交渉の鬼タケル参戦!市場を動かす新仲間
朝の集落は賑わい始めていた。木造の家々の間に、商人たちの荷馬車が並び、住民が穀物や布を物色している。ユウト、ミリア、サキは広場の片隅で、昨日の帳簿をチェックしていた。サキの鋭い目が数字を追い、ペンを走らせる。
サキ『この市場、仕入れ値と売値の差がまだ怪しいな。誰か裏でピンハネしてるぞ』
ユウト『マジか。サキ、さすがだな。で、どうすりゃいい?』
サキ『ハァ?お前がリーダーだろ、考えろよ』
ミリア『でも、サキの計算のおかげで、昨日から市場の値段がマシになったよね!』
サキは鼻を鳴らしつつ、どこか満足げ。カイトが後ろでモジモジしながら口を開く。
カイト『…あの、俺、市場の魔法具、ちょっと直してみたんですけど…』
彼が差し出したのは、小さな魔法の秤。商人が重さを測るのに使うが、微妙にズレていたのを修理したらしい。
ユウト『おお、カイト、ナイス!これで公正な取引できるな!』
その時、広場にドカドカと足音が響く。ガタイのいい男が、革のジャケットを羽織り、商人たちを押しのけて歩いてくる。30歳くらい、髪は短く刈り上げ、目にギラギラした自信が宿る。
男『おい、誰だよ、市場の値段いじった奴!俺の商売、邪魔すんな!』
ユウトの手の甲の紋章が光る。男を見つめると、情報が流れ込む。
*名前:タケル。長所:交渉力抜群、行動力強い。短所:自信過剰、短気。*
ユウト『タケル、だろ?お前、商人?』
タケル『おっ、俺の名前知ってんのか!まあ、そうだ。俺はこの辺の交易を仕切ってるタケルだ!』
サキ『ハァ?仕切ってるって、ボッタクリの元締めってこと?』
タケルがムッと睨む。
タケル『んだと、赤毛!余計なことすんなよ!この市場、俺のルールで動いてんだ!』
ミリア『うわ、めっちゃ怖いよ…ユウト、どうする?』
ユウトはタケルの「交渉力抜群」を思い出す。
ユウト『タケル、お前、交渉うまいんだろ?だったら、ボッタクリじゃなく、ちゃんとした取引で稼いでみねえ?』
タケル『は!?何!?素人が俺に説教かよ!』
ユウト『説教じゃねえ。試しに、俺と交渉してみねえ?この市場、もっとデカくできるぜ』
タケルがニヤリと笑う。
タケル『おもしれえ奴だな。いいぜ、勝負だ!負けたら市場から出てけよ!』
ユウトは紋章を使い、タケルの短所「自信過剰」も確認。頭に軽い痛みが走る。
広場で即席の交渉が始まる。課題は、隣の集落との穀物取引。タケルは強気の値上げを主張。
タケル『1キロ12シルバーだ!安くしすぎると、俺らの儲けがねえ!』
ユウト『それだと隣の集落が買わねえよ。8シルバーで、量を増やして長期契約取ろうぜ』
タケル『8!?ふざけんな、赤字だろ!』
サキが帳簿を突きつける。
サキ『ハァ、赤字じゃねえよ。仕入れ値5シルバーで、8なら十分儲かる。計算しろよ、ゴリラ』
タケルがキレかけるが、ユウトが割って入る。
ユウト『タケル、お前の交渉力なら、8シルバーでも隣の集落を納得させられるだろ。試してみねえ?』
タケル『…チッ、いいぜ。やってやるよ!』
夕方、隣の集落の代表が到着。タケルが交渉に臨む。最初は強気すぎて揉めるが、ユウトが横で「落ち着け、相手の利益も考えろ」と耳打ち。タケルが徐々にコツを掴み、8シルバーで長期契約を成立させる。
タケル『…へっ、悪くねえな。こっちの方が儲け安定するぜ』
ユウト『だろ?お前の交渉力、すげえよ。俺の会社で、その力貸してくれねえ?』
タケル『会社?何だそりゃ。…まあ、面白そうだから、乗ってやるよ』
ミリア『やった!タケルさん、仲間だ!』
カイト『…なんか、賑やかになってきた…』
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夜、湖畔で4人が火を囲む。ミリアが魔法の鳥の焼き肉を振る舞う。
ミリア『はい、タケルさんも食べて!この肉、ジューシーで最高だよ!』
タケル『おお、うめえ!地球じゃこんなの食えねえな!』
サキ『…ったく、ゴリラが仲間とか、うるさくなりそう』
タケル『んだと、赤毛!文句あんのか!』
ユウトは笑いながら肉を頬張る。
ユウト『タケル、お前のおかげで市場が動き出した。次はもっとデカいことやろうぜ』
タケル『へっ、任せな!俺の交渉力で、アルテア全土に名を轟かせてやる!』
サキ『…調子乗んなよ、ゴリラ』
遠くで、エリスの声が響く。
エリス『ふふ、ユウト、仲間が増えたね。この調子で、集落を変えていくのよ』
ユウトは星空を見上げ、ニヤッと笑った。
ユウト『よし、次は水車でも作ってみるか。この世界、俺たちで変えてやる!』