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自由に書きすぎた感がある。でも楽しい。


**********


正体不明の魔法使いエルレインの名前をディオルグ(愛称ディー、ディオ)に変更。エラちゃんと名前が近いのに気付いてませんでした。微妙にしっくり来てないので、もしかしたらまた変えるかも。

ちょこっと会話、文章を足しました。


美人な継母様にはジョセフと一緒に家の建て直しをお願いした。はじめは渋っていたが、お金は湯水のようにある訳ではなく領民の血税であるからして無駄遣いをしてはいけない事を拳を握って力説したら、青ざめた顔で頷いてくれた。

実際にやり始めるとお金が増えていく事が楽しいのか、きれいなブルネットを捻り鉢巻きで止めて(私がやっているのを見かけてやってみたら便利だったらしい)帳簿をつけるのが趣味になった。帳簿をつけてニヨニヨする主婦に見えてくるのからあら不思議。お金を増やすには様々な情報を精査できることが必須である。貴族の父を取り込める機転もある。元々地頭は良かったのだろう。半年もする頃には男性とも経済や時事に対して対等に話せる知的美女となった。そこに元々のセクシー人たらし術があるから、継母様は美人な相談役として夜会では引っ張りだこである。


初めは太ましかった二人の姉たちも、三ヶ月程扱いている内に徐々に細くなっていった。

継母様は美人だし、この体から推測される父の顔も悪くないはず(この体が100%実母似でない限りは)、と思っていた予想通り。継母様は切れ長の目のセクシー系クール美人だがそれをちょっとマイルドにした、おめめがぱっちりの綺麗目系少女が現れた。息ぴったりだなと思ってたら双子だった。貴族でなかったらツインズアイドルとして売れそうだ。

元から肉がついていたせいか、美ボディを持つ継母様の遺伝か、出るトコは出て引っ込むべきトコは引っ込むけしからん体形になって来た。同じかそれ以上の訓練をしている私は絶壁で抉れているというのに……解せない。

洋服のサイズが合わなくなって来たので繕おうと思ったのだが、元のエラちゃんならともかく私は致命的に裁縫が出来ない。指を血みどろにして途方に暮れる私に手を差し伸べたのは、姉たちだった。意外な才能を見せた二人は鮮やかな手際で服を手直ししていった。私も現代知識を引っ張り出して改造のお手伝い。後に姉二人は夜会でのファッションリーダーとなり名を馳せるのだが、それはまた別のお話し。


継母様も姉様たちも初めこそ様々な抵抗や逃亡を試みていたが、様々なプログラム(ダイエットメニューや食べ物の有難味を知る作物育成による情操教育、お金の有難味を知る疑似社会人体験等)をこなす内にいつの間にか意識を改めたようである。



姉たちの肉体改造に伴い、内面とスキルも磨いていく事に。詳しくは知らないが、礼儀作法とか社交術とか色々磨かなければならない筈だ。


「王子様を射止めたいかぁぁぁーーーっっ!!」

「「お、おおー。」」

「声が小さい!やる気あんのか?!!」

「「お、おおおおぉぉっっ!!!」」


本格的な講師はちゃんと呼ぶとして、それまでに美しい姿勢をする為の体幹を鍛える、為のそれを支える筋肉をつけておこうと思う。

頭に本を乗せて歩く特訓もやってみた。頭から一本の芯が通っている感覚だ。私は武道をかじっていたから比較的直ぐに出来たので、本を落としまくる姉達にドヤっておいた。負けず嫌いなので練習に身が入るだろうと思っていたら、知らぬ間に継母様も混ざっていた。

継母様は美意識が高いからかトレーニングには積極的だ。特に体の弛みを引き締める体操はお気に入りのようだ。私の目の保養の為に是非頑張って頂きたい。私のメニューでは筋肉がつき過ぎて困るので、その辺は自分で調整しているようだ。

私の体は相変わらずの未発達状態。最終的にはこの体は貧弱過ぎるので筋肉で少々盛るしかないと覚悟している為訓練は欠かさない。呼んだ講師の先生が「二の腕固っ!」と驚愕していた。


講師を呼んで始めたマナー講座だが、結論から言うと私は壊滅的だった。

始めて二ヶ月が経つ頃には継母様と姉たちの顔がドヤ顔から憐れみを含む顔になるくらいには。

どうしても武道の片鱗が出てしまうのか、動きにキレが出てしまうのだ。それを意識するとぎこちなくなり間違える。ただ立っているだけなのに「何か違う」と言われる始末。ダンスなんて演舞にしか見えない。

終いには、全員から「向き不向きがあります(わ)よ」と慰められる。

負けず嫌いな私は昼夜特訓こととなった。結果は推して知るべし、である。


こうして私がエラ・サンドラとなっての半年は飛ぶように過ぎて行った。



**********


日差しも熱を持ち始めた初夏の入り。

その日も私は洗濯ついでに特訓をしようと庭へ出た、所で行き倒れている人を踏んだ。

長いローブに身を包んだ不審者は私を見て、

ぐきゅるるるるる……

腹を鳴らして再び力尽きた。



「いやー、助かったよー!もぐもぐ。この身なりでしょ?むぐむぐ。みんな不審がっちゃってさあ。」


不審者は若い男性だった。

緑がかった金髪に紫の瞳という珍しい色合いの美丈夫だった。ぼさぼさの髪と薄汚れたローブを整えればもっとマシになるだろう。敷地内で死なれても困るのでひとまずご飯を分け与えたのだが、この男すごい勢いで食べる。

スープ五杯とパン八切れは食べているのに一向にその勢いが衰えない。

不味い。このままでは丹精込めて作った夕飯がなくなってしまう。


「このままのたれ死ぬかと思ったよー。あ、おかわり!」

「さっきから何杯目だよ!ちょっとは遠慮しろ!!」

「あと、一杯!あと一杯だけでいいからぁ!!」

「さっきも聞いたぞそれ!」

「本当にあと一杯!」

「突き出すぞ不審者。」

「ご馳走様でしたっ!」


名残惜しげに皿をつつく男を見て、こいつを助けたのは早まったかもしれないと思った。

あぁ、今日は一人一杯ずつ。おかわりは無しだな。


その男は自分を流れの魔法使いだといった。名はディオルグ。

助けてくれたお礼に家に住み込み三食付で働きたいと言われたので、丁重にお断りした。

怪しさ満点なのもあるが、別段今人手は募集していないし、彼にいられると我が家のエンゲル係数が心配だ。

しかし先程のスープに余程味をしめたのか、しぶとく食らいつく自称魔法使い。


「なんでもしますよー。役に立ちますよー。ほら、例えば呪い殺したい相手とかいませんか?」

「しつこい魔法使いの雇用を断る方法なら探している。」

「またまたー、あ、ほら手っ取り早くお金とか?」

「…貨幣の鋳造は犯罪じゃないの?」

「え?そこはもちろんカツアゲしてきますよ。あ、勿論悪い奴からですよっ!」

「ウインクすんな!あとそんな血みどろの金はいらない。」

「えー困りますー。俺また行き倒れるかも。サンドラ子爵家領内で。」

「露骨な脅しは止めろ!!…ん?魔法使い?」


ふと思い出したのは『シンデレラ』の話。確か舞踏会に行くためのドレスや馬車や御者を手配してくれたんだった。もし出来るのであれば馬車代が浮くんじゃないかと思い、一応聞いてみる。


「魔法でドレスを出したり、かぼちゃを馬車にしたり、鼠を御者にしたりできる?時間制限ありで構わないから。」

「んー…ドレスは幻覚でなら誤魔化せますよ。ちゃんと手触りも欺けますよ。馬車…は中が空いていて車輪がついていれば良いですよね。でもそもそもかぼちゃは馬車にするには生乾きが臭いんで向いてないんじゃないですか?あと鼠はいう事聞きづらいんで俺運転しますよー。」

「シビアか!!」

「あたりまえですよー。魔法っていっても万能じゃないんですよー。天変地異とかなら起こせますけど。」

「なんで天変地異が出来てもっと簡単そうな物体の加工や使役が出来ないの?!」

「俺細かい作業苦手なんですよね。」

「お前の問題かよ!!」


馬車も作れない(発言に不安点があるので作らせない)鼠を使役できない、ドレスは幻覚で良いんじゃないですかという魔法使いは果たして役に立つのか不安しかない。しかし、なんらかの役には立つだろうという事で雇うことにした。というか、雇うまで居座る気配を見せたので私が折れた。


「……わかりました。一先ず貴方をウチで雇いましょう。」

「やった!」

ただし、

「ただし、雇い主は私。命にはきちんと従うこと!」

「わっかりました主!ご飯の時間はいつですか?」

「当分先だよ馬鹿野郎。」


こうして我が家に専属魔術師がやって来た。

ディオルグは顔だけならば整っているのではじめは継母様も姉様たちも浮ついたのだが、少し会話をしてからは雑な扱いになった。分かる。

どうしようもない駄犬を拾ってきた気分で私はいたたまれなかった。



人を呪い殺す予定も金品を奪ってくる予定も全くないため、普段は庭師として働かせる事にした。魔法使いとして草を触ることも多いらしく、意外にも庭はきれいに整えられていった。正直庭は誰も触れなかったから、雇ってから良かったと感動した事は秘密だ。

「おぉ、中々すごいじゃない!」

「アネモネにシャクナゲにトリカブトにキョウチクトウにスズランですよ。あ、主そこにマンドラゴラの苗植えてるんで踏まないでください。」

「毒ばっかじゃねーか!!」

まあ、一応きれいな庭に見えるから良いかと思う私はずいぶん毒されてきたのかもしれない。


ついでにその広い庭の半分を家庭菜園にした。そこで大量に消費する彼の分を作らせる事にしたのだ。自分の分だと分かると気合が入るのか、たくさんの野菜を植えだした。とうもろこしが好きなようで、どうやっているのか気温操作してまで育てていた。才能の無駄遣いめ。


ディオルグが丹精こめて育てたトウモロコシが後にウチでの特産品になったのは余談である。



そんな出来事はありつつも、時間は過ぎる。

ドレスや馬車の手配をしている内にあっという間に時間は過ぎ、運命の日がやって来た。






下に続く!

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