街道の中間地点と、ピーシーとの中央地帯は凶悪なモンスタ―が多く、普通の人々は近づこうともしない。過去にゴルド王国が軍団を率いて討伐しに行ったが、それも失敗したのだ。康太殿の手腕であれば凶悪なモンスタ―を討伐することが出来るかもな。」
「分かりました。それではそこの土地を取得しようかと思います。」
「本当にやるのか!?危険だぞ。」
「確かに危険ですが、これくらいのリスクぐらいは犯さないと。」
「そうか、分かった。くれぐれも気を付けてくれ。」
私はファーデル商会の皆から送り出されるとファーデルから北北東110㎞程の場所にあるモンスターの出現地帯へと向かうことにした。
出発したのは昼下がり、私は作戦を考えながらユーヤミンへの街道を歩いていた。
「一番手っ取り早いのは大砲で一帯を焼野原にすることだが…、凶悪ということは死骸は高値で売れそうだし…、せいぜい重機関銃とアサルトライフルで行くか?いや、鳥類の扱いはどうしよう?あれだけ言うということは対空砲を持って行った方がいいのか?でもそうするとミンチにしてしまう可能性があるし。困ったな~」
結論が出ないまま日が傾いてきた。私は何かの気配を感じ取った。そしていきなり背後から剣を持った不潔なのと戦うことになってしまった。
一応剣を軽く交えながら警戒をしていると今度は弓が飛んできた。
「なに、よけやがった!」
「そのままサクッと倒しますか。」
私は剣を交えていた方を即座に切り捨て、茂みの中から射てきた奴に肉薄した。
「くそ!、仲間の仇、これまでか。」
そのまま二人目を始末し、神経を集中させるとざっと50人程が隠れているのが分かった。
「くそ、団長の仇、これでも食らいやがれ!火の神よ、我らに力を与えたまえ!ファイアボール!」
火の玉が飛んできた。だが燃焼の原理を知らないのだろうか。炎の見た目をしているだけで生命が停止するには到底温度が足りていなかった。
「これがお前の攻撃か。仲間諸共これでけりを付けよう。」
まるで私が悪役のようにも聞こえるが、まあそんなことはどうでも良い。喧嘩を売ってきた方が悪いのだから。
「ぎゃっ、ぎゃっ、くそー!」
こんな音を何回聞いたであろうか。追加で51名始末したから合計54名を本日始末した。いつもと同じように遺体と体の組織、遺品を回収する。異空間収納には収納したものの詳細な情報を引き出せる機能があって、この集団は漆黒の帝国という名前であったらしい。構成員は全体で3000名、一人当たり最低でも略奪、暴行、強姦、監禁のうち2件はやっている。相当荒らしていたようだ。猶更同情心が湧かなくなってくる。




