[高丘]ーー“家”。
私立、羽澄高等学校、ーー“職員室”。ーーと書かれたプレートを見上げながら、高丘 来緒は其の“扉”の前にいたのだ。“溜息”をひとつ吐いた。深々と。
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「…………………先生………………“やっと”居た。“携帯”返してよ。」
“高丘 来緒”は、そう言った。“橋本 和希”に。ーーーーーー
橋本 “和希”と話をしていた、一年の“学年主任”を務める“来栖 椰宵”が、眉を顰めた。
「貴方ーー“名前”は? 先生は“目上の方”でしょう…………そういう“言い方”は、どうなのかしら? ええと、“何組”の“誰”さんだったかしら。…………」
と。
来緒は思った。“うわあ”と。“めんどくさい”ーーーーと。顔に出して。××××××
××××××××××××××××××××
「“椰宵”先生、申し訳ありません。僕のクラスの生徒です。“高丘”です。『高丘 来緒』。初日なので未だ未だでして。良く言って置きますので、今日の処は。」
と、“橋本 和希”は、言った。高丘 来緒に、その“意味”はーーーー理解らなかった。“はあ?”っと、思った。
諦めた“来栖” 椰宵は、“分かりました”と応えた。そして、
「ふふっ、仕方ありませんね、橋本先生。分かりました。でもーーーーそうですね。では今から“飲みに”行きませんか? ねえ?
“前岸”先生? 偶にはいいですよね? ーー行きましょうよ。」
と、一番近くに居た“前岸”と呼ばれた“男”に、声を掛けた。来緒には分からなかったが、彼は“生徒主任”を務めて在る男だった。年齢は四十代“前半”に為る。“前岸 春立”ーーと言う。
「あ〜嫌それは。“橋本”先生も、お忙しいですし。」
前岸はそう返した。だが、無駄だった。
「えっ、何言ってるんですか、前岸先生!チャンスですよ! “和希”先生、僕にも可愛い女性紹介お願いしますっ!」
と、“未だ若い男性教師”が、そう言った。やはり来緒は“彼”を知らなかったが、一年“二組”の担任だった。
「えっと。“河元”センセは“何”言ってるのかな?
いつーー“女の子”紹介する『話』に為ったのかな。ーーたくもう。『可愛い』女の子なら、此処に。ーーーー。
“ねえ”、『椰宵』先生? 目の前に『居ます』と、言ったげて下さい。」
“橋本 和希”は、そう言った。ーーーー
「あらやだ、和希先生。もう。理解っていらっしゃるんだから。もう! もっと言ってっ! ふふ。」
来栖 椰宵は、二十代後半ーー“橋本 和希”と同世代だった。和希の一つ“上”だ。
未だ若い“河元”は、去年雇った『新人』、『新米』だ。中途で採用したので、今年が初担任だった。
“あ、”と其処で漸く、和希は言った。“高丘”ーーと。
× × ×
「ごめん、ごめん。“携帯”だったな。ほら。良いか?“違反”は駄目だぞ。
次、授業中持ってたら、“親”呼ぶぞ。理解ったか? 了承しないと、返さないぞ? ほら。」
高丘 来緒は、“憤慨”した。“はあ?!”と。“声”に、“出し”てーーーー。
職員室に未だ居た“教師”達の、“注目”を“浴びた”ーーーーの、だった。
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×××××××××××××××、“失敗”だったーーーー。
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“兄”が、ーー来た。“親”の代わりに。どうやら“両親”には連絡がつかなかったらしく、“兄”へ連絡が“行った”ーーらしい。
“仕事場”から、兄がーー“やって来た”のだ。“注意”を受けて。
来緒の前で、兄は頭を下げて“在”た。“申し訳ありませんーーーーッ”と。
其の横で高丘 来緒は、青褪めて在た。反省はして居なかった。だがーー
後で兄に、『叱られる』からだ。来緒は『父』より『兄』が『怖い』のだ。『厳し』過ぎーーて。
母はといえば。“のんびり”した“人”だった。“父”も“娘”が“可愛い”ーー嫌、仕事が忙しい“人”なので、余り“煩く”しないのだ。“嫌われて”しまうからだ。父なりに、気を遣って在たのだ。
母だが。“電話”に出ないならば、『忙しい』のだろう。ーーーー“なんちゃら”教室がーーだ。
最近は、“手作りアクセサリー教室”へと、気に入って通って在た。他にも色々と通っている。“週五”で。もしくは“週四”だ。“何とか教室”だけ、月“二回”とかーー何とか。
正直来緒は関心が無く、把握出来て居なかった。多分“兄”へ聞けば『わかる』ーーと。そんな『“家族”』ーーだった。“高丘”[家]は。
「嫌、態々此方こそ、申し訳有りませんでした。“高丘”さん。何しろ“場所”が、“職員室”だった“もの”で。『話』が大きくーーまあ、“大袈裟”に為ってしまいましてーー。
携帯はお返し致します。御確認下さい。それからーーですね。彼女ーー
“妹”さんの、“持ち物”の“鞄”についてーーなのですが。今後『ブランド物』では登校しない様に、お願い致します。教室に“置きっぱなし”に為る事も“有ります”し、防犯の“為”です。
“お金持ってる”と思われたら危ないでしょ?
“御理解”、戴けます? “高丘 新”ーーさん。おっと、ーー“失礼”。ーー“はい。”
ーーーーーーーーーー“えっ、”ーーーーーーーーーーーー。何“して”んの?」
後半は、“電話”だった。和希の携帯が鳴り出し、ジェスチャーで“兄”へと示した“和希”は、ジェスチャーで了承した兄へと軽く会釈し、其れに“出”た。そしてーーーー、
“扉”が、叩かれた。“和希”は返事をしなかった。が、ーーーー“扉”は開いた。
“失礼しますっ”と、“男”が、入って来たのだ。来緒は慌てた。それは“兄も”だった。
兄も来緒も“男”を知って在た。ーーーーーーーーーー“有名人”だからだ。
『歌手』だ。
「や、“和希”君。お邪魔するぜ。久々。ーー“仕事”終わった?“ただいま”『親友』よ。ーーさ、“呑み”行こーぜ。ワールド“ツアー”疲れたぜ✭ “労っ”とくれ。ーーっと、あれ? “お客”さん?
えっと。“こんにちは〜はじめまして〜和希君の『友人』やってます『滝』ーーと、言います。お話中でした? 申し訳ーー無い”。ーーーーごめんっ、和希“君”っ。や〜帰国したら、舞い上がっちゃってーーさ。そしたら“和希”君の“顔”見たいでしょ?ってね。此れがーーと。さ。ーーね? ついーーさって、…………“何”怒ってんの? 顔怖えよ。………………………………“マイ・ハニー”は……………………………ちょっと。うわ酷っ…………………………………………………………………………………………。 酷いって顔。分かった“ごめん”よ。
…………………………………………………………………………………………。“嫌わない”でよ、“ダーリン”。」
“ジャンピン・スモール・スモール”という“超・人気・バンド”のヴォーカル、
『“滝 蓮”』はーーーーそう言った。“橋本 和希”へ。そして和希は口を開いた。
「ーーーーーー“おかえり”。ーーーーーーで、“誰”が“ダーリン”か。止めてくれるかーーーー“蓮”ーーーー“君”ーーーー。」
と。「“ハニー”でも無いからね。全くさ。で? 手応えは?」
和希に言われた“蓮”は、にやりと笑んで、Vサインを、作った。“いぇい”と。和希もにんまり微笑んだ。“良かった”じゃん。ーーーーと。
「あ、“高丘”さん、お話は“以上”です。御理解戴けましたら今日はお帰り頂いて大丈夫です。後は“御家族で”話し合いを。“僕”は“学校の方針”を、伝える“のみ”ですので。
“残念な結果”に為らない事を、願わさせていただいてますーーーが。どうぞーー“御理解”下さい。ではーー」
“どうぞ”と和希は、退室を促した。“学長室”からの。
“高丘 新”は、正直訝しんで在た。“何故ーー『学長室』だったのか”ーーと。
“応接室等でも”良かったのでは?ーーと。“担任”が対応するだけならばーーーーーーと。
“橋本 和希”を、不思議そうに眺めた。“彼は『何者』だろう?”と。
平坦な表情の“裏”に、“何か”ーーを“みた”のだ。彼は“妹”と、大分違った。『何もかも』ーーが。
[高丘一家]は、そんな“一家”だった。“来緒”だけが、何も“理解って”いないが。
“優秀な兄”と、“陽藍の関係”を“未だ”聞いていない“和希”は、“高丘 新”の勤め先を見て、『全て』把握して、話して在た。
後は“上司”に、“報告”する“だけ”ーーだと。
横でそんな和希を、滝が“面白そう”にーー見て在た。
“来緒”はそんな滝に、うっとりしていた“だけ”だったが。“現物凄い”ーーと。