第1話 魔王との闘いからの…
「これで止めだ―!!」
俺こと勇者アレンは、今まさに宿敵であった魔王セフィアの心臓に聖剣エクスカリバーを突き刺し、長かった旅路に終止符を打った。
―――はずだった。
「グフッ、流石だな、勇者よ。だが、一歩遅かったな。貴様に絶望を与えてやろう!!」
禍々しい魔法陣が俺と魔王の二人の足元に現れた。
魔王は最期の力を振り絞り、魔法陣を起動させる。
「ハーッハッハッハ!これで吾輩が…」
魔王が何か言い終わる前に聖剣で今度こそその体を切り裂いた。
「思わず止めを刺してしまったが、何が言いたかったんだろうか?っ、なんだ?急に眠気が……」
魔王を倒した後、俺はなぜか突然睡魔に襲われたのだった―――。
「……ん、ここは…?」
気が付くと、先ほど戦っていた場所ではない見知らぬ部屋のベッドで横になっていた。
誰かに運ばれ、ベッドに寝かされていたようである。
それもかなり上質で高価なものだと思われる。
上体を起こして辺りを見渡してみると、広い室内にはテーブルやソファ、クローゼットなど、寝室と思われる家具が置いてあった。
コンコン、というノック音の後に部屋の扉が開かれ、室内に入ってきた者がいた。
その姿を視認した俺は、ベッドから飛び降り、臨戦態勢を取る。
「ああ、起きていらしたのですね。そんなに身構えなくても自らの主を襲ったりなんてしませんよ」
そう言って持ってきた料理をテーブルに置き、クスクスと笑っている細身のその男の背には一対の黒い翼が生えている。
俺の記憶が正しければ、この男は魔王の傍に控えていた側近の一人のはずだ。
…というかさっき信じがたいセリフを吐いていた気がするのだが…?
「主って言ったか?」
「ええ、そうですよ、勇者様。いいえ、今は魔王様ですね」
「………は?」
どうやら俺はいつの間にか魔王になっていたらしい…。
読んでくださってありがとうございます。
新作ですが、ネタが思いついたら投稿する形になると思います(不定期です)。
ラスト考えてないからグダりそうだけど…
あらすじとかキャラとか考えんの楽しすぎるから仕方ないね