出会いと言い伝え
ノイズ音が聞こえる…。
頭を上げると一人の男性が立っている。
男性の手には、何かの器具が握られている。
男性はニコニコと笑いながら、近づいてくる。
「い、や、来ないで」
かすれる声で言うが男性は聞かない。
(誰か、誰か助けて)
飛び起きると、豪華なベッドの上だった。
目の前には心配そうな顔で私を見ている黒に黄色メッシュの髪の男の子がいた。
「あの、大丈夫ですか?」
「え、えっと、大丈夫です。その、すみませんがどなたでしょうか?」
「あ、すみません、僕はリオンです」
その男の子…リオンさんはニコッと笑っていた。
「リオンさん、助けてくれてありがとうございます」
「礼などいりません。あ、少し待っていてください」
彼は何か思い出したのか部屋から出ていった。
それにしても、ここはどこなんだろう。
揺れているから船ということは分かるけど、場所が分からない。
部屋の中を見ていると扉が開いて、さっきの男の子の他に二人の男性が入ってきた。
「気分はいかがですか?」
黒髪の毛先が赤い男性が聞いてきた。
「大丈夫です」
少し警戒しながら答えるとそれを察したのか、優しく微笑んでくれた。
(優しい人なのかな)
そういえば、私の名前を伝えていない。
「まだ、私の名前、伝えていませんでしたよね」
「そういえばそうですね。私も教えていませんでしたよね。私の名前はロイドです」
「はじめまして、私の名前はルナです」
「俺はカイトだ」
私が挨拶をすると、ブルーアッシュの髪色のカイトさんが挨拶をした。
「よろしくお願いします」
私がお辞儀をした時…。
ラーラーラーラー
「え?」
周りを見渡すも歌っている人はいない。
「どうかしましたか?」
ロイドさんが不思議そうに聞いてきたからきっと他の人には聞こえていないんだろう。
「えっと、歌声が聞こえて」
私がそういうと、みんな不思議な顔をした。
「あの、外に行ってもいいですか?」
「いいですよ」
ロイドさんは扉を開けて、私の手を引いてくれた。
外に出ると目の前の光景に驚いた。
だって、海賊達がいたからだ。
「え、みなさん、海賊だったんですか⁉︎」
私が大声で叫ぶと仕事をしていた海賊達が一斉にこっちを向いた。
海賊達は私を見ると驚いて固まっていた。
「あ、ごめんなさい」
「謝らなくていいですよ。驚いて当たり前なので。おまえ達、仕事に戻れ」
ロイドさんがそういうと海賊達は仕事に戻っていった。
ロイドさんって、偉い人なのかな。
「あの、上に登ってもいいですか?」
「好きにしていいですよ」
「ありがとうございます」
私は船の先に立って、広い海を見渡した。
するとまたあの歌声が聞こえた。
ラーラーラーラーラララ
その時、遠くできらりと何かが光った。
その光を見た時、頭の中に自分を育ててくれたお爺さんの言葉が浮かび上がってきた。
《ルナ、お前には歌法という不思議な力があるんだ。その歌法の使い手には一つ言い伝えがあるんだ。それは…》
「カゼニノリテウタキコエタリヒカリミエレバトモニウタイテサスレバアストライオスヘノミチヒラカン」
意味は【風に乗って歌が聞こえ、光が見えたなら、共に歌いなさい。そうすれば、『アストライオス』(伝説の島)への道が開かれるだろう】
もしこの言い伝えが本当ならば、歌えばいいはず。
「ラーラーラーラー、ラーラーラーラーラララ」
私が歌うと光がさっきよりも強くなったがそのまま消えてしまった。
「言い伝えは本当だったけど、今の声、弱ってるように聞こえたのは気のせい?」
私が考え込んでいるとカイトさんに肩を叩かれた。
「おい」
「は、はい、どうかしましたか?」
「今の光、なんだよ」
「えっと」
なんて伝えたらいいのか迷っていると後ろから声がした。
「え、なんで歌法の使い手がここにいんの」
「なんで、あなたそのこと知ってるんですか?」
「なんでって、俺、歌法の使い手のこと本で読んだことあるから」
体が冷えていくような感じがした。
どうしよう、また、利用されるのかな。
ここに来る前のことを思い出してしまった。
怖い、怖い、また同じ目に遭うなんて、絶対に嫌だ。
「……さん、ルナさん!、どうしたんですか?」
ロイドさんが私の肩を揺すっている。
「なんでも、ありません」
「そんなことないでしょう、顔が真っ青ですよ。セドレ、ルナさんに何をしたんだ」
「なんもしてねぇよ、歌法の使い手って言っただけだよ」
私のことを知っていたベージュ色の髪をしたセドレさんはロイドさんに問い詰められて、言い返している。
「歌法の使い手?それって確か、『アストライオス』への道を開けるーー」
「なんだって、どういうことだ」
カイトさんはロイドさんの声を遮って、私に聞いてきた。
(どうしよう、もうバレてしまっているから、言うしかないけど…)
「私は歌法の使い手のルナです。さっきの光はきっと『アストライオス』を示しているんだと思います」
このことを言ってしまったから、もう後戻りはできない。
カイトさんの方を見ると、目を見開いて固まっている。
と思ったら、私の腕を掴んだ。
「お前…ルナ、俺達の仲間になってくれ」
「え?」
思っていた言葉と違って、変な声が出てしまった。
(仲間?物じゃなくて?)
きっと、島探しに利用されるだけだと思ってた。
今までずっとそうだったから。
でもまだ信じられない。
私は聞き間違いかもしれないと思って、もう一度聞いた。
「仲間、ですか?物じゃ、なくて?」
聞いてみたけど、カイトさんは眉をひそめた。
「物?そんなわけないだろ、お前は一人の人間なんだから」
その言葉を聞いた時自分の中の何かが少し緩んだ気がした。
この言葉をずっと望んでいた。
私にはそれほど大切な言葉だった。
「なりたいです。仲間になりたいです」
気づいたら、こう答えていた。
「本当か⁉︎これで、俺たちの目的に一歩近づいた」
「目的?」
目的という言葉を聞いて、何のことだろうと気になって、つい聞いてしまった。
「俺達には目的があるんだ、それは…」
この先を聞いてもいいのだろうか。
何だか、世界が変わってしまう目的のような、そんな気がした。
今回初投稿なので、ブックマークなどしていただけると嬉しいです。
おかしい文や言葉があった場合は教えて下さい。
忙しくて更新が遅れることもあると思いますが、温かく見守っていただけるとありがたい限りです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。




