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時を越えて  作者: pj.masta
20/38

020

走り書きはここまでです。

この先の作成については、皆様からのご意見や反応を見て考えます。


ここまで読んで頂きありがとうございます!

 翌朝、和真たちは北の地へ向かう準備を整えた。


 円信から旅に必要な最低限の物資を受け取り、簡単な食糧と水、それに古い地図を持って寺を後にする。旅路は長く、決して楽なものではない。しかし、彼らには確かめるべきことがあった。


「北の地って、どれくらいかかるんだ?」


 和真が地図を広げながら尋ねる。


「都から北へ三日ほど馬を使えば着くはずだが、俺たちは徒歩だからな……五日、いや、それ以上かかるかもしれない」


 蓮が慎重に答える。


「そんなに……」


 玲奈が呟いた。


「でも、それだけの距離を移動してまで確かめる価値があるんでしょう?」


「ああ」


 蓮は頷く。


「北の地にあるのは、かつて“神子”が災厄を封じた場所だと聞いている。その封印が今、揺らぎ始めているって話だ」


「封印……」


 玲奈が思案する。


「つまり、過去に現れた“神子”が何かを封じ込めた。その何かが、今になって解き放たれようとしている?」


「可能性はある」


 蓮が腕を組む。


「もしそうなら、“黄昏の災厄”が本当に現れる前兆かもしれない」


「……ますます、行かないわけにはいかないわね」


 玲奈が決意を込めて言った。


 和真も懐中時計を握りしめる。


 この旅の先に、彼らの存在の意味があるはずだ。


---


 都を出て、一行は北へと進んだ。


 旅路は険しく、道は徐々に人の気配が少なくなっていく。


「しかし、静かだな……」


 和真が辺りを見回しながら呟く。


「普通なら、旅人や商人が通っていてもおかしくないのに」


「ああ……」


 蓮が周囲を警戒しながら言う。


「どうやら、この先の村で異変が起きているらしい」


「異変?」


 玲奈が蓮を見つめる。


「ああ。少し前から、“夜になると村から人が消える”って噂がある」


「消える……?」


 和真が眉をひそめた。


「行方不明ってことか?」


「そうだ。しかも、村の中には“影のようなものを見た”っていう証言もある」


「影……」


 玲奈の顔がこわばる。


「まさか、それって……」


「“異界の影”かもしれない」


 蓮が低く呟く。


「この北の地には、古くから異界と繋がる場所があると言われている。“黄昏の災厄”が現れるとすれば、そこに何か関係があるはずだ」


「……」


 和真は息を呑んだ。


 彼らが進もうとしているのは、まさにこの世界の危機の核心部。


 そして、それが自分たちの運命と深く結びついている可能性がある。


「行こう」


 玲奈が先に歩き出した。


「この先で、何が起こっているのか確かめなきゃ」


「おいおい、慎重に行けよ」


 蓮が苦笑しながら後を追う。


 和真もまた、迷いを振り払うように歩を進めた。


---


 夕方、目的の村へとたどり着いた。


 しかし——


「……誰もいない?」


 村は異様なほど静まり返っていた。


 人気がなく、まるで何かに飲み込まれたかのように、全ての家の扉が閉ざされている。


「まさか、もう全員が……」


 玲奈が不安げに呟く。


「夜になると、人が消えるんだったよな?」


 和真が蓮に確認すると、彼は頷いた。


「そうだ。もし噂が本当なら、今夜、何かが起こるはずだ」


「……待って」


 玲奈がふと、ある家の前で立ち止まる。


 家の中から、かすかに何かの気配を感じた。


「誰かいる……?」


 彼女がそっと扉を叩く。


 すると——


「……入れ……」


 かすかな声が聞こえた。


 和真たちは顔を見合わせ、慎重に扉を開ける。


 すると、中には痩せ細った老人が、怯えたように座り込んでいた。


「……あなたは?」


 玲奈が問いかける。


 老人は震える手で、ゆっくりと指を差した。


 指の先にあったのは——


 壁に刻まれた、異様な紋章だった。


「これは……?」


 和真が近づく。


 すると、懐中時計が突然、淡い光を放ち始めた。


「っ……!」


 その瞬間——


 村全体が、静かに闇に包まれた。


 そして——


「……来る……!」


 老人が震えながら呟く。


 次の瞬間——


 村の外れから、不気味な黒い影が揺らめきながら現れた。


「何だ……?」


 和真は、息を呑む。


 その影は、人の形をしていた。


 だが、目も口もない。ただ、闇の中で揺らぐだけの存在——。


「……異界の影」


 玲奈が震える声で呟く。


「まさか、これが“黄昏の災厄”の……」


 影がゆっくりと動き出す。


 そして——


 次の瞬間、それは恐るべき速さで和真たちへと襲いかかってきた——!


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