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Flagrant 高校生特殊部隊が異世界転生  作者: 十牟 七龍紙
Pandora Tomorrow
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【20】熱波

 なんだよなんだよ、あぁもう!

 

 こういうのを炎上案件とか言うのか!?


「おいタッツ! 連中の死体が積み重なって邪魔だぞ!」

「だったら退かせよ!!」


 まぁ本当に燃えてるんだけどよ!

 ここに上がってくる熱気に焙られてさっきから鉄板の上の放り込まれたウサギの気分だ。

 その肉を求めてせり上がってこようとするクソどもを叩き落としては俺達の命を繋ぎ続ける。


 ライフルじゃ効力が薄いのは分かったから、丸太や、振り子式の槌、石、何でも使って奴らを近づけない。

 けれども一つだけ問題がある。こうやってずっと守り続ければ当然のように下には奴らの残骸が重なってるわけで


「山を見つけたら爆薬で吹き飛ばせ! 火の中だから慎重に扱えよ!!」


 あまりにもそれが積もった山は踏み台になる。壁を登り切るのに随分と助けになってしまい、その部位は火だって消えていく。

 まだまだ拵えた火炎瓶があるから人間どもは近づいてこないが、こいつが切れたら終わりだ。


 しかしあの骨共はどんだけ出てくんだよ! 尽きないのか!? いやそんなことあるわけない…と思いたいけどよ。

 あんな山積みになるほど、その山が何個も出来るほど出てきて、まだ俺たちは休めない。

 人間ならあれだけ殺せばちったぁ怯むはずだが、こいつらはまったく何考えてんだかびくともしねぇ。

 まぁ最初っから死んでるんだから死への恐怖何てあるわけないんだろうがさ!


「奴ら死ぬのは一回だけにしとけよ、死ぬ度羊がもらえでもすんのか?」

「骨野郎が羊貰ってどうすんだよ」

「そいつもどうだな。 じゃあありゃ趣味か、変わった連中だな」

「そりゃ見りゃわかるだろ」


 ……こっちも多分ないな。ボスに鍛えられたお陰でどいつもこいつもどこかネジが吹っ飛んでるというか、死ぬことに対する恐怖感が馬鹿みたいに薄い。

 俺は断然死にたくないが……それでも確かに戦いに対する恐怖感なんてどっかにいっちまってる、これがなれってやつか。


「おいタッツ、ちいせぇんだからちょろちょろ動くな邪魔臭い」

「ふっざけんな馬鹿。 お前らがでけぇんだよクソ!」


 そんな事を言いながら壁を乗り越えようとした骨に向けて油便を叩きつけていた。つるりと滑って地面に落下していくそいつに、視線も向けず火種を放り投げる。

 こんな状況で信じられないほど安定していられるのは訓練のお陰なんだろうな……正直、前も同じようなハメになった事があるからな。

 それに出来ることと言ったら、俺らはひたすらここでボスの帰りを待つだけだから。


 あぁ、そか。


「タッツ、北の方はもう駄目だ」

「そうか。 じゃあ放棄させてくれ。 怪我人は優先して街の中に降ろせ」


 そうだよな、そりゃ当たり前か。

 俺たちが恐怖を感じず、勝利の見えない戦いをやれる理由は一つさ。


「お前ら、ボスが来た時嫌味言われないようしっかりやれよ! これ以上落とされたらPTx4だぞ!」

「勘弁してほしいぜまったくよ!」


 あの人がいる。あの人が俺たちの傍にいる、だったら、死ぬ心配何てしてる場合じゃないだろ。

 再び上がってきた骨の顔面に銃床埋めて、ばらばらと崩れていくそいつらに向けて四角い爆薬を投げる。


(そうだ。 死ぬのは怖くない)


 死ぬのは一瞬だ、恐れも何もない。

 意識が途切れるだけのそれを恐れる理由なんてあるわけがないだろ


 水も


 食料もない状況で、眠ることも許されず、休むことも許されず


 ただひたすら山を歩き続ける。


 俺たちが"地獄"と呼んでいるあの訓練を思い出せば、死なんてものが人間にとって最悪の状況じゃない事を誰もが理解できる。



 そうさ


 俺たちは既に死すら乗り越えている。



 だったらどうしてお前らみたいな死人に負ける理由があるんだ。




 城壁の下から吹き上がる爆風が、俺達の体を芯から厚く燃え上がらせる。

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