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受勲式

 それから2日経過したのちに、また会議が行われた。


「それで川上さん受勲式出席への回答はどうなりましたでしょうか」

 柳沢さんがそう尋ねてきたので俺はあっさりと答える

「はい。元々受勲する予定でしたので出席致します。ですが先日の書類にありました重要文化財の件につきましては、別に話し合いをさせて頂きたいと思います」

 そう切り返した俺に柳沢さんは文化庁職員の前沢を見ていた

「別の話と言いますと、どういったことでしょうか」

 前沢は白々しい態度で俺に質問をしてきた。

「はい、以前私が作ったナイフは陛下に献上することも、ある条件を飲んでいただけるのであれば考えたいと思っています…」


 そこで俺はナイフを二本作りその内の一つを陛下に献上する。そしてもう一つを管理施設を作りそこで展示する。その管理施設の名前はドラゴンパークとし、遠くからドラゴンを見学できる有料施設とする。その施設は俺の名義とし、重要文化財の管理施設の建設費は文化庁で支払う事にする。

 ついでに陛下には2本のナイフの名前を賜りたいと説明した。


「このドラゴンパークはたまにドラゴンが上空を飛ぶようにしたいのですが先日お話しした散歩コースはどうなってますでしょうか」

 そう俺は話を結んだ。


「空自とは種子島上空から日本の防衛識別範囲内には飛行可能と返事をもらっている。なので種子島上空は大丈夫です」

 そう答えたのは加藤さんだった。


「エスコートについても問題はなく受勲は皇居の本丸跡地で行うことに予定されている。そのはずの段取りをこれから行う」

 柳沢さんが毅然とした態度で加藤さんの後の言葉を繕う。


 俺は受勲した時に、秋葉原に寄りたいと話して会議は終わった。

 俺は受勲式に着ていくスーツとナイフ、それに鞘なんかを至急で準備したのだった。


  …2週間後俺は5機の F15Jにエスコートされ東京上空をドラゴンに乗って飛行をしていた。

 ゆっくりと、皇居の本丸跡地に降り立つと次第に関係者が出て来た。

 ちなみに、この時の映像は後ほどドラゴンチャンネルで放送予定である。


 一般人の参列は危険があるとして今回は見ることが、出来ない事になっている。 通常の受勲は春などにまとめて内閣府が発表をし、一斉に取り行われるのが普通である。だが今回は異例のことだったのだろう。現政権がドラゴンに対してその影響力を持っているということを知らしめたいという政策の一部なのかもしれない。

  事前にニュースなどでは報道されていたが東京のような大都市の上空に現れたドラゴンに対し一般市民がどう思っているのかは計り知れないものがあった。


 後から聞かされた話によると陛下はドラゴンに触りたいと仰ったようで関係者が必死に止めたという事を教えられた。

 社会人一年目には着たスーツとは違いフォーマルなタキシードに身を包んで俺は陛下にご挨拶させて頂きました。陛下にはそんなに固くならなくても大丈夫ですよと優しい言葉をかけて頂いた。


 そのまま二振りのナイフの命名をして頂いた。「哭龍」(こくりゅう)「黒竜」(こくりゅう) と同じ名前の漢字違いとはさすがにセンスを感じた。陛下に「哭龍」を差し上げる事になった。間に宮内庁の人間を介して手渡されたのだった。


 式典が終わると参列していた矢部総理大臣より挨拶があった。

「内閣総理大臣の矢部です。この度は日本国民を代表して感謝の意を表明したいと思います」

 しかし、頭を下げるわけでもなく淡々とした拍子で言う総理大臣は俺の目には、したたかな人物に思えた。

「初めまして川上です。こちらこそ色々ご迷惑をかけております」

 そう返答した時の俺は不敵な笑みを浮かべていたかもしれない。


 内閣府の人間に簡単に挨拶を済ませ、俺は秋葉原へと向かった。ドラゴンに関してはその場に留まるように言っておいた。ちょっと不安だが大丈夫だろう。さっさと金属探知機を買った俺はすぐさま皇居に戻りドラゴンにまたがり帰路についた。


 帰路の中で俺はこの国のことをあまり信用してはいけないのかもしれないとジェーンの言葉を噛みしめながら、一連の出来事を振り返っていた…

第二章までは書き終わりました。皆さまのご感想や評価、ブクマとレヴューなど色々お待ちしています。

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