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魔力圧縮
轟音。
塔全体が揺れる。
白い閃光が、魔物の胸を貫いた。
静寂。
やがて、巨大な体が崩れ落ちる。
《ボス討伐》
《レベル9》
《称号 塔の踏破者(第一階層) 獲得》
その瞬間。
黒い塔の天井に、光の裂け目が走った。
「終わったの?」
ノクスは再び、小さな黒猫クロの姿に戻る。
「いや。ここから始まるんだ」
「え?」
「この塔は、ひとつではない」
床に、転移陣のような紋様が浮かび上がる。
《第二塔への道が開かれました》
「町を守るためにも、力は必要だ」
ノクスが、静かに言う。
「選べ、あおい。日常へ戻るか。それとも塔を登り続けるか」
ぼくは、自分の手を見る。
少し前まで、ただのゲーム好きの十二歳の男の子だった。
でも今は違う。
町の外れに現れた黒い塔は何階あるのか。
まだ、わからないし怖いし。
それに、きっとまだ終わらないらしいし。
だったら。
「登るよ」
クロを抱き上げる。
「ぼくと一緒に、最後まで戦ってくれる?」
黒猫は、ふっと笑った。
「契約成立だ、我が主」
月の光が、塔を照らす。
十二歳のぼくと、一匹の黒猫。
ダンジョンができた日。
それは、世界が変わった日。
そして
ぼくたちの冒険が、本当に始まった日だった。




