学園モノ(のはず)
灰色のパーカーに灰色のスウェットパンツ。寝間着のような格好だが、深夜だから良いか。
そんなことを考え外出する。家を出て徒歩3~4分の所にあるコンビニへと向かう。
カップ麺を幾つか買って帰る。
寝る。
翌朝、スマホのアラームの音で起床。カレンダーを確認。入学式の4月7日まで残り2日である。昼夜逆転生活から抜け出すために、朝に起床したが急だったためかなかなかきつい。
とりあえず、パソコンをいじる。
学校というのは非常にめんどくさい。つまらない授業を受けなければならないし、早いうちに友達を作っておかないと様々なところで不利になる。中学の時のように、また3年間ハブられるわけにはいかない。せっかく、同中のやつらがいないような学校を選んだのだ。無駄になんかできない。
ああ、いっそ異世界転生でもして美少女に囲まれたハーレムライフを満喫したいな。心からそう思う。けれど、現実は甘くない。急に才能が開花したり、遊び人が賢者になったりすることなどそうそうないのだ。
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あっという間に二日が経った。この二日間これといってすることもなく、ひたすら家に引きこもり、パソコンでネットサーフィンをしていた。この時間を無駄にする感じ、さすが俺だなとつくづく思う。
事前に学校から配られたパンフレットを読み、支度。かたい制服を着て家を出る。
満員電車に揺られ、学校の最寄りの駅へと向かう。隣のおっさんの汗臭いにおいが鬱陶しい。しかし混みすぎて移動しようにもできない。仕方ないから、口で息することにした。
しばらく乗っていると、同じ制服の女の子が乗ってきた。制服の様子から察するに同じ新入生といったところだろう。小柄な体格の彼女は、人の波にもまれていて苦しそうだった。あまりにも可哀想だったので、手を引いて助けてあげることにした。ワンチャンここから恋が芽生えるみたいなことがあるかもしれないし。
次の駅に着いた瞬間の人が降りたあとの一瞬がチャンスだ。そこを逃すとまた人が乗ってきてしまう。
タイミングを見計らって彼女の腕をひく。彼女の軽い体が俺の方に引き寄せられる。成功だ。背がひくく、よく見えていなかったがかなり可愛い。透き通るような金色の髪に、水色の瞳。
ショートカットの髪が彼女の整った顔を引き立たせている。
「あ、あの、ありがとうございます」
上目遣いでお礼を述べてくる彼女には相当な破壊力があった。
「僕はただ、するまでのことをしただけだよ」
あえてキザな言葉をかける。こういう時は、結構攻めた方が良いらしい。ネットに書いてあった。
みるみるうちに彼女の顔が赤くなっていく。
フッ、堕ちたな。
どうやら俺の学園生活は充実したものになりそうだぜ。
という俺の未来予想図は彼女の一声によって崩壊したのであった。