I can't see you.
なっしんぐ。
私の世界には色がない。
人々はこう言う
「あなたには黒色が見えてますか?」
まず、黒色というものがどういうものなのか分からない。りんごは赤いといわれても赤がわからない。海の色も空の色も、木の色も。
分からない。
道を歩く。
音が私に迫った。
キキキキ、キキキキ
私はその場で止まる。
鈍く、力強い音は私の目の前を過ぎていく。
ホッとしたところで、前に進む。
耳で音を聞き、鼻でだいたいの景色を把握。杖で安全な位置を確認する。
ここは珈琲屋ね。もう少しでつくわ。
私は今日もあの人に会いに行く。
約束はしてないのだけれど、あの人はいつもあの公園にいる。車の音が聞こえなくなり落ち着いた域に入り、ベンチにそっと近づく。
「あっ、桜子」
穏やかな優しいこの声が私は好きだ。それを聞きに私はたまにここへやって来る。
「相変わらず来るの早いわね。私なんてさっきまで朝ごはんを食べていたところよ。」
「おー、俺もパン食ってきたよ」
私は昨日気にかけたことを聞いてみる
「思うんだけど、なんでわざわざ寒い公園に来てまで書きに来るの?」
「学校にいくまでに少し時間があるからね、この時間にここにいると頭が冴えていい小説がかけるんだ」
なるほど、確かにここにいると集中できそう。
「早く完成した物語を聞いてみたいわ、だけどゆうくん夜は勉強で忙しいんでしょう?だったら余計大変になるんじゃないかしら」
「まぁ、確かにそうだけど、これは趣味だから。」
そういえば自分の趣味とはなんだろうか。思考を巡らせても答えにたどり着くことができなかった私は彼に手助けしてもらうように問いを交えて言ってみる。
「趣味ね、私の趣味は何かしら...」
「そんなんしるかよ...うーん、なんだろな、こうやって僕のところに来ること??」
ドーンと不躾な体が急にあつくなる。
私は恥ずかしくなった気持ちを彼に見せぬように顔をそっぽへ向ける。
彼の微笑み声が聞こえた。
「冗談だよ、ちょっとからかってみた」
私は何を言いだせばいいのか分からなく、ただ黙って立っていた。
「ねぇ、桜子。色が見えないってどんな感じなの?」
急にきた在り来たりな質問に私はボソッと答える。
「...別に生まれた時から全盲だからどうとも思わないかな、視覚がなくても他の感覚はあるしね。恐いって思うことはあるけど、それほど不便だと思うことはあまりないわ。みんなが億万長者にはなりたいけど、なれないって感じよ」
「う、うーん?」
「馬鹿なの?」
「いや、最後の例えが大胆で難しすぎんだよ...」
「そうね、だけれどもし願いが叶うとしたら」
「叶うとしたら...?」
「ゆうくんを見てみたいな。」
タグミスったかな。
続きはあなたの妄想で繋げてください。(投げやり)
最後の比喩からなにか学べるものがあるかもしれませんよ、考えてみましょう