本に浸かる
僕は今、本を読んでいるんだ。邪魔しないでくれ。
僕は今、本を読んでいるんだ。邪魔しないでくれ。こう言った瞬間クラスは静寂に包まれた。
確かに話しかけてきた人に対して失礼な態度だったことは認めよう。しかしだ、僕はクラスの皆に自己紹介の時に言ったはずだ。
「読書が好きです。本を読んでいる間は話しかけないでください。」と。
社会不適合者だとか、コミュ障だとか、そんなことはどうでもいい。僕はただ本を読んでいたいだけなのだ。
僕の思考はまさに本から学び取ったものである。だったらもう少し仲良くしなさいとか言うのだろう。だが違うのだ、本を読みすぎてしまったがためにつまらなくなってしまうのだ。この自分が置かれた状況だとか自分が住んでいる世界だとか、さらには自分の将来だとか。すべて解が出てしまう。
はっきり言ってつまらないのだ。だからまだ見ぬ刺激を求めてただひたすらに本を読む・・・。
今だってわかる。この話しかけてきた人の態度や現在の状況だとか考えれば哀れんで話しかけてきたのがよくわかる。
案の定、
「お、おまえのために話しかけたのに、何なんだよその返事は。」と言われた。
ほら見ろこういうことなのである。そしてこれから始まるのは
「あいつ、なんか暗いな」
「うわー」
「ああいうやつもいるんだよなぁ」
こんなのばかりである。
だが、
ーだからなんだー
これで僕の思考は終わり、再び読書タイムが始まる。
今日は気分を晴らしたいから成り上がりの本でも読もうかな。思考はすでに読書へ向けられていく。
こうして、今日の学校も終わり家に帰る。
僕の部屋の中は異様だ。至る所に文字が書かれている。
ー何の文字だかわかるかい?ー
それはね、各本の最初の一文だよ。
僕は読了したもので読みたい本の一文をよむと内容をすべて思い出す。
たった一文。
されど一文。
その一文は僕の頭の中で再構築され再び何千文字ともなる本の一冊へと姿を変える。
七文読んだところで僕は夕食を食べ始めた。
今現在僕の頭の中では本が七冊同時に読まれている。
食事に合うクラシックの本、食事の本、癒やしの本、心が躍る本、明日の授業に使われる教科の本二冊、そして、怖い本。
怖い本のおかげで僕は日常生活を最低限に生きることができる。
この本がなかったら僕の警戒心がなくなりすべてのことに無頓着となること間違いなしだろう。
現在夜の11時。8時から読み始めてようやくすべて読み終わった。
あぁ、寝るか・・・・・。
次の日、6時に起床。バターロールを一つ食べ、学校へ向かう。
移動中は一文で。
授業中は紙媒体で読んでいた。やはり紙媒体は至高である。
手触りだとか質量だとか、もうさいこうである・・・・。
「では、この問題を本田栞君、答えてください」
昨日教科の本を読んでいた理由はここにあるのだ。問題の一文を読むだけで全て思い出す。
そしてそれは自分の中で糧となり血肉となり知恵となる。
やがて
「う、うん。正解だよ。でもね、授業中に本を読むのはやめなさい」
あぁ、死にたくなってきた。
先生は僕の本を取り上げようとした。
だが、やはり
ー僕は今、本を読んでいるんだ。邪魔しないでくれませんかー
この一言を言ってしまう僕がいたのである。
誤字脱字、感想等お待ちしています
下手くそな文ですが、どうぞよろしくお願いします。
はっきり言って面白い作品とはほど遠い文です。