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キミドリパート
異様なほどに熱気の篭もるイベント会場内で、リッカはセーラー服に黒スト、さらに手には半額シールの貼られた弁当を持たされていた。ショートカットかつ白髪、更に容姿は完全女の子。こんな貴重な人材を逃してなるまいとダラスと天音が強制的にコスプレ会場へ連れてきたのだった。もうリッカの目は死んでいる。
「はあ……何やってんだ……」
「すいませーん、こっちお願いしまーす」
「ほらほらリッカ、笑顔だ!」
「……殺す、いつか殺す」
カメラを向ける集団に向かってとびっきりの営業スマイルを振りまきつつもその集団の向こう側にいるダラスと天音に殺気のこもった視線を送るリッカ。
そのとき、リッカに電話が掛かってきた。
「もしもしリッカですが、林檎様何か?」
『ああ、リッカか。実はな、苺が既に迷子で……』
「すぐ行きます」
リッカは目にも止まらぬ速さで会場を出て行った。……着替える間もなく。