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黒猫クロとぼく  作者: たま


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10/19

裏山

翌朝。


ほとんど寝ていないのに、体は軽い。


「MPが増えると回復力も上がるのかも……?」


ノクス――今はいつものクロの姿――が、玄関であくびをする。


「無理はするな。器が広がったばかりだ」


「わかってるよ」


朝からスマホのニュースは、ずっと“第二塔”の話題だった。

母が心配して休校にならないの?とか聞いてくるけど、学校からは連絡がないようだ。

クロはいつものように父の膝の上で寝ている。

両親ともクロにデレデレだから。


「いってきます」


ぼくの学校の裏山。

自衛隊の旗や車報道陣、野次馬達。

この町にこんなに人いたんだってくらい。

裏山って言っても頂上まで片道三十分以上かかる。



教室に入ると、みんなざわざわしていた。


「塔見えないね、学校の近くだって!」


「今日、早く帰されるかも!」


真が駆け寄ってくる。


「なあ、あおい。見たか?」


「うん」


こっそり鑑定。


 


《ステータスオープン》


田中真

12歳


レベル 5


HP   105

MP   40

STR  130

LUK   40


スキル

剣術操作(Lv2)

身体強化(Lv2)


 


「上がってる」


「え?」


「いや、なんでもない」


どうやら鍛えてるらしい。



ホームルーム中。


校庭の向こう、裏山の方角がかすかに黒く揺らいでいるのが見えた。


先生の声が震える。


「今日は午前授業で下校です。皆んなも知ってる通りダンジョンが裏山にできました。自衛隊が調査中なので寄り道せず、まっすぐ帰ること」

先生が宿題のプリントを配っていると。


ざわっ。


その瞬間。


――ドンッ!!



窓ガラスが揺れる。


悲鳴。



校庭に、黒い穴が開いていた。


そこから、スライムより大きい魔物が這い出てくる。

帰れないようだ。

 


《侵入個体:第二塔・外縁種》


 


「うそ……もう来たの!?」


 


先生が叫ぶ。


「全員、廊下に――」



魔物はフェンスを溶かしながら校舎へ向かってくる。



ノクスの声が頭に響く。


(あおい、行くぞ)


(でも、みんなが……)


(だからだ)


 


ぼくは立ち上がる。


「トイレ行ってきます!」


「楠!」



廊下を走る。


人気のない階段を下りる。


 


ステータス


楠あおい

12歳


レベル 12


HP   380

MP   920

STR   210

LUK   65


称号

塔の踏破者(第一階層)

塔の契約者


スキル

魔核吸収(Lv2)

魔力操作(Lv3)

鑑定(Lv2)

嵐魔法(Lv1)

魔力圧縮(Lv2)


固有リンク

守護獣契約ノクス



「嵐魔法、使うよ」


校庭に出ると、魔物はもう昇降口を壊しかけていた。


 


「おおおおっ!!」


 


突風を発生させる。


魔物がひるむ。


 


《嵐魔法:風圧弾》


 


空気の塊をぶつける。


ドンッ!!


魔物が吹き飛ぶ。


 


でも――硬い。


 


ノクスが影から飛び出す。


《闇拘束》


 


魔物の動きが止まる。


「今だ!」


 


ぼくは魔力を圧縮。


胸の中心に狙いを定める。


 


「穿て!!」


 


白い閃光。


魔物は黒い粒子になって消えた。

 


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