1話 誰でも出来ちゃう!相棒との出会い
このギャル・デローレ
あぁ、神よ。私を助けなさってください
メーデー
誰かが祈る
その瞬間構築された世界に新たなる王が現れた。
ここは幻想世界ファンタジア
精霊を使役することで魔法が使える摩訶不思議な異世界である
そんな盛大で摩訶不思議な世界で私は1人、旅をしている。
私の名前はアン・ホワイト
何時何処で失くしたかも分からない自身の“記憶”を探している。
現在地は南北線+200
アルヴェルの砂漠地帯へと迷い込んでいる
記憶を操る魔女の特級遺物 天空城への旅路を急いでいる所であった
「うぅ…砂漠って相変わらず暑いわね」
補給所にて水、食料を補充は度々しているがもう食料、水共に枯れ果ててある。
次の補給所まではまだ遠く干からびて死んでしまいそう
しぬ…
そう呟いたあと木陰で休んでいたのをやめて城があるであろう南へ向かっている
空っぽの水筒を叩いていた時だった
近くの砂がみるみる盛り上がったと思えばなんとまぁ
見るからに山賊やらがわらわら3人も出てきてしまったでは無いか
「女……高値で売れる」
「小綺麗だし……金目のものも持ってそうだし」
「ただちょっと乳臭そう…胸もぺちゃんこだし」
何やら私について値をつけているらしい。
え、ちょっと聞き捨てならない言葉聞こえたわよ?乳臭そう…胸が小さいですって?
メラメラと闘争心を燃やしている私を他所に私について話し合っている山賊達。結構酷い言葉も飛び交っている
「あぁぁ、許せないわ!
乙女にそんなこと」
もう我慢できないと私は魔法を唱え始めた
「アン・ホワイ=ロス
唱えよ、火の魔人 叶えよ 火玉を出現せよ!!」
火の魔人への祝福を
この世界への幻想を
目を閉じて魔法を唱える
私の足元を中心に火彩の魔法陣が展開されていく
こんな変態共、私の魔法で焼き尽くしてやるっ
「へへ、そんな魔術見切っているってやんの」
山賊の1人が耳元で囁いた
そう。“耳元で”
耳元での会話を不審に思い魔法を唱えるのを辞めるとすぐそこには山賊達が私の首元にナイフを当てて私を脅すようにしていた。
「なっ?!」
手首が本来回らない方向にまわされた事により小さく呻き声をあげる。
魔法
それは強力でありながらも大きな弱点が存在する
それは長い長い詠唱をよびかけるように、聖典を読むように紡がなければいけない
ナイフを使うべきだった…このままでは奴隷として売られる…涙ぐんだ眼を大きくつむり首を降ったその瞬間だった
翠色の光を帯びた矢が山賊の1人の腕を貫いた
誰もがその状況に困惑している。山賊がうろたえているうちに腕の縄を解いてナイフを構える。そもそも私自身を助けた人物は…誰だ?ナイフを構えたまま周囲を警戒し当たりを見渡すとちょうど私の後ろには緑と水色の羽をもった小さな少年。妖精がいた
「女史を3人がかりで抑え込むなんてなかなか卑怯な事しているじゃないの
ちょっとそういうトコ
僕、許せないなぁ」
葉っぱでできているであろう衣を揺らしながらそう言葉を紡ぐ。まるで詩、聖典を読んでいるかのような声だ
そう、聖典
彼は喋りながらも魔法の術式を組んでいた。彼はすぐにでも山賊を絞め殺すつもりだろう
「ここは妖精達が住まう国の所有物
勝手に狩りをしていいなんて許可出てないんだけれどなぁ」
クスリと妖艶な笑みを浮かべながらも背中の矢筒から矢をひとつ取りだし魔力を込める
目が笑ってない。そもそもあれは笑みと言えるのだろうか
山土下座をして山賊が許しを求めているのがなんだか馬鹿らしく見える
「狙われていた女史は後ろにいた方がいいよ」
そう目すら合わそうとせずにそう言ったあと弦を引き光を纏った矢を放つ
キリキリと弦がギリギリまで引かれた合図と共に
矢は弧を描き山賊たちのいる地面へと落下する
当たってはいないものの起爆剤を投げ入れたかのように辺りが爆発する
これが私と「オアシス」との出会いだった