しょうにん欲求
「ってか、話変わるんだけどオレってどうしても承認欲求が強くて悩んでるんだよね……」
とある席のカップルと思われる男がそう言うと相手の女はこう返した。
「わかるー。だって私もそうだもん」
「だよね。SNSとかでもよく自分から発信することなんてザラなんだよ」
「わかるわかるー。私なんかついつい自分からアピールするのが癖になっちゃってさ……たまには控えめにした方が良いのかななんて思ってはいるんだけどね。どうしてもやめられなくって」
「すっげー気持ちわかるわ。それで反応ないともう自己嫌悪に陥りまくるの!あーさっきの取り消した方が良いかなとかね。逆に反応があるとめちゃくちゃ嬉しくて満たされるんだけどね」
「そうそう。やっぱり反応が欲しいよねー。どうしたらいいかわかんない時とかとくにそう思う。たまに知らない人からメッセージ来たと思ったら元カレだったこととかあるんだけどチョー怖かったし」
「それは怖いね。オレだったらそんなことしないで直接会いに行くのになー」
「えー、直接とか無理。それじゃSNSの意味ないし。それに元カレとかにアピールするのが目的じゃないからさ、やっぱり目的見失うのは良くないよね。みんなに見てほしくて発信してるわけだからさー」
「たしかに。今の時代って便利だからね。ブログとかホームページとかサイトとか、SNS以外でも情報発信できるからね」
「大は小を兼ねるとも言うしね。最近はそれぞれのサービスでどれだけ閲覧されたとか詳細な分析してくれてあるからスゴイ助かるよねー」
「そ、そうなんだ。さすがにそこまでは見てなかったなー。それにしても凄いそーゆーのに詳しいけどネットショップとか向いてそうだよね」
「え?」
「え、オレなんか間違った?」
「商人欲求の話じゃなかったの」