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Flagrant 高校生特殊部隊が異世界転生  作者: 十牟 七龍紙
Pandora Tomorrow
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【4】問答


 なんでこんなところで、っていう質問は真っ先にしたかった。


「おい、大丈夫か」

「だ、大丈夫です」


 当然のごとく熱を失った体は酷く冷えており、このまま置いておけば確実に体調を崩す。

 そのまま寝かせるわけにもいかず、俺の部屋にまで運んで、火を焚いてやり体の熱が戻るまで待たせることにした。


 まったく、何をやってるんだか。

 どんな理由があるにせよこんな中で眠ることはないだろ。案の定ガタガタ震えやがって。

 俺が見つけてやらなかったらどうするつもりだったんだこいつは。


「ほら」

「あ、す、すいません」


 俺の手から、塩を溶かした湯を受け取ったタッツがそれをそそくさと懐へと運んだ。

 立ち込める湯気も今は天国のモヤのごとし、完全に冷え切った体にしみこんでいく熱量は毒よりも甘い。

 しばらくそうして奴が落ち着くまでの時間を待ち、少しだけ戻ってきた眠気と俺は付き合っていた。


「あ、あの」

「ん?」


 しばらくの沈黙を破ったのはタッツ、顔色はまだ悪いがさっきよりは随分マシになった。

 奴の頬を二かい叩いてから、正面の椅子に腰掛けて装備を外す。


「さて、どんな言い訳を聞かせてくれるんだ?」

「……」


 まさかラリってたわけでもないだろ、ここにそんなものはない。

 だとしたら生き残った嬉しさで馬鹿になったかだが……


(どうやらそういうわけでもなさそうだしな)


 俺だって感情がわからないわけじゃない、こういう面構えがシリアスそのものだってことはよく理解しているし

 こいつが今何かを考えていて、その結果があれだったんだろう。

 黙ったまま湯気を見つけるタッツの表情は、決してユニークさを浮かべたもんじゃない。


 前々からだがこいつは何かと物事を深く考えすぎるところがある。


「別に聞きたくはないさ」


 タッツの口からその、何のことはない悩みが語られることはない。

 俺が信頼されてないのか、それともまた別の理由があるのか、それはわからないが

 ともかくタッツは自分一人でその壁に立ち向かって、なんとかしようともがいては、その結果あんなことになってる。


 こいつはいい奴だな。根が善人だよ。

 悩みを抱えて、それを自分でなんとかしようとしてる、生真面目な奴だ。


「ボス」

「なんだ?」


 だから俺も、こいつにはそれなりに応対したいと思っている。

 真面目ってわけじゃないが……そうだな、真摯って言えばいいか。茶化すような真似もしないし、助けになってやりたいとも思う。

 湯気から上がってきたその瞳をまっすぐと見つめ返す。


「強くなるって、どういうことだ?」

「……そいつは難しい質問だな」


 これは思ったよりも重症だな、哲学の世界に入ってる。


 禅問答は俺の得意じゃないんだけどな……。

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