031
氷の戦士たちは、冷たいオーラを纏いながら三人に迫ってきた。
「数が多いな……」
蓮が剣を構えながら呟く。彼の目には冷静さが宿っていたが、相手がただの人形ではないことは一目で分かった。
「和真くん、懐中時計を使ってみて! あの光が何か反応するかもしれない!」
玲奈が指示を飛ばす。
和真は懐中時計を掲げ、氷の戦士たちに向けて光を放った。その光が戦士たちに触れると、一瞬動きが鈍る様子が見えた。
「効いてる……けど、完全に止まるわけじゃない」
和真が焦りを隠せずに呟く。
「それでもいい! その間に俺が一体ずつ片付ける!」
蓮が力強く叫び、最も近くにいた戦士に向かって剣を振るった。鋭い一撃が氷の甲冑を打ち砕き、戦士の動きが止まる。
「一体倒した……でも、まだいる!」
玲奈が後方から魔法を放ち、別の戦士の動きを封じようとする。火の魔法が氷の表面を溶かし、戦士の動きがさらに遅くなった。
「そのまま続けて!」
蓮が叫びながら次の戦士に向かう。
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三人は息を合わせ、戦士たちを一体ずつ追い詰めていった。
和真は懐中時計の光を使って敵を鈍らせ、蓮が前線で剣を振るい、玲奈が後方から魔法で援護する。戦士たちは冷たいオーラで抵抗し続けたが、三人の連携がそれを上回った。
最後の戦士が氷の塊となって崩れ落ちた時、静寂が戻った。
「……全部倒した、か?」
和真が息を切らしながら尋ねる。
「多分、もういない」
玲奈が周囲を見回して確認する。
「次に進めそうだな」
蓮が剣を鞘に収めた。
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三人は石柱の前に立ち、改めて頂上に光る鍵を見上げた。
「これが、次の時の鍵……」
和真が懐中時計を握りしめながら呟く。
彼が時計を掲げると、石柱が光を放ち始め、鍵がゆっくりと降りてきた。
「触れても大丈夫かしら?」
玲奈が不安げに尋ねる。
「これまでと同じなら、鍵を手に入れた後で何かが起きる可能性は高い。でも、行くしかないだろ」
蓮がきっぱりと言い切った。
和真は慎重に手を伸ばし、鍵を手に取った。
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鍵を手にした瞬間、神殿全体が振動を始めた。
「またか……!」
蓮が身構える。
振動と共に、天井の氷のドームがきらめく光を放ち始めた。それは美しい光景だったが、同時に不穏な気配を漂わせていた。
「早く出るべきね。このままでは神殿が崩れるかもしれない」
玲奈が冷静に判断した。
「分かった。急ごう!」
和真が叫び、三人は神殿の出口へと走り出した。
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外に出た途端、神殿の天井が音を立てて崩れ落ちた。
冷たい風が吹き荒れる中、三人は何とか無事に脱出することができた。
「……危なかったな」
蓮が息を整えながら言った。
「でも、これで次の鍵を手に入れたわ」
玲奈が鍵を握りしめ、次の手掛かりを探すように鍵の模様を確認する。
「次はどこだ?」
和真が尋ねると、玲奈は模様を指でなぞりながら答えた。
「……次の場所は、東の大氷河にあるみたい」
「また厳しい場所になりそうだな」
蓮が苦笑する。
「それでも、進むしかないわ。この鍵を手に入れるたびに、私たちは真実に近づいているんだから」
玲奈が力強く言う。
和真と蓮も、その言葉に黙って頷いた。
三人は新たな目的地を胸に抱き、再び歩き出した。
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次なる試練が彼らを待ち受けている。しかし、彼らは確かな鍵を手にし、進むべき道を見失うことはなかった。