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小さな光
白い世界の古びた牢では。
そこは、白い雪の世界だった。
その白い世界の中に、古びた牢が在った。
高い壁に四方を囲まれ、天井が崩れ落ちたその底には、
容赦なく雪が降り積っていた。
その者は、粗末な麻袋をかぶり、傷だらけの体を震わせていた。
その者は、雪の中に放り出された物乞いの様に、荒んで見えた。
その者は、カヨリナ姫と等しく、理不尽に囚われた、
忌み子の少年だった。
しかし、この薄汚い少年は、カヨリナ姫とは違っていた。
頭上に木板をのせ、雪を凌ぎ、口笛を吹いていた。
その心には、神界には存在しない、小さな光が宿っていた。
カヨリナ姫は、それを静かに見つめていた。
(この様な小さな光が、私の神力を、目覚めさせたのだな)
神界に存在し無い光に魅せられて。