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31話 私、何やってんだろ

 テレビの観ない私でも、横瀬リリアは知っていた。

 最近よくファッション雑誌やトレンド雑誌、そして男性誌の表紙にまでなっている人気モデルだ。


 ───なんでお笑いのリュウヤとグラビアモデルに接点があるのよ?


 芸能界のウラのことはよくわからないけど、よくよく考えてみれば不思議なことでもないと気づいた私。

 スポーツ選手と結婚する歌手やアナウンサーもよくいるし、歌手と俳優、お笑と女優のカップルもいる。


 それにしてもリュウヤはこの女のどこが気に入ったんだろう?

 横瀬リリアはいかにも気が強そうな負けず嫌いな顔をしていて、可愛いというよりセクシー系。

 ちょっと前に読んだ雑誌の記事には、今までの恋愛体験数は8人で、その8回とも彼氏の浮気により破局したとある。

 でも彼女の高いプライドのせいか“捨てるのはいつも私の方から”と負け惜しみ的な言い訳をしている。

 そもそも彼氏のケータイをこっそりチェックする癖があるそうで、これがトラブルの原因にも繋がっている。


 どう考えてもこのモデル、リュウヤにはキツすぎないだろうか?

 6年間、私に一途だったリュウヤ。

 もし簡単にポイ捨てされてしまったら、リュウヤは立ち直れなくなるんじゃないだろうか?

 雑誌の取材にまで、過去に付き合った男の数や別れた原因を平気で言える女なんて、到底私には理解できない。

 こんな女とリュウヤが絶対うまくいくはずはない。

 このタカピなモデルのために、彼が失意のどん底を味わう必要はない。味わっちゃダメだわ。

 リュウヤの目を覚ませてやらなきゃ。でも…一体どうやって…

 

 ハッ(゜〇゜;)


 その時だった。私が珍しくひらめいたのは。


 ───そうだ!これならきっと…


 その日の夜、私は自分の部屋で時が来るのを待った。

 午後10時…そろそろいいだろうか?いや、もうちょっとあとで…

 開いたケータイを片手に持ち、ちょっとドキドキしながらベッドにうつ伏せになる私。


 午後10時半……よし!もういいかな。

 私は登録メモリからリュウヤへ電話をかける。

 でもコールが3回続いたところですぐに切った。

 これは最初から決めていたこと。

 もし1回目のコールで電話を取られたなら、すぐに切る予定だった。

 この後は返信コールが来ても受けないようにマナーモードにする。

 そしてすぐさま、今度はメールをリュウヤに送信した。


“リュウヤの気持ちも知らずに本当にごめんなさい。今まで私のことをずっと思っていてくれてありがとう”


「これでよし!」

 ケータイを閉じてから、何気に部屋の鏡に映った自分を見ると、顔が意地悪そうにニヤけていた。

 ───と次の瞬間、いきなりケータイからのバイブ音。

「さっそくリュウヤ?それとも…リリア?」

 世の中そんな思った具合にはいかないもの。

 それは私が予想していた二人とはウラハラな人物からの着信だった。

「全くもう、こんなときに…」

 無視するわけにもいかないので、仕方なく電話に出た。


「さゆみ、何か用?」

「( ̄ヘ ̄)ん?…安佳里、もしかして誰かからの電話待ってた?」

「なんで?」

「電話に出るの早すぎ。それに渋々出てる」

 さすがはさゆみ。勘が鋭い。それとも私がバカ正直すぎ?

「まぁちょっといろいろあってね(^_^;)気にしないで。で、何の用?」

「じゃあ手短に言うよ。今日さぁ、昼休みにワイドショーで観たんだ。チビリおぱんつのスキャンダル。知ってた?」

 早速さゆみも気づいたようだ。

「知ってるよ。私も本屋で記事読んだ」

「なんだ。知ってたんだ。今どんな心境?もう吹っ切れてる?まだ凹んでる?」

「凹んでるはずないでしょ!その逆。さっきね、ケータイでリュウヤにいたずらしてやったわ」

「は?何それ?どういうこと?」

 私はさゆみに事情を説明した。

 すると彼女からの予想外な返事が。


「あのね安佳里、あんたのやってることは、ただの嫉妬だよ。あんたはあいつが心の底から好きなんだよ。まだわかんないの!」


「( ̄□ ̄;)ええ〜!!」

               (続く)

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