交渉
奈良。
人通り少ない裏道。とある食店。
中に入れる人数は少ない。10人は入れる狭さだ。
そこに卯と未が同席に、知り合った男が向かいの席に居た。
「つまり、こういうことを言いたいんですね? 恋人のミヤンを連れていくと」
ミヤンが恋にした男であり、ウォンがうっかり迷惑を掛けた(土煙で目を痒いと痛んだ)人でもある。最初はチャラ男であったが、十二干支関連の話だと理解すると、180度変わった。今は真面目な態度を取っている。下心が露出しているだけにラバーネラルは少し引いている様子だ。
ピーコはウォンが戦っている間、彼と交渉しようと考えていたのだ。ミヤンを連れて、とある目的地へ向かうために。
「もしこの申し出が不満であれば、希望を聞き、できるだけ応えます」
この時だけラバーネラルが輝いて見えた。いつもこんな様子だったら良かったが。
「構いませんよ。ミヤンには半分嬉しくも半分別れたいという気分が有りまして。是非連れていってください。・・・それよりも子供村の事について聴きたいのですが」
「ありがとうございます。では説明します。国内最大村規模孤独児養育院、通称”子供村”は人口の大半が20歳以下の子となります。そうですね、全体人口が1000人で子供は500人といった所でしょうか。ほとんど紛争遺児になる人が多いんです」
「お、多い・・・」
「まぁ、受け入れる施設がそれだけにデカいですから。毎年200人が仕事探しに出て、大体250人が入ってきますし」
「アレ?」計算・・・」
「250人のうち、50人は大人か、村拡大工事の人です」
「凄い」
「そんな村をまとめる村長も居ますし、何より門番があの十二干支の2人・・・・ほらあのチラシ」
「ああ、見ました。貴女達も十二干支らしいですね。そして、ミヤンも」
ラバーネラルは頷いた。否定するつもりはない。
「あの2人、魂技を使わずともチート級の強さを持っているからな。変態だけど」
「え?」
「いや何でもない」
余計な事を口滑りしたなぁとピーコは思いながら尻尾を向く。
「分かりました。ああ、ミヤンに伝言を。「200万人に1人の奇病を掛かっている妹が居る。もし命の水を手に入れ、渡す人が無ければ妹に」と」
「・・・・・確かに伝えておきましょう。それと命の水を手に入れようとする者も居ることも承知してください」
「はい」
ウォンがミヤンを連れてくるまでピーコとラバーネラルは時間を潰しながら待つことにした。知り合った男は帰っている。




