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永遠の旅物語  作者: 【健全版】ヨーラスやら
第1幕 瞬光のウォン、怪力のピーコ
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肉とソンビと機械犬

肉の匂いが、流れた。

いつも食べた人肉ではない。何か、別の肉だ。それは確実に近づいてきた。

不思議な事に腹の底から笑いがこみ上ぬげてくる。

ーーのこのこ来たか。

これから狩ろうとする無能な人間を思えば、何とも言えない嬉しさが有った。わざわざ動かなくても、勝手にやってくる。ああ、人間はバカだ。何らかの目的が有っての行動なのかは分からない。いや、考える余地がない。常に腹が空いているので、食べる事に集中するだけで精一杯だ。人間は人間らしく死にしたくないなら来ない方がいいだろうに。


結局、人間は自分に食べられるのだ。


「ククク…狩りだ」


匂いは木で作られた学校の廊下からくる。



廊下の向こうでは、確かに『肉」が有った。しかし、一つ間違えたことが有る。

それは、


『動くぬいぐるみがステーキ用の肉を持って、犬に追われている」状況。人影は無かった。


「待てコラアアアア!!!!」

「待てるかアアアア!!!!」


しかも、両方とも人語を話していた。

動くぬいぐるみは小さい。兎をモチーフしたピンク色の人形であるが、追う犬と比べたら半分以下である。それでもずっしりと重い『ステーキ用の肉』を持って廊下に駆ける。

対する犬は、パセンジー、という中型犬。体は細いが、それなりの速さを出している。実際、逃げ回るぬいぐるみに少しずつ詰めていた。


幻? いや、どうでもいい。ただ、食べたら満足するだけだ。



包丁を持ち、走り出す。


「ん?」



あ。自分に気づいた。



「ギャアアアア!!!!」

「ソンビ、出たぁぁぁ!!!!!』


仲良く息揃って、急ブレーキ&反体方向へ全力疾走。なので、『包丁を持った走るソンビに追われる、中型犬とぬいぐるみ』という世にも珍しい光景に。


「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」

「助けて、ぬーべーせんっえっっっ!!!!」


すっかり、パニック状態の2人(?)。


「どうしようどうしよう。あ。そうだ。犬を殺せばいいんだ。」


「ちょっ、待てええええええ!! 何の根拠が有っての発言!?」


何もそこまでしなくても…とりあえず、ステーキ用の肉を頂戴。




長い追いかけは唐突に終わった。


ぬいぐるみが転んだ。そんで、ステーキ用の肉が落ちた。だから、肉を取り、喰う。


「…………………」

「…………………」


肉を食べ終わったら、2人(?)が自分を注目している事に気づいた。


「あ。僕の右腕、知らない? 僕、探してーー」


2人(?)は逃げ出した。




が。ソンビである僕から逃げ切れるハズが無く、追いかけ、再開。


「ノオオオオオオ!!」

「生きてごめんなさい、生きてごめんなさい、生きてごめんなさい」






「肉ーーーーーーーーーーー!!」





遂に廊下の終りが見えた。行き止まりである。


「ヤバっ」

「ソンビ、来た!」


包丁を振り降ろすと、2人(?)は横に飛んだ。包丁は、行き止まりの壁に当たり、板を壊した。


「え!?」


そこに現したのはーー腕だった。誰かの右腕。


「ああ……。ようやく見つけた」


その腕を触れると、自分の右腕に取り込み、五体満足の人間になった。


「ありがとう。自分を取り戻せた。僕はーーって名前があるんだ。君たちは?」



気づけば、体が光っていた。


「僕かい? 僕は」


自分の問いに中型犬がこたえる


「ウォン。機械犬の、ウォン」

「驚いた。本物じゃないんだね」

「訳があってね。こんな体に取り憑いて居るんだ」

「…?」

「やいやい! オレを忘れるな! オレの名前は」


「黙れ」


ウォンに押され、ぬいぐるみ、沈黙化。


「ぬいぐるみも似たような仕組み?」

「うん。そうだよ」

「やいやい! オレは、ピーコっつてんだ!」


『うるさい』


「ハイ…すみません」


「あははは…っと、時間がきたらしい。ありがとう」


やがて、僕は光のチリとなって、空へ逝った。

次から、ウォン視点で物語を進みます。

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