ブラック企業
働き始めて半年。
この企業の実態が分かってきた。
表向きには、明るく装っている。
しかし、社内は真っ黒だ。
パステルカラーや、真っ白な商品が売りの会社なのに。
デスクも壁紙も外観も、ほとんど黒でまとめられている。
外観の黒は、一般的なので良いとして。
個人の持ち物である、文房具やパソコンやマスクまで、黒を要求してくる。
それはあまり良くないと思う。
人の持ち物まで口出しをしたり、支給してきたりすることは駄目だろう。
一部分でも良いから、余白を持たせて欲しい。
これはもうブラック企業と、言っていいくらいの真っ黒さだ。
僕は何社も何社も、面接を受けた。
両手でも足りないくらいの数を受けた。
それで、受かったのがこの会社だけだった。
受け答えは、あまり良くできなかったけど、なぜか採用されていた。
採用されさえすれば、こっちのものなのだが。
ほとんどを黒で統一する会社だが、何とか我慢は出来そうだ。
「ちょっといいか?」
「あ、はい」
「コーヒー頼むよ。ブラックな」
「はい。分かりました」
「ありがとうね。黒岩くん」
「いいえ」
採用理由は分からないままだが、一生懸命働くことを、誓おうと思う。