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カヨリナ姫と不穏の花
美し過ぎて。父神の娘でありながら、囚われの身となったカヨリナ姫。
そこは余白だった。
神が世界を造った時、使われなかった余りもの。
世界の理から外れ、名も持たぬそれは、
ただ、そこに在った。
神の末姫カヨリナは、その美し過ぎる容姿故に、
神々から疎まれた。
そして、父神とその取り巻きによって、
白い塔〈よはく〉に封じられていた。
神々さえも惑わすカヨリナ姫の存在は、
まるで、「不穏の花」そのものだった。
決して摘んではならぬ「不穏の花」。
神界では、この花が咲くと直ちに、
根こそぎ全てが焼き尽くされた。
しかし、カヨリナ姫は、父神の末娘として、
その身を守られてはいたが。
忌まわしい不穏の花と呼ばれるカヨリナ姫。