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Real ファンタジア ストーリーズ  作者: 翠夢塩
1章 記憶喪失の少女
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5話 オアシスの魔法教室 〜実技編〜


オアシスが放った魔法はクルクルと渦巻き回転しながら不規則に飛び交い兎が逃げる間も無く被弾。

魔法弾自体も私とは全く威力が違う。遠くからでも分かる程温度が高いのを肌で感じとれる。


と、魔法を打ち終わって丸焼けた兎から得た素材を回収して私のところにトコトコと寄ってきた。


「今のこの時代の魔法はこんな感じなんだ!」


いえい!とはにかむような笑顔を見せるオアシス。


やっぱり天使。


嬉しさで頬が少しだけ紅潮していて…


やっぱり天使。


「火属性の魔法って僕の元得意な属性と真反対で苦手なんだよねぇ〜成功してよかったよ!」


どうやらオアシスは火属性が苦手なようだ。

だから喜んでいたのかぁ。苦手な属性の魔法が使えて

火属性に弱いと言えば…風属性かな。

オアシスは妖精だし妖精は自然に関する魔法が得意だと聞いたことがある。風を操る自然魔法が得意で風魔法も得意だとしても全然違和感がない。


「じゃぁ、アン。僕が使って見せた技術を使ってもう一度魔法を使って見せて!

きっともっと…さっきよりも凄い威力の魔法を使えるはずだよ!」


オアシスが両手をグーにしブンブン振りながら私に実践だ!と言ってきた。

確かに私の使っていた魔法の詠唱とは違う部分もあり改良もされたということでもう一度自身の実力を見ておくのも良い事かもしれない。


と、私は少しだけ疑問に思うことがあった。魔法の詠唱について最後の詠唱。

私は火の魔神に問いかけていたがオアシスは創作神ロスレートに問いかけていた。

ここも大きな違いだったりするのかなと口を開いてオアシスに質問してみると


「あ、そうそう!

昔は魔法を作った創作神がロスレートで

それぞれの属性を司る魔神が居たって言う伝承が伝えられたけど今は創作神ロスレートが魔法に関する全てを使ったとされているんだよね!

実際にロスレートを支持したほうが魔法の威力が上がったんだよね〜」


僕は何でも知っているのだよと得意気に全部を教えてくれた。

とりあえず創作神ロスレートを全般的に支持した方が魔法の威力が上がるらしい。


私は多分一応現時点での魔法についての知識を深めて頭の中で復唱した後よし!もう一度してみるよ!と言い、気合を入れた。

オアシスももう一度頑張れと言ってくれた。


表情を引き締めてズンズンと一歩一歩力が入り砂を蹴ってオアシスから少し離れた。

なんとなく体が力んでいる。私はゆっくりと深呼吸をして手をかざした。

自分の息遣いが聞こえてなんだかむず痒い。


「―創作神ロスレートに願う―

アン・ホワイトの名の者の願いを叶えよ」


あ、凄い。

ロスレートに願いを捧げると体中の魔力が循環しているのが手に通るように分かる。

さっきまでとは違う。体中に魔力が駆け巡って今魔法を放つ威力を何倍にも増やしてくれている。これならもっともっと強い魔法が撃てる!


私が魔力を高めるとなんだか体中が熱い。

魔力が体から溢れんばかりよ。


「唱えよ ロスレート 叶えよ 火玉を出現させよ‼」


一言口から言葉を紡ぐ度に私の体の魔力が増える。

溢れるくらいの魔力を両手で掬い取る。

もう後は小さな小さな火種をつければ魔法は完成。

そう第六感が私に囁きかける。


魔法って最高に楽しい。


「赤彩の魔法陣」が出現するのと同時に魔法が放たれた。


ただの赤い火玉というのを超えて煉獄…地獄にでもあるかのような黒く紅く光る火玉は私が標的を定めていなかったおかげで不規則に砂漠に降り注いだ。


星が…流れ星が降るような柔らかい光に辺りに包まれた訳では無く。

熱く絶望を語るようなとんでもない光が降り注ぐ。


逃げ場を失った兎がピギャァと声を上げて消し炭にされていくのを目の当たりにした。


え?


あの、こんなに魔法強いの?


私は困惑していた。

オアシスは無詠唱で水の魔法結界を出現させて必死に黒くギラギラ熱く輝く火玉を回避している。オアシスの結界からは玉が当たる度に水で出来た結界が端から蒸発している辺り私の魔法はとんでもない威力だと思い直した。


私は降り続けて止む気配の無い火玉に痺れを切らして衝動的に勢いよく人差し指を指すような手の形にして空に腕を上げた。

迷惑だから止めろ!と大きな願いを思いながら目を瞑って天に叫ぶ。


「火属性第1魔法 強制解除ォォッッ!!」


喉から出した掠れるような叫び声に天は創作神は応えたようで私自身が放った魔法は綺麗にピタリと止んだ。


私は魔法が止んだあと自分の魔法についてひたすら考えた後よく分からないし危ないから魔法を使うのは暫くやめておこうと思考を放棄しその後ははは…と乾いた笑い声を上げオアシスに駆け寄った。

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