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カレー

「これで世の中から食べ物の好き嫌いをなくすことができるぞ」


 ドクターLは嬉しそうに一人でつぶやいた。何年も研究を重ねてようやく食べ物の味を変化させる錠剤をついに完成させたのだ。

 ドクターは家の前を歩いていた近所のY男くんに明日のお昼に色んな味のカレーパーティーをするからクラスメイトたちをみんな呼んでほしいと頼んだ。

 Y男くんはよろこんでみんなを連れてくると約束した。


「ドクター、みんなを連れてきたよ」

 お腹を空かせた子供たちが30人ほど集まった。

「どんな味のカレーが食べたいか言ってごらん」

「わたしはイチゴ味のカレーが食べてみたい」

「ボクはカニの味がするカレー」

「ボクはスイカの味がいいな」

 みんな好きな味をリクエストしてきた。

「この瓶に入った錠剤を自分のお椀の中のカレーに落としてよく混ぜてから食べてごらん、必ず錠剤のマークの味に変わるはずだろう」

 子供たちは自分の食べたいマークの錠剤をカレーに混ぜて食べ始めた。

「本当にイチゴの味がするわ!」

「カニの味がするカレーだ」

「スイカの味がして変な感じ」

 ドクターは大成功だと喜んだ。これを商品として売れば儲かることは間違いない。


 そんな中、Y男くんは明日の給食のカレーを驚く味にしてやろうと目論んでいた。

「ドクター、もっとすごい味の錠剤はないの?」

「試作品には様々なモノを錠剤にしてあるがとても日常で使うことはできん」

 そう言って試作品の入った瓶を見せてくれたが、ドクターは試させてはくれなかった。Y男くんはドクターの隙をみてこっそりと錠剤を一つ抜き取った。

「ソフトクリームみたいなマークが描いてあるぞ。これを明日の給食のカレーに入れればみんな驚くだろうな」

 Y男くんはみんなの驚く顔を思い描いてワクワクしていました。


 翌日、給食の時間がやってきた。

「よし、カレーの寸胴鍋にクスリをいれたぞ」


「いただきまーす」


 …………


「あれ?」

「今日のカレー変な味がする」

「本当だ、何の味だろう」

「美味しくない……」

「これドクターのうんこの味じゃん!」


 誰かがそう言うとみんな驚いた。気分を悪くするもの、食べたカレーを吐き出す子もいた。


「早く実用化してボロ儲けしたいの」

 博士は独り言をぽつりと言った。すると後ろからドタバタと足音がする。

「ドクターのバカぁあああああ」

 Y男くんはみんなと共にドクターLをボコボコにした。

 ドクターは全治3ヶ月の大怪我を負ってしまった。

 入院中ドクターは病院のベッドの上でふと、疑問が浮かび上がった。


「はて、なぜワシのうんこの味がわかったのだろうか」

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