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下界の風
長老神
神界の遥か彼方から、気の良さそうな神様がやって来た。
「ご苦労じゃな。カヨリナ姫様のご様子は、如何かの?」
「は、お変わりございません。」
ふむふむと、長老神は、頷くと、
「よいか、何かあった時は、まず、わしに知らせるのじゃ。必ずじゃ。」
優しい笑顔で神兵に、念を押した。
名も無いこの白い塔にも、唯一、美しく飾られた小窓があった。
しかし、一見装飾品に見えるその飾りは、
神の掟が深く宿った楔〈くさび〉そのもの であった。
全てを諦めたカヨリナ姫。
その小窓から吹き込む風に、なすがまま。
髪をなびかせ、カヨリナ姫は、その美しい手で顔を覆った。
静けさ