正義のヒーロー(?)雪だるマン
この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
氷のように冷たい眼差し、炎のように熱いハート。体は雪だるま。その名も雪だるマン。
彼は今、窮地に立たされていた。
「キャー!助けてー!」
「今すぐその女性を放せ!」
「はっはは!こいつを助けたくば、貴様も『ホットブラッド』に入る事だ!貴様ほどの実力ならば、今すぐにでも幹部になれるだろう。俺ほどではないがな」
雪だるマンが耳にした『ホットブラッド』。それは世界のあらゆるところに網が張られる、悪の組織なのだ。
『ホットブラッド』の狙いは、温暖化に乗じ、全世界の気温を上昇させ、気温を意のままに操り、世界征服を目論む、恐るべき組織である。
「ふざけるな!貴様らの仲間になるはずないだろ!」
「ならば、この女が待ってるのは死のみだ!」
「そうはさせない!」
雪だるマンは、『ホットブラッド』の企みを阻止するべく、人知れず『ホットブラッド』と戦っているのだ。
「とうっ!」
「来るか!」
「葉っ、部屋ッ、性夜っ!」
「その枝みたいな腕じゃ、俺は倒されない!」
雪だるマンは雪だるま。雪だるまの出来前としては完璧と言わざるを得ないほど理想的な雪だるまの形をしている。
だがその理想的な雪だるまのせいで、その大きい図体のせいで動きはどうしても遅くなり、腕も同じ長さの枝を二本刺しただけ、足は取ってつけたかのような物で、今すぐにでも取れそうな足なのだ。
「くそっ、ダメージを与えられない」
「はっはっはっ!おとなしく降参し、尚且つ『ホットブラッド』に入るなら、痛い思いをする事はないがな」
「お前達の傘下には、絶対にくだらない。グハッ!」
「ならばお前もこの女も死ぬだけだ」
雪だるマン、必死の抵抗虚しく、怪人コン・ローの攻撃をただ喰らうしかなかった。
今はまだ、殴るで済んでいる。だが彼の必殺技を喰らえば、雪だるマンも後ろに居る人質の女性も、一溜まりも無いだろう。
「くそ、こうなれば、必殺技だ!」
「ほう、ようやく本気を出すのか。だが貴様ではこの俺、コン・ローは倒せない。力の相性というものがあるのを、お前も知っているだろう」
「勿論知っている。だが、それだけで戦わない理由には、ならない!」
雪だるマン、決死の攻撃!
「秘儀・右腕ロケット!」
「まさか、腕を飛ばして攻撃するのか!」
説明しよう!右腕ロケットとは、その名の通り、右腕代わりの木の棒を、相手に向けて発射する技である。その速さと言えば、時速60㎞を超えると言われている。
「気をつけな。そいつはとても、冷たいぜ?」
「冷たっ!…………。って、それだけじゃねえか!」
瞬間、雪だるマンのバケツソナーが、聞こえてはいけない音を拾った。それは良く聞くような音であり、雪だるマンにとっては一番聞こえてはいけない音だった。
それは、木の枝を足で踏みつけ、折った音だ。
「おい、よくもやったな?」
「おい、どうした?そんなに腕を折られたのが悔しいか痛いか。ほれ、これでどうだ?」
「痛くなんかねえよ。それはただの枝だ」
「急に素面に戻るなよ」
「だがな!」
「急にびっくりするから大声だすな」
「それはおいらが大切にしていた、腕の形をした貴重な枝だったんだぞ!それを良くも、遠慮も無しに折ってくれたな。貴様はもう許さん。この雪だるマンの名に懸けて、必ず仕留める!」
「威勢がいいのは良い事だが、お前に俺は倒せない。それだけの実力差があり、相性がある」
雪だるマンは、熱い男。その程度の脅しなど、気にするはずない。
「喰らえ!雪だるマン、ドロップ!」
「な、何だ!?」
説明しよう!雪だるマンドロップは、雪だるマンの全体重を掛けた、のしかかり攻撃である。その体重は100㎏を優に超え、その体温は絶対零度に到達するぐらいの温度なのだ。そののしかかり、たったの十秒だろうと喰らえば、再起不能になる。
「貴様にはまだ、相性を理解できていないようだな」
「なに?」
「魚焼きグリル!」
「な、なんだって!」
コン・ロー、凍結しながらの、決死の攻撃。
「説明は、不要だろう?お前はこの300度の空間で、溶けて死ぬ」
「まさか、おいらの頭上にあった雪雲まで溶かすだと!?」
「お前も同じく溶けるのだ。それともあの枝のようにボキボキにされたいか?いや、雪だ。水に溶けるのがオチか」
雪だるマンも流石にこの高温は堪えるのか、徐々に溶け始めていた。無論、まだまだ形は保つ事は出来ているが、輪郭が徐々に変わってきていた。
だが!雪だるマンは諦めない。
「知っているか、コン・ローよ。おいらがこの灼熱の夏を普通に出歩ける秘訣を」
「なに?」
「おいらの寒さが一種の結界のようなものを作り出し、そしてその寒さと暑さが重なり合って雪を降らせる雲を作る。その循環によって、おいらは溶けずに生きていられるんだ」
「それがどうかしたか?真夏の暑さは所詮40度。だが俺の温度は300度。だが更に温度は上がるぞ?」
「まあ最後まで聞けって。だからおいらは今まで溶けずにいた。これと言った苦労なく、だ。わかる?おいらの実力はまだ、出し切っていないぞ!」
その時、女性が熱さで倒れていたが、急激になくなった。それどころか、とても寒くなった。
「なんだって!?俺の熱さが、消されただと!」
「おいらは自分の周りの熱を、貴様と同じように下げる事ができる。だがこれは、体力が食われるから、やりたくなかったんだ」
気温でおよそ、零度。真夏にはあり得ない気温になっていた。
この寒暖差によって、大量の水蒸気が発生した。その瞬間、雪だるマンは即座に行動した。それは、人質にされていた女性を遠くに避難させる事。
「そんなに素早く動けたのか」
「痩せたからな」
雪だるマンは雪だるまらしからぬ、スリムな体になっていた。
「だが、これで貴様の勝機も無くなった」
「どうかな?この我慢比べ、貴様の方が体力の消耗が多そうだが?」
そう。このスリムなボディになったのは、肉体の消耗が激しいからだ。
だが、我慢比べにはなりえない。なにせ、この場の気温を下げているのは、雪だるマンの肉体そのものが、温度を下げているのだ。そのため、我慢比べなどする事なく、もう勝敗がついた、と言っても過言では無いのだ。
「今、この空間はおいらの体の中、と言っても過言じゃあない。なにせこの散っている雪は、おいらの一部だ。つまり、貴様は成す術なく負けるだろう」
「なにを馬鹿な。俺の火力を侮っているのか?」
瞬間、コン・ローの頭から火が出て来た。……だが!そんな火も、一瞬で消え失せた!
「なんだって!?俺の火を、消すだと!?」
「当たり前だ。おいらの体は、火を受け付けない。火気厳禁だ」
「それだけの理由で、火が消せるだと!?莫迦な、あり得ない!」
「ああ、それだけの理由だ。だがこの辺りを彷徨っている雪の結晶は、火を消す効果を持つ。いや、熱を奪う、雪だ。もう貴様じゃ、おいらを倒せない」
そう。この雪は、熱を奪うのだ。そのために、人質とされていた女性をこのエリアから出す必要があった。
そしてこの効果は、永久的に行われる。そのため、徐々にだが、辺りの気温を下げ、そして体温を奪う。既にコン・ローの体温は、25度を切っている。
「じゃあ、言うぞ?ダイヤモンドダスト!」
「な、何!?」
ダイヤモンドダスト。先ほどまでの解説を省き説明しよう。
辺りに自信の体の一部をまき散らす事によって、相手の体温を下げる。そして、その雪の結晶を、相手の体に纏わせ、拘束する技なのだ!
そして先ほども説明した通り、この雪は熱を奪う。そのため、拘束と同時に相手の体温を奪い、動けなくする技なのだ!
「く、そ…」
「ふっ、これほどの力で、おいらを倒せると思っていたのか、雑魚が」
「あ、あの。助けていただき、ありがとうございました」
「ふっ、良いんですよ。人として、当たり前の事をしたまでです。それより、縄のような物を持っていないですか?このまま雪の拘束だと、こいつが低体温章で死んでしまうんで」
「そ、そのような物は」
「ま、そうでしょうね。しょうがありません。おいらがしっかりと連れていくんで、安心してください」
雪の縄を、自身に繋いで、コン・ローを引きずって、この場を去った。
「あ、あの。あたなのお名前を」
「あなたに名乗れるほどの立派な名前なんて持ち合わせていませんよ」
改めて、コン・ローを引きずって、この場を去った。
「ありがとう、雪だるマン」
◇
「た、助けてー」
「ふっ、こいつを助けてほしくば、『ホットブラッド』に入るんだな」
「た、助けて。……これ読めばいいの?」
「そうだ」
「えっと、雪だマン」
「ペッ、男なら勝手に助かりやがれってんだ、ペッ」
雪だるマンは、氷のような目で、人質になっている男と『ホットブラッド』の幹部らしき男を見た。
「名前も覚えれねえような雑魚がよぉ、おいらに助けを乞うんじゃねえよぉ、ペッ」
◇
雪だるマンは、自身の家、いえ、事務所に居た。ヒーローには、事務所が必要だろう。こじんまりしているとは言え、事務所は事務所なのだ。
「はぁ~~~~~。あっついわぁ~~~~~~。ほんと、異常気象に温暖化、真夏とか地獄じゃねえか。はぁ~~~~~~~~、あっついわ~~~~~~。エアコンとか無意味なレベルで暑いじゃねえかよ、くそがよぉ。なんだよ温暖化て。死ね。温暖化死ね。異常気象ってなんだよ。暑くすんじゃなくて雨を降らせて暑さを無くしてくれよ、なんで雲一つない晴天に、ただただ暑くするだけなんだよ、は~~~~~~~~~~、異常気象死ね、死んじまえ。滅んじまえ」
雪だるマンは、この暑さに愚痴っていた。
だが雪だるマンは、エアコンの設定温度を20度に設定し、この6畳とないこじんまりとした家、いえ、事務所をギンギンに冷やしていた。この暑さに対して愚痴る権利は、ないと言えるだろう、
「なんだよ、文句でもあんのか、あん?」
訂正。この異常気象を一心に受けながら暮らしている者には誰だろうと愚痴る権利を持っている。意味が無いとわかっていながらも、愚痴りたくなるほどの暑さなのだ。
「おいおい、強いって聞いたから来たのに、なんだよおい。こんなぐうたら生活をしている野郎なのかよ」
「誰だ!?」
「『ホットブラッド』の四天王、その一人。ポット・ポッド。てめえを殺す為にやってきた」
まさかまさか。雪だるマンの家、いえ、事務所に侵入者あり!
「くそっ、この場所は誰にもバレていないと思っていたのに」
「いや、雪だるまが生活してる場所なんて、一瞬で判明できるけど」
「うるさい!お前は誰であろうと、おいらの敵だと名乗った以上、ただではおかないぞ!」
「ほう、やる気にはなったか。だが俺様を倒すなんざ、100年早いぞ」
「秘儀・110番」
説明しよう!秘儀・110番とは、110番に電話する事である!
「あ、もしもし警察ですか?自宅に不審者が入り込んできたんですけど、あ、はい。大丈夫です。繋げたままにしておけば良いんですね?えっと、今隙を見て電話しているんですけど、その通りです。人質にされていて、はい、はい。あ、大丈夫です。では、ちょっとコンタクトとってみますね」
「てめえやりやがったな!」
「ひ、ひぃ」
誰であろうと、どんな悪者であろうとも、日本に住んでいる限り、不法侵入をすれば法の加護が与えられる。
そして今、『ホットブラッド』、ポット・ポッドに警察に電話していると言う現状を伝えれた以上、もう電話が切れようが構わない。なにせ警察はお人好しなため、この緊迫した状況を聞きさえすれば、警察は動いてくれる。いずれ警察は、この家、いえ、事務所に駆け付ける事だろう。
「くそがっ!雑魚のくせに、小賢しい真似しやがって」
「雑魚だから、小賢しい真似をするんですぅ。貴様のような強者にはわからないんですぅ」
勿論ポット・ポッドは電話線を素早く切った。だがこれにより、電話を切られたと言う事実が出来上がった。
そして、これにより雪だるマンの正当防衛が成り立った。
「ふっ、もう貴様には勝ち目はないぜ?」
「なにを言う。まだ戦ってもいないだろう」
「これを喰らえば、お前はもう、生きる気力すらなくなるだろう」
雪だるマンは、気を溜めていた。大技を放つ為の、気を。
「秘儀・着ぐるみを脱ぐ」
「な、なんだその技!?」
説明しよう!秘儀・着ぐるみを脱ぐとは、雪だるまの中から、青髭を生やした少々毛の薄いおっさんが出てきて愚痴る、ただそれだけの技なのだ!
「夏だってのに、こんな着ぐるみを着て戦うとかやってらんねえんだよ、莫迦か、莫迦なのか?」
だが、これは正確ではない。雪によって作られた幻の一種。つまり本物の人間ではない。だが、限りなく本物に近い為、偽物だと見破れないだろう。
「お前もなんだ?そんなだっさい名前の闇の組織なんざ入っていておもろいのか?あんなの小学生でも格好いいとは思われないぞ?」
「くっ」
「それになんだよ、ポット・ポッドって名前。本名か?そんな訳ねえよなぁ?ここは日本だぞ?そんなだっせえ名前で暮らしていて恥ずかしくないのか?」
「ううぅ」
「それにポット・ポッドってなんだよ。ほっともっともパクリか?弁当でも販売してんのか?顔も格好いいと思ってるのか?それなら今時の家電の方がスマートで格好いいぞ」
「う、うううううううううううううう」
「それに、お前人の家になに無断で入ってきてるの?悪の組織とかそんな話の以前に、人の常識の問題としてどうなのよ?」
「あ、ああああああああああああああああああああああ」
その時、バケツソナーは確かに、この音を拾った。とても小さな声で、『もうやめて』と。そして、膝から崩れ去る音を。
「ふっ、口ほどにもない奴が。おいらの家、いえ、事務所に入ってくんじゃねえよ」
このあと、雪だるマンは秘儀・着ぐるみを脱ぐを発動したまま、警察の到着を待った。そして、ポット・ポッドの外見について、小一時間説明し、エアコンが効きすぎていないか、説教された。
◇
雪だるマンはついに、『ホットブラッド』のアジトを発見した。
発見してからおよそ10日。準備に準備を重ね、ついに突撃する。決して、突入するのが面倒で、10日も家、いえ、事務所に引きこもっていた訳ではない。
「遂に辿り着いたのか、我が弟よ」
「ど、どうして、兄者が、ここに!」
「ふっ、弟とは違って、ぼくの辺りには雪ではなく、吹雪が吹雪いている。だから奴等の重い通りになろうと、ぼくには関係ない話だ」
「ならば何故、あんな奴等の元に下ったのだ!」
「ふっ、出された条件が良かったから受けただけだ」
『ホットブラッド』のアジトの門番を務めていたのは、なんと同じ雪だるま、雪だるマンの兄だったのだ!
その体は豪華にも三段重ね。頭となる一番上の雪玉は、縦長で、人に近い形だった。頭には枝が三本、眉毛は勿論あり、目は白目と黒目が丁度いい塩梅である。鼻はニンジンが刺さっており、なんと歯まである。
二段目はボタンを一つ着け、手の形をした先端をした枝を二本、刺している。そして三つの雪玉の中で一番小さい雪玉だ。
三段目はボタンを二つつけ、この雪玉のおよそ四分の一のサイズの雪玉を足に付けている。
総評して、雪だるマンより愛嬌がある。だがその愛嬌も、吹雪のせいで、一切見えないと言うのが欠点ではあるのだが。
「兄者をたぶらかすなんて、一体どんな条件だと」
「すべて終われば、南の島のリゾート地点に別荘をくれるそうだ。そしてぼく専属のとても美人なメイドを雇ってもらえるんだ」
「なんだと、その好条件」
その時、雪だるマンの中で、『ホットブラッド』なんて、滅ぼす必要なんてないんじゃないかと。それどころか、そんな好待遇で仲間になるのなら、別に温暖化ぐらい、どうでも良いんじゃないかと、そう思った。
だが、やはり暑い世界で暮らすなんてありえないと、その考えを一蹴した。別に、後悔などはない。可愛いメイドにチヤホヤされたいなどと言う願望など、ヒーローである雪だるマンには持ち合わせていない。
「敵になった以上、兄者だろうと容赦はしないぞ!」
「ほう、この兄より優れている点はないのに、戦うと言うのか?」
「確かに兄者より優れている点は、おいらにはないだろう。だが、そんな暑い世界を作ろうとしている『ホットブラッド』を許すはずない。そのために兄者が敵になったと言われれば、戦うしかない」
「ほう、その覚悟や良し。ならば戦おう!」
雪だるま同士の、激しい戦いが始まった。
「秘儀・右腕ロケット」
「ぎゅー」
その壮絶さたるや、他の者の介入を許さない。決して、愛らしいだとか愛おしいだとかで介入できない、と言う訳ではない。壮絶な戦いは、他の者の介入は許さないのだ。
「ダイヤモンドダスト」
「オーロラ・ダイアモンド」
とても、『ホットブラッド』との戦いとは思えない、冷ややかな戦いが、繰り広げられている。
だが、決着も、とても冷めた物だった。
「ふっ、弟よ。強くなったな」
「兄者こそ、」
「やはり、その雪、『熱を奪う細氷』は、ずるいな。弟の努力を無かった事のように言うのは悔しいが、まさか奪うだけではなく、熱を与える事まで出来てしまうとは」
「まさか、兄者に、褒めて頂けるなんて、っずっ」
「弟よ、泣くな。こうなる運命なのだ。それが早いか遅いかのだけだ。だから弟よ、泣くな。兄が先に旅立つだけだ。だから弟よ。また兄と呼んで、くれるか?」
「当たり前です、兄者」
いくら『ホットブラッド』の幹部で、自らの敵であろうとも。自身の兄を、その手に掛けるのは、想像以上の苦痛が伴う。身体的の痛みではない。心の痛さ。それは目に見えない傷であるからこそ、痛いのだ。
では何故、生かしておかなかったのか。それは、雪だるま同士の戦いで決着を着ける以上、どちらかが溶ける、又は再起不能なまでに砕け散るかのどちらかなのだ。そしてそのどちらの場合であろうとも、雪だるまは死んでしまう。
だから、勝つ為には、相手に負けを認めさせる為には、それは殺す事になってしまうのだ。
「兄者ああああああああああああああああああああああああああああああ」
「ふっ。コークは死んだか。だが奴は四天王の中でも最弱。その程度で粋がるなよ」
「貴様は、まさか。シュー・ゾーマツオカか!」
「貴様なぞ、残りの四天王で片付けてくれるわ」
「と、頭首。その三人、既に負けてます」
「な、何を!?」
「先に派遣し、既に敗北しております」
「何故そんな実力派を派遣するんだ、莫迦者が!」
「で、ですが。確実に仕留める為には、それが最善かと」
「ふっ、だがまあいい。この俺が居る限り、貴様に勝ちはあり得ない」
兄が死んだ事も意に介さず、敵のボス、親玉、大将、頭首、頭領、その人がやってきた。
そして、勝ちを宣言しにやってきた。
「諦めて負けを認めるんだ。そうすれば生かしておいてやる。だが認めないのであれば、その身に教え込んでやるわ!」
「そうか。おいらも本気を出すしかないようだ」
遂に敵の大ボスの元にまで辿り着いた雪だるマン。だがその道は、まだまだ遠い。まだこの道に足を踏み入れたばかりなのだ。
「俺たちの戦いは、これからだ!」
これを読んだ少しの方でも、くすっとでも笑って貰えたのであれば幸いです。