魂という存在
ーーーー
「何やっているんだ?」
誰だろう。知らない男の子が自分の手をのぞき込んだ。自分の手にあるのは、そこら辺に捨ててあった缶。その缶にさらさらした砂ような物を詰める。
「花火を作るんだ」
「おー。どこで上げるんだ」
「友達の家」
「は? あそこは狭いぞ」
「違うよ。友達に目の前で花火を見せたいんだ。そう目の前で」
「あ・・・? そんなの」
意味わかんねぇ、と言いかけて、男の子は気づいた。
「・・・・。いや、花火するなら、もっといいところがある」
「え?」
後に僕らは、山の廃校で花火を誤発し、消防と警察のおっさんに大目玉を食らうことになる。
しかし、僕の考えを阻止し、一緒に叱られた男の子は、嬉しいそうだった。
「やっと、俺の仲間になったな」
その子の呼び名は「まさり」。実はこう見えて女の子であることを小学生の僕はまだ知らない。
ーーーー
ウェーランドから出て、徒歩で1時間。たどり着いたのはぼとんど草原である小さな山。その頂に、多くの花があった。
「これを採ったら終了っと・・」
参考の写真を見ながら、作業を続けたウォンとピーコとミアリー。
「疲れた~~~~」
「お疲れさん」
「その感覚があってうらやましいぜ。俺たちは魂で動いているんだからな」
その場で座り込んだミアリー。僕はピーコを見て、
「そろそろ話そうか? 僕らの秘密を」
「そうだな・・・。帰りに歩きながらするか」
「え? 何?」
「まぁ・・。ミアリーには理解できない話だと思うけどね」
陽が地平線に隠れ始めた頃にウェーランドへの帰路につく。
「それじゃ、説明するよ。さっき、ピーコが言ったとおり、僕らは魂で生きている、と言っても実はちょっと違うんだ」
「何が?」
「この体に憑いたことだよ。僕は機械。ピーコは人形。それぞれ幽霊のように憑いて、思いのままに動いているんだ」
「何で何で?」
「それが、僕らの特殊能力だからさ」
「ふう~ん」
「たまに僕らは食べることがあるけど、実は意味はない。消化されるけど魂エネルギーに転換できないからね」
ミアリーは首を傾げ、唸る。
「何で何で?」
「人間らしい生活をしたいと思うからさ」
「でも、何でそんな姿になったの」
ミアリーの問いに、僕は黙った。
代わりに、ピーコが答える。
「向こうの世界で罪を犯したからな。その罰でここに永遠に動き続けるーーそういう運命だ」
「向こうの世界?」
「あー。それ、話したいけど、したら長いからやめておこう。で。つまり・・・僕らはミアリーと一緒に旅することができない。生きる時間が違いすぎるんだ。だから、ミアリーはウェーランドで普通に暮らして・・・」
「嫌!!!!!!」
ミアリーの一言で、言葉を失う僕とピーコ。
「だって、私、ウォンが好き!! だから、一緒に居て!」
いきなりの告白に困惑する僕。微笑するピーコ。
「ウォン、一本取られたな」
「う~~~ん。ピーコからも説得してよ」
「ミアリーが必要しているのは、誰でもねぇ、ウォン、お前自身の言葉だ。ちゃんと答えろよ」
あ。今気づいた。こいつ、僕のことを面白がっている。
「クククク・・・・」
後でシバいてやろうか。
ウェーランド。「人助け」ギルド。
「そう。一定の金額を貯まったら出発するのね」
ギルドの受付係(女性)が言い、寂しそうな目で僕を見つめた。
「初めからそのつもりでした。それと・・その・・・」
「メラルでいいわよ」
「メラルさん。ミアリーを預けるところは・・・」
「それは無理ね。ミアリーは17歳でしょ。自立して自らの責任で行動するわ」
「あの、僕は」
「いずれ、どんな結末になろうが、ミアリーは後悔しない選択をすると思うのよ。それまで見守って欲しいな」
「・・・」
完全にメラルのペースだ。確かにミアリーを連れていくのもいいかもしれない。でもそれは、ミアリーが死ぬまで見届けることもあるーー。
「ウォン。あのな・・・」
振り返ってみるとピーコが居た。
「何故困った顔をしているの」
「いや、それがな・・・ミアリーが俺とウォンがとある人を援護する話になってな・・・」
え?
「誰を援護?」
「・・・・もち・・・」
「ん?」
「貴族。お金持ちの、娘だ・・・」
「あんだってええええええ??????」




