塔の契約者
転移陣の光が、ゆっくりと収まっていく。
ダンジョンは、静かだった。
崩れ落ちたボスの体は黒い粒子となって消え、代わりに大きな魔石がひとつ、床に残されている。
ノクス――クロが、じっとそれを見つめていた。
「あおいよ。それは核石だ。第一塔の主の証」
「……食べないとダメ?」
「おまえの力になる」
今までの魔石となんか違うんだよね、黒いしモヤモヤしてるし。
「早く食べろ」
ごくり。
ぼくは、震える手で核石を持ち上げる。
前よりもずっと重い。
中に嵐みたいな魔力が渦巻いている。
「……吸収」
スキルを発動させると、核石は光になって体へ溶け込んだ。
――ドクン。
心臓が跳ねる。
身体が熱くてサウナに行った時より汗が出る。
視界に文字があふれ出す。
《大量魔力を吸収》
《吸収スキル進化条件達成》
《スキル吸収が魔核吸収へ進化》
《レベル10》
《レベル11》
《レベル12》
《スキル風魔法が進化》
《上位属性 嵐魔法を獲得》
《称号 塔の契約者を獲得》
膝をつきかけた体を、ノクスが支える。
「耐えろ。器が広がっている」
「……すご……い……」
やがて光が収まり、静寂が戻る。
ぼくは深呼吸して、ゆっくりと言った。
「ステータスオープン」
《ステータス》
楠あおい
12歳
レベル 12
HP 380
MP 920
STR 210
LUK 65
称号
塔の踏破者(第一階層)
塔の契約者
スキル
魔核吸収(Lv2)
魔力操作(Lv3)
鑑定(Lv2)
嵐魔法(Lv1)
魔力圧縮(Lv2)
固有リンク
守護獣契約
「……MP、やば」
「ようやく我の契約者らしい数値になったな」
「ノクスも見せてよ」
黒猫は少しだけ目を細めた。
「今のおまえなら、一部は見えるだろう」
鑑定・深度上昇
ステータス》
ノクス
??歳
レベル 18
HP 1200
MP 1500
STR 600
LUK 120
種族
夜天の守護獣(封印中)
スキル
猫パンチ(超)
闇拘束
影移動
魔力共有
???
契約者
楠あおい
「……つよ」
「まだ封印中だ。本来の力の一割にも満たぬ」
「十分すぎるよ!?」
そのとき。
転移陣が強く輝いた。
《第二塔 接続開始》
《推奨レベル 20以上》




