【42】報告
ま、当然といえば当然だが。
あれだけたらふく寝れば体調は随分と良くなった。
少なくともそこら辺をぶらつけるくらいには。
「ああもう」
だから真っ先にここに顔を出しに来たのだが。
「ボス、ボスぅ~!」
「ボスゥーーー!!」
失敗した。
俺の腰二人大の男が泣きながらしがみついて、俺のベルトが徐々に伸びていく。
「うっとおしいからやめろ」
「だって、だってよぉ!」
「なぁ!」
タッツとスッティを引っ張りながら、兵舎の中を進んで、二人は雑巾のように汚れを吸い取っては床を磨いていた。
「ずっと眠ってて起きねぇんだもん! さすがに心配したぜ!」
「二十時間だろ」
「それまで俺らがちょ~っとでも寝過ごしたら叩き起こす人間がそんだけ寝たら心配するっつーの!」
「あぁもうわかったからいい加減離せ。 服が伸びる」
そのままどこまでもついてきそうな二人を無理やり引きはがすと、二人は改めて立ち上がり俺の後につく。
今日は休みではないから当然みな忙しく仕事をしているのが二階からはよく見えた。
彼らの邪魔をするのはどうにも心苦しいが、それでも、俺はこれを伝えなければならない。
「みんな聞いてくれ!」
俺の声に人々の足が止まる。
「ボス!」
「隊長!」
「続けてくれ。 そのまま」
こっちに向いて手が止まりそうになる彼らを制しながら、俺は二階から降りて、俺は近くのチームと軽く挨拶を交わし中央へ進んだ。
そこは少しだけ小高くなっていて、辺りがいくらでも見渡せるようになっているから……まったく、みんな俺の方へ向いているのがわかった。
「よくやってくれた。 改めて俺から言わせてくれ」
辺りを見回しながら、手を大きく振ってその感情を表現する。
「よく戦い抜いた。 誇れ、お前たちが守った街が今ここにある。 お前たちがここにいなければここには誰もいなかった」
そう言って俺は胸を叩き、彼らを今一度見渡す。
「俺が誇る戦士達だ。 チームだ。」
男たちは地面を踏み鳴らし俺の言葉に答えた。
「そしてもう一つ、俺から伝える事がある」
そうだ。俺は彼らに伝えていないことがある。
これを伝えなければ、俺たちの戦いは終わらない。
息をのんでから、声を整え
「Rabbit was hunted.」
その言葉を伝えた。
「ウサギは」
その名前を。
「ジェイメリは、死んだ」
Operation"Drop a brick".
Rabbitの殺害あるいは捕縛を目的としたこの一連の作戦は、奴の死によって終了した。
「俺たちの」
近くにあった男の腰から剣を抜いて、俺は足元の台座に向かって勢いよく突き刺す。
「勝利だ」
俺の言葉に振り上げられた数多の拳が、天に向かって矯正と共に振られた。
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うっ……。
うぅっ……。
う、うっ……。
俺は。
「私は」




