森
黒い塔の足元。
赤い文字が、ゆらりと揺れる。
《資格確認中――》
真がごくりと喉を鳴らす。
「なんか……嫌な感じ」
ぼくのMPが、ざわざわと塔に吸われるように震える。
ノクスが低く言う。
「選別だ。弾かれる可能性もある」
その瞬間、赤い文字が変わった。
《資格条件 レベル15以上》《契約者優先》
ぼくの足元が淡く光る。
真の足元も――光った。
「え?」
《条件達成者 2名》
《入塔を許可》
塔の扉が、音もなく開く。
中は、夜みたいに暗いのに、足元だけが淡く光っている。
「……行こう」
一歩踏み込んだ瞬間。
景色が切り替わる。
森?。
空は黒い。
木々の幹には赤い紋様が浮かび、地面は柔らかく脈打っている。
《第二塔 第一階層》《侵入者確認》
地面が盛り上がる。
三体。
狼型。
《第二塔 一階層番犬》
真が剣を構える。
「来るぞ!」
一体が突進。
速い。
「身体強化!」
真の動きが跳ね上がる。
剣が閃く。
ガキン!
硬い。
「うわ、第一塔より固くない?」
ノクスが影を伸ばす。
《闇拘束》
一体の足を絡め取る。
「シロ、右!」
白猫シロが光に包まれる。
《白獣術:閃歩》
消えた。
次の瞬間、狼の背後。
《光裂爪》
一体、撃破。
粒子が散る。
残り二体。
「嵐魔法――!」
《風刃》
横薙ぎの風。
狼の足を切り裂く。
でも、倒れない。
鑑定しようとしたら
「核は喉!」
ノクスの声。
ぼくは魔力を圧縮。
一点集中。
「穿て!」
白い閃光が喉を貫く。
二体目、消滅。
最後の一体が真へ跳ぶ。
「くっ……!」
間に合わない。
その瞬間。
黒い影が真の前に立つ。
ノクス。
《闇盾》
衝撃。
地面が割れる。
「真、今!」
「おう!」
剣が、喉を突く。
貫通。
三体目、消滅。
静寂。
《第一階層 制圧》《経験値を獲得しました》《レベルが16に上昇しました》
ぼくは深呼吸する。
第一塔より、明らかに重い。
真が肩で息をする。
「やばいな……でも、いける」
空の黒が、少し薄れる。
奥へ続く石段が現れる。
ノクスが言う。
「第二塔は成長を促す塔だ。戦うほど、試される」
シロがぼくの肩に乗る。
「上は、もっと強いよ」
ぼくはうなずく。
「行こう。レベル20まで一気に上げる」
石段を上る。
第二階層へ。
塔は、静かに脈打っている。
まるで――ぼくたちを待っていたかのように。
第二塔 第二階層へ。
黒い空の奥で、巨大な影がゆっくりと動いた。
《中層管理者 起動》
物語は、さらに加速する。




