処刑騎士
鎌が、持ち上がる。
それだけで、空気が裂けた。
《中層管理補佐 処刑騎士》
足が、動かない。
威圧。
レベル差を感じる。
ノクスが低く言う。
「真正面から受けるな。あれは断つ概念を持つ」
「概念……?」
理解する前に。
消えた。
「上!」
シロの声。
振り向いた瞬間、黒い残光。
ガギィィン!!
真が受ける。
剣と鎌がぶつかる。
火花。
だが――
バキン。
真の剣が半ばから砕ける。
「うそだろ!?」
蹴り飛ばされる。
HPが一気に赤へ。
「真!」
「まだ……立てる!」
処刑騎士の瞳が光る。
《処断対象 戦士個体》
「まずい!」
鎌が振り下ろされる。
速い。
間に合わない。
その瞬間。
影が爆ぜる。
《闇盾・全開》
ノクス。
影の壁が形成される。
ズドン!!
地面が陥没。
ノクスの体が薄くなる。
「長くは持たぬ!」
「シロ!」
白い閃光。
《白獣術:閃歩》
真を抱えて後退。
処刑騎士は無傷。
「核は?」
「胸部中央。だが通常攻撃は弾かれる」
鑑定。
《第二塔 中層管理補佐》《位階:半ボス個体》《特性:断絶付与/物理耐性大》
「物理耐性……」
真の剣はもう使えない。
ぼくは息を整える。
MPはまだある。
やるしかない。
「真、時間を!」
「武器ねえぞ!?」
「拳でいい!」
真が笑う。
「無茶言うな!」
それでも前へ出る。
身体強化。
拳で牽制。
当然、効かない。
だが足は止まる。
その一瞬。
ぼくは魔力を極限まで圧縮する。
「嵐魔法――」
風を収束。
一点。
さらに圧縮。
骨が軋む。
MPが削れる。
「まだ……!」
ノクスが影を伸ばす。
《重圧支配》
鎌の動きが鈍る。
シロがぼくの肩に触れる。
《光付与》
白い魔力が、風へ混ざる。
黒と白。
混ざり合う。
「いくよ!」
処刑騎士がこちらを見る。
単純火力では通らない。
なら。
「断ち切る前に――貫く!!」
《嵐魔法Lv3:暴嵐穿》
白黒の螺旋が放たれる。
一直線。
処刑騎士の胸へ。
激突。
空間が歪む。
押し返される。
「足りない……!」
真が叫ぶ。
「もっと乗せろ!」
「もうMPが――」
その瞬間。
胸の奥が熱くなる。
《魔核吸収 自動発動》
第一階層、第二階層で吸収した魔力が暴れる。
溢れる。
「……いける!」
さらに圧縮。
限界突破。
「貫けぇぇぇ!!」
閃光。
衝撃。
一瞬の静寂。
そして――
処刑騎士の胸に、ひび。
赤い核が露出。
「今だ!」
真が跳ぶ。
拳に残った強化を全て込める。




