14話 6人目・シンジローだかジュンペーだか
私が荒れまくったきっかけは、おそらく5人目との別れだろう。
付き合った順番を鮮明に憶えている記憶は5人目のキミヒコまで。
彼は私を大事に思ってるから大切にしたいと言っておきながら、一度カラダを許すと動物に変貌。
会うたびに即エッチっていうのはいかがなもの?
最終的に私が幻滅した彼の言葉がこれ。
「安佳里が“キス嫌い”で良かった。めんどくさい前戯なんか省略できるもんな」
私はカチンときた。キミヒコの本性見たり!
こいつはただ、私とヤリタイだけなんだと。しかも手抜きのエッチで。
大事にしたいだの何だらかんだらと、飾り言葉でその気にさせて、いずれはエッチに誘い込む作戦に過ぎなかったんだ。
そう悟った瞬間、私はキミヒコへの淡い恋心が一気に冷めてしまった。
そして結果はまたしても破局。私の精神はどん底まで叩きのめされた。
だからといって、その後も男に縁がなかったかというと、そうでもない。
その後に知り合った男たちは数知れず。
でも私の方が、どうしても本気の恋を避けていた。
つまりどうでもいい付き合い方をしていたことになる。
回想の時間の中で、ようやく絞り出した6人目がシンジローかジュンぺー。
どっちが先に付き合ったかは不明。時期がかぶっていた可能性もある。
この二人も私とヤルことしか頭になかった。
確か、ジュンぺーの方が私にプレゼントをたくさんくれた気がする。
ダサいデザインのネックレスや趣味の悪いブーツ。
しかも私の足のサイズを勘違いして買って来る不始末。
「なんで私の足が26センチもあんのよっ!」
って言ったら、しょげちゃって、さすがに気の毒になったから、
「ごめん。言いすぎた。買ってくれたお礼に私、何かしてあげる」
って切り返すと、
「安佳里とエッチしたい…」
と一言。
───ε-(ーдー)ハァ…こいつもか
とどのつまりはエッチ目的だったってわけ。
「じゃあいいよ。でもキスはしないでね」
「はぁ?」
「とにかくキスなしでエッチして!」
その都度、何度も同じ説明をするのにウンザリしていた私。
こんな変てこなことを提言しても、男はちゃんとエッチができる。
心配してくれて「何か訳があるんだね。じゃあよそう」なんてい言う男はいない。
結局、ジュンぺーともこれで終わった。
時を前後して、シンジローとも同じことが起きていた。
お前を抱きたいだの、抱きしめたいだのって。
歌の歌詞ならシビレルかもだけど、ハンパなクソガキが言っても様にならない。
所詮、男はこんなもの。
愛とエッチを結びつけると、あまりにも残酷で理不尽。そしてバカを見る。
こうして私は、愛とエッチは別モノだと考えるようになる。
やがて、高校を卒業した私は短大生に。
彼氏と言えるほどの男はいない。作る気もない。
ただ、その頃の私にはセフレが7人、日替わりで存在していた。
そう、SEXは美容とスポーツ!汗をかいて代謝を良くする健康法なのだ!
(続く)