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疑心暗鬼の街

作者: 水城 咲良

 「気をつけた方がいいですよね。この辺り物騒な事件が起きてますから」とスーパーの店員の彼女が言った。午後1時、店内は客が減り、少し落ち着きを取り戻していた。さっきまでレジは混雑して行列が出来ていた。そうなのだ。最近、この周辺で物騒な事件が起きている。それは連続ひき逃げ事件だった。住民たちは犯人が逮捕されないので不安がっていた。一部で疑心暗鬼も起きているようだ。


 ある日、俺が赤信号で歩道の手前で立っていると車が猛スピードで突っ込んできた事があった。俺は勘が働きとっさに避ける事が出来た。あれは今思い出しても怖かった。もう少し判断が遅れていたら今頃どうなっていたのか。突っ込んできた車はそのままのスピードで逃げていった。咄嗟のことだったので運転手の顔は見ていないのが残念だった。俺はそのことを警察には言わずにいた。ただの偶然で今起きてる物騒なひき逃げ事件とは関係がないと思ったからだった。


 ある夜、俺はネットでニュースを見ていた。「連続暴走車の運転手を逮捕」という見出しが目に飛び込んできた。俺はついその記事をクリックした。そこには俺の知っている人がいた。俺はようやく気付いた。 あの日、車を暴走させ俺を襲ったのは、俺がよく行くスーパーの店員の彼女だったことに。


 俺は彼女の言葉を思い返していた。「あの時、彼女は気を付けた方がいいですよ」と確かに言った。それは俺を助けようとした本音からだろうか?それとも、俺を狙おうとして油断させようとしたのだろうか?俺は答えが分からないまま、疑心暗鬼に陥っていた。

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