プロローグ
【作品の雰囲気を考慮し、各話ごとに前書きや後書きを載せるのは憚られたので、ここでお願いという形で書かせて頂きます】
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よしなに。
神様なんていう荒唐無稽な存在を、信じている人はいるだろうか。
もちろん、宗教の自由が認められている我が国で、神様を信じることは決して愚かなことじゃない。
けれど。
大半の日本人にとって、その存在は創作物の中だけのものだろう。
人生の大事な局面でその威光に縋ることはあれど、しかし心の底から神様を崇拝している人は、そんなにいないんじゃないだろうか。
そしてその認識の仕方は俺にとっても――叶凛土にとっても、多くの一般人と変わらなかった。
あの日、あいつに出会うまでは。
白無垢な程白く、穢れを知らぬ程白く、白々しい程白く、黒で塗り潰せない程白く、嘘偽りなく白く、この世の何よりも白い――あいつの姿を見るまでは。
結論から言うと。
叶凛土は、天津橙理とかいう真っ白な神様に出会って、その奴隷となったのだ。
俺の願いを叶えてもらうために。
俺はあいつに、自分の右腕を捧げた。
望みを叶える代わりに対価を支払うなんて、神と言うより悪魔みたいだなと、橙理にぼやくと。
『神も悪魔も同じですよ。重要なのは、そこにあるのが善意か悪意かです』
とか何とか、知った風なことを言っていた。
まあ、事実知っているんだろう。
だって、あいつは――神様なんだから。
それで言うと、俺が初めて会った時の橙理は、その顔から滲み出る悪意を全く隠そうとはしていなかったのだけれど。
しかし俺は、そんな悪魔みたいな神様に、頼る他なかった。
その選択が、どんな結末を招くことになろうとも。
歴史から教訓を得るならば、俺はきっと、碌な死に方はしないんだろうなと。
そう思った。