4話 オアシスの魔法教室〜座学編〜
「じゃあまずは現代最新の魔法や魔術について話していこうかな」
オアシスはのんびりと座る体制になって自信が魔法を使う時に使う筆記具と同じ程のサイズの簡単な木の実の装飾が着いた木の杖を取り出した。
私はオアシスが教える準備を整えている間砂漠の兎を捉えて得た肉を使った兎パイを一欠片食べる。鶏肉のような食感と肉の旨み、そして隠し味として入っている林檎の酸味が肉の味を引き立てる。サクサクとしたパイの食感も心地よい。
ちなみに材料の採取は私がしたけれどもこのパイを作ってくれたのはオアシスだ。
やっぱりオアシス天才。
とオアシスが魔法に関する書物をカバンから出して私に声をかけてきた。
魔法に関する書物は一つ一つが分厚くて皮の表紙に宝石やガラス等で事細かな装飾がしてある表紙と裏表紙には金色の文字で題が書かれてありとても高価そうだ。
「よし、それじゃあアン。まずはアンが使っている魔法を僕に見せてくれないかな?」
何を教えるにもまずは教えられる側の実力を見ないと始まらない。
という事で私は暑い昼間魔法を使わないといけない。
簡易的なテストのようなものだ。
私は立ち上がり少し広い場所へ行くと手をかざして目を閉じた集中している為砂漠の真ん中に吹く少しの風がしっかりと感じ取られる。
あとオアシスの視線ちょっと怖い。
そして辺りを吹いていた風が私を取り巻く様にして行く。
太陽の光が私の魔法の1部となって私の元に集まって来る。
「アン・ホワイ=ロス」
魔術の創作神の女神、ロスレートの名前と自身のアン・ホワイトという名前を織り交ぜる。
こうすることで神の加護が付き魔法の威力が上がるのだ。
今この時代じゃ使える技術か分からないけど…
そしてそのまま続きの詠唱をしていく。
「唱えよ、火の魔神。叶えよ 火玉を出現せよ!!」
これが火属性の魔法の1番簡易的な魔法。「火属性の第1魔法」とか言われている。古代の魔術だけれども…
私の足元に朱色に光る魔法陣が出現する。火の魔法の魔法陣は「赤彩の魔法陣」とも言われている。
そして魔法は完成する。
太陽の光と自分の魔力が降り混ざるようにして魔法が発動される。
火の玉は両手の平に収まる程の大きさでそれが3個程出現した。
とりあえず兎に向けて発動してみた。この魔法にはホーミングがある。記憶を失っていても私が頑張って改良を施したことを体で覚えている。
いくら兎でも逃れるのは難しいと思っていたが……
いとも簡単に避けられてそれで砂漠に魔法が当たって終わり……なんと兎すら仕留められなかった!
HAHAHA…
私
魔法
使えない……
魔法を使って少しだけ疲れた私はオアシスの元へとぼとぼ落ち込むようにして歩いていく。オアシスは予想通りと言う様な表情をしていてひたすらしっかりと加工した訳でもない少し茶色っぽい草で作った紙にメモを取っている。
そして落ち込みながらゆっくり歩いてオアシスの横に座った時オアシスがメモから顔を上げて口を開いた。
「ん〜アンはそもそも古い古代の魔法の考え方をしているからね〜。今の魔法はもっともっと強くなって研究されているけど多分古代だとその魔法が最新だったんだよ。」
そうして暑さで喉が乾き瓶の小さなボトルから水を1口コクリと飲んだあともう一度オアシスは口を開いた。
「会ったばかりの時も地図を持っていたけれどもその地図もとっても古い物だったよ。アンはもしかして古代のニンゲンだったりするのかな。まぁいいや、とりあえず魔法だけれどもとりあえず今の時代の魔法を僕が使って見せよう!」
オアシスは立ち上がり座っていた為砂漠の砂が着いてしまった服を軽くパタパタとして砂を落としたあと少し離れた場所へテチテチと歩いていく。オアシスは妖精。大体人間の5、6歳位の大きさで歩いている姿が手をかざす姿が、全部微笑ましい。
「アンはまず、このロットを持ってないんだよね。そこが大きな違いだよね。」
さっきオアシスが取り出していた簡単な装飾の木の杖はロットという自身の魔力を膨張させて魔法の威力を大きくさせる事が出来るらしい。杖が有ると無い時の2倍は魔法の威力が出るらしい。
確かにこれは大きな違いだ。
そしてロットの説明が終わったあとオアシスは詠唱を唱え始めた。手本になりやすいように私が使っていたものと同じく「火属性の第1魔法」を使ってくれるらしい。
「-創作神ロスレートに願う-
オア・シスの名の者の願いを叶えよ」
なんと最初の自身の名を言うところから私と大きく違うようだ。
こちらもオアシスがきちんと教えてくれたがどうやら
魔法の創作神にキチッと願うことでより簡単に高い威力の魔法が使えるようになるらしい。
更に叶えて欲しいと願う者の名を言うことで成功しやすくなるようである。
昔の名前を織り交ぜるのは逆効果だったと研究で解明されているらしい。
そして更にどのまほうを使いたいのかと言う事を伝えるための詠唱部分にうつる。
「唱えよ、ロスレート 叶えよ 火玉を出現せよ!!」
すべての詠唱が終わると
私が魔法を唱えた時のようにオアシスの足元に赤い火の魔法を象徴する色の魔法陣が出現した。私よりも遥かに大きいサイズであり光の輝き方も遥かに瞬いていた。
「おお!オアシス凄い!私とは全くもって規模が違うよ!」
私は座っていたところを立ち上がってすごいすごいとオアシスを褒めたたえた。オアシスは余り魔法を褒めてもらった事が無いようで少しだけ照れくさく頬を赤くして頭に手を当てていた。
そしてその後我に返ったかの様にハッとして魔力を込め直す。
「まだ魔法自体は発動していないよ。最後、魔法を発動するまできっちり見ておいてね。」
そう凄い凄いと褒めるアンの方をちらりと見て落ち着いて最後まで見ておかないとダメだよと釘を指してから最後、
オアシスはアンと同じようにさっきアンの攻撃を躱した兎に標的を定めて
魔法を発動した
かなり長くなりました。これからはこの位の長さで投稿できたらいいなぁと思っているのでご期待くださいませ