序章「津田歳三」
ぶっとんだ内容です。
ぶっとんだモノが苦手な方はどうぞ素通り下さい。
サボテン
世界にはどんなに水をやらなくても枯れない、そんな植物があるらしい。
私はそれを聞いた時、直ぐに彼の人の顔が浮かんで来た。
†=サボテン=†
序章「津田 歳三」
「なぁー・・・本当に、その値段で売るつもりなのか?」
「おー。こればっかは譲れねぇ」
そんなもん譲ってもらっても困る、そんな顔をしつつも
「へーへー。そりゃ良うござんした」
と言って商品棚に目を戻す。別にそれが特別欲しい物では無かったけれども、何となく奴がつけた値段には納得いかなかった。「津田 歳三」奴の名はそういう、らしい。一年前に行き成り現れて
「変えてみようか?」
と言われた。余りに唐突だったのと何気に人差し指で指差されていたという理由でその日の夜、稽古に行く予定で台の上に置いといた木刀で殴った。流石に頭は不味いと思って右腕に一発入れた。それでも「津田 歳三」は
「決まりだな」
と笑って、そのままここ骨董雑貨屋「シャングリラ」に居座り始めた。痛くなかったのだろうか・・・?普通は不法居住とかで警察に訴えれば立派な犯罪として認められて追い出してもらえるのだが、別に迷惑でも無いし犯罪犯して逃亡中にも見えなかったから何もしなかった。いや、犯罪者に見えなくもなかった。何せスーツにサングラスといった如何にもな格好で突然の訪問。怪しくない訳が無い。が、何故か警察に突き出す事もしなかったのは他でもない、私が単に面倒臭がりなだけで。
「めーちゃんよ、じゃじゃ丸に飯あげた?」
「あ、忘れとった・・・」
今では妙に懐かれてしまっている。
「あー・・・やばいなぁ・・・」
「どしたの?」
そう作業中の手を止めるでもなく「津田 歳三」は私に聞いた。私は少し考え、それから時計を確認すると
「オッサン、悪いが少し行って来るわ」
五千円札をジーパンの後ろポケットに突っ込む。何でもない取り分け良い奴でもない虎模様のじゃじゃ丸がレジカウンターの上から私を見下ろす。まるで「飯ぐらい用意しとくのが当たり前だろぉが」という目だ。
「ついでに“赤”も買って来てよ」
そう言いながら飄々とした顔でじゃじゃ丸共々私を見下ろした「津田 歳三」を私は呆れつつも見返した。そして最後の一本に火を点けた「津田 歳三」に
「変えるって何を?」
と聞いた。「津田 歳三」は私を見たまま少し黙り、そして
「それぞれを―だね」
と怒っているわけでも笑っているわけでもない顔でそう言った。それから
「あっそ。じゃあね」
「うん、いってら」
と笑いながら見送ってくれた。
何にせよ、私は不法侵入者を訴えていない事だけは確かである。
自分を君を世界を変える。変革を望みまた、平穏を望む。
まだ続きます。繋がらない部分もちらほらと・・そこは免除してやってください。スミマセン;;