悪魔召喚
「ふーーー」
一呼吸置く。
「......スタート地点かーー!!!」
だが始まりの時とは違う。
アカツキがいないのと下に紫色の魔法陣がある。
うん?
魔法陣?
よくよく考えたらスタート地点に戻ってきたことも意味がわからなかった。
しかしその謎には答えがある。
そう示すかのように、上からひらひらと一枚の紙が落ちてくる。
それを爪先で軽くつまみ上げる。
「契約書?」
俺が悪魔と契約をした時悪魔が持っていたものと類似している。
(なになに?)
依頼 強くなりたい。
「は?????」
1行やん!?
こんな仰々しい見た目の紙にこの1行って!
悪魔召喚自体も中々仰々しい雰囲気でやる儀式だし悪魔召喚するのもまぁまぁ労力喰うんだけどなぁ...
まぁもしかしたら力を手に入れて復讐とかすごい願いかも?
(しかし力を与えるためにはどうすればいいんだ?)
パッと思い浮かぶのは魂を食べさせることなんだけど明らかにアウトだし。
魔法も相手側次第だしな。
一体どうすれば
(だれかーー!!おしえてくれーー!!)
ポトッ
「おろ?」
頭に何かが落ちてきたような感触が....?
ほほぉ?
この感触は散々触ったアレですな?
それにしてもツノに刺さらず上手く落ちてきたものだ。
こんなもんをくれるなんてな。
一体誰がくれたんだか。
そう思考する俺の手には一冊の本が握られていた。
新人上位悪魔に贈る奇跡の一冊
悪魔になろう〜力編〜
(目的のページはここら辺かな?)
力を欲する者への対処法
1.魂をもらって悪魔にする。
これはいくつかの段階を踏まないといけないのでかなり大変。めんどう。
2.魂を食わせる。
これも結局人間をやめる事になる。
3.自分の魔力を浴びせる。
上位悪魔の魔族なら可能。
ただし制限時間がある。
まぁ人間のまま強くなろうとしてるんだから仕方ないよね!!
4.隷属化
これをしたらその人間を飼わないと行けないからめんどいぞ!
5.魔力容量を広げる
時間がかかるから少しめんどくさいぞ
(うわー適当〜)
本の名前からなかなかひどい物だったが中身も中々だった。
しかし欲しい情報は書いてあった。
(外見だけはすごい仰々しいんだよなぁ)
これであとは契約書に書いてあるこのボタンを押せばいいのか。
これで外に出れるのか!!
押そうとする手が急ぐ。
YES NO
YESっと
やっほーーい
そして気づく。
紫色の魔法陣それが、かなり低位の召喚魔法だということを......
「うぷっ...気持ち悪っ」
清々しく外に出るなどと上手く行くことはなく
気持ち悪い状態で始まる。
しかも悪魔を召喚するには打って付けの環境。
つまり俺には喜ばしくない景色の場所での召喚だった。
ボロッという言葉がつい出ないように意識しないといろいろと吐き出してしまいそうなほどに、ボロい部屋だ。
気持ち悪い状況との相乗効果が凄まじい。
俺が召喚した時の方が綺麗だったな。
本だらけのロクに日に当たらない埃だらけの部屋ではあったが、この部屋よりは幾分かマシだった。
そんな調子であたりを見回していると
「あっ......」
そこには人が4人ほど転がっていた。
生きてはいるようだが、あまりいい状態とは言えない。
悪魔召喚には家畜や自身の所有するものや、人間の魂などを取引の材料とする。
その中でもやはり人間の魂は格別のようだった。
そう考えるとこの召喚主は悪魔召喚の取引材料に中々上等のものを用意していたようだ。
「どれ?召喚者はどこかな?」
威圧感を帯びた声が部屋を震わす。
震わせたところで埃が落ちてくるぐらいで何も起こらない。
なんでこんな威圧的な声なんだよー!?
と内心ショックを受ける。
しかも召喚者は返事をしない。
この威圧感で返事をするのもむずい事なのだが気づいていない。
(もしかして召喚に応じるのが遅かったとか?)
となると俺は自由か!!
自由の身になったならまずこの姿をどうにかしないと街に溶け込めないな。
しかしこんな能天気な悩みは意味なさなくなる。
そう召喚者が見つかってしまったのだ。
「ほっ...本当に召喚できた。」
やっぱいますよねーーー
なぜ今まで気づかなかったのか。
その理由は単純だ。
汚くて見えなかったのもあるが、魔力サーチに引っ掛からなかったのだ。
つまり魔力がないという事だ。
魔力がなくて敵意もない。
周りに人がいるので音で確認することもできない。
こんな状況で見つけるのは難しい。
それにしても
魔力がなくての召喚なら俺の時よりも犠牲にしたものは大きかっただろう。
「それで貴様の名は?」
つい威圧的にしゃべってしまった。
読んでいただきありがとうございます。
次も読んでくれると嬉しいです。